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29.卒業パーティ
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卒業パーティ。
学園を卒業し、成人として認められる貴族の令息令嬢を祝う場として催される。出席するのは学園へと通っていた生徒である令息令嬢、その親、そしてエスコートを務める者達。
今年に至っては王族が居た事や私の歓迎会でまだ留まっていた貴族達も、次世代の子達と繋がりを持とうとして参加する方も居るという。こちらとしては大歓迎だ。
「注目されるのは好きじゃないんだけど。これから巻き込まれるのか……」
「あら?側で見られるのは楽しいわよ?」
入場する扉の前で談笑するも、ガルムの表情は良いと言えない。
もう全ての貴族は入場し、残すは国王と王妃のみだ。王太子も既に入場している。男爵であるガルムは基本的には最初の方に入場する為、こんな見世物になるような入場の仕方も嫌だという事は心底理解している。
そう、理解しているだけ。折角の場なので是非とも楽しんでもらいたいという気持ちの方が強いのだ。
「ガルム・レスター男爵と、ノルウェット帝国皇女、リズ・ファ・ノルウェット殿下のご入場です!」
ザワリと、会場中がざわめく。
王太子にエスコートされていないどころか、別の男を連れてはしたない等の声が聞こえたが、それを言うなら自国の王太子を恥じろと声を大にして言いたい。
隣で小さく呆れるような溜息を吐くガルムとは対称的に、私は周囲へ今まで見せた事のない微笑みを見せた。後ろめたい事なんて何もないわよ、という裏の言葉を理解したのか貴族達は黙り込んだ。……本当、陰口だけは立派に育つなんて、どういう教育を施したのだろうか。
国王と王妃も入場し、開会の挨拶を終えた……瞬間、声高に王太子が叫んだ。
隣には勿論、伯爵令嬢が居て、王太子は令嬢の腰を引き寄せている。
「俺はアメリア・ミルム伯爵令嬢と真実の愛を見つけた!よって、ノルウェット帝国皇女、リズ・ファ・ノルウェットとの婚約を破棄する!」
やった!やった!!
やっと婚約破棄を言い渡された!
私は浮足立つ心を抑え込み、表情を出さないように努めた。
どうしても上がってしまう口角は、扇で隠す事にして。
「何で卒業パーティ待つんだ……」
「舞台のようにしたかったのでしょうね」
やはり、と言いたい所だったが、本当に何でこの瞬間まで伸ばす必要があるんだと頭を抱えて言うガルムが笑いの着火剤になってしまい、思わず少しだけ吹き出してしまった。
それでもすぐに気を取り直し、カツンとヒールの音を鳴らしてガルムを引きつれて前へ出る。
「はっ!もうこの国で男を見つけたのか!この尻軽め!お前はアメリアを階段から突き落としたりインクをかけたり、物を壊す等の虐めをする冷酷な女だ!」
物は壊していないけれど。
どれも確かな証拠を取ってはいないのだろう、後半の言葉で伯爵令嬢は顔を青ざめさせ、身体を震わせていた。それを怖かったと勘違いした王太子は更に抱き寄せていたけれど。
「真実の愛!素晴らしい!」
「流石の勇気です!王太子殿下!」
「障害を乗り越えるお二人こそ、最高で最良の夫婦となります!」
周囲に居る貴族達は拍手をし、二人を褒め称えて。その中で、一部壁際で青ざめた顔をしている貴族達が数人いるのを確認した。
……まともな人も少数居るけれど、圧倒的に馬鹿の方が多くて、どうしようもない感じなのか。
学園を卒業し、成人として認められる貴族の令息令嬢を祝う場として催される。出席するのは学園へと通っていた生徒である令息令嬢、その親、そしてエスコートを務める者達。
今年に至っては王族が居た事や私の歓迎会でまだ留まっていた貴族達も、次世代の子達と繋がりを持とうとして参加する方も居るという。こちらとしては大歓迎だ。
「注目されるのは好きじゃないんだけど。これから巻き込まれるのか……」
「あら?側で見られるのは楽しいわよ?」
入場する扉の前で談笑するも、ガルムの表情は良いと言えない。
もう全ての貴族は入場し、残すは国王と王妃のみだ。王太子も既に入場している。男爵であるガルムは基本的には最初の方に入場する為、こんな見世物になるような入場の仕方も嫌だという事は心底理解している。
そう、理解しているだけ。折角の場なので是非とも楽しんでもらいたいという気持ちの方が強いのだ。
「ガルム・レスター男爵と、ノルウェット帝国皇女、リズ・ファ・ノルウェット殿下のご入場です!」
ザワリと、会場中がざわめく。
王太子にエスコートされていないどころか、別の男を連れてはしたない等の声が聞こえたが、それを言うなら自国の王太子を恥じろと声を大にして言いたい。
隣で小さく呆れるような溜息を吐くガルムとは対称的に、私は周囲へ今まで見せた事のない微笑みを見せた。後ろめたい事なんて何もないわよ、という裏の言葉を理解したのか貴族達は黙り込んだ。……本当、陰口だけは立派に育つなんて、どういう教育を施したのだろうか。
国王と王妃も入場し、開会の挨拶を終えた……瞬間、声高に王太子が叫んだ。
隣には勿論、伯爵令嬢が居て、王太子は令嬢の腰を引き寄せている。
「俺はアメリア・ミルム伯爵令嬢と真実の愛を見つけた!よって、ノルウェット帝国皇女、リズ・ファ・ノルウェットとの婚約を破棄する!」
やった!やった!!
やっと婚約破棄を言い渡された!
私は浮足立つ心を抑え込み、表情を出さないように努めた。
どうしても上がってしまう口角は、扇で隠す事にして。
「何で卒業パーティ待つんだ……」
「舞台のようにしたかったのでしょうね」
やはり、と言いたい所だったが、本当に何でこの瞬間まで伸ばす必要があるんだと頭を抱えて言うガルムが笑いの着火剤になってしまい、思わず少しだけ吹き出してしまった。
それでもすぐに気を取り直し、カツンとヒールの音を鳴らしてガルムを引きつれて前へ出る。
「はっ!もうこの国で男を見つけたのか!この尻軽め!お前はアメリアを階段から突き落としたりインクをかけたり、物を壊す等の虐めをする冷酷な女だ!」
物は壊していないけれど。
どれも確かな証拠を取ってはいないのだろう、後半の言葉で伯爵令嬢は顔を青ざめさせ、身体を震わせていた。それを怖かったと勘違いした王太子は更に抱き寄せていたけれど。
「真実の愛!素晴らしい!」
「流石の勇気です!王太子殿下!」
「障害を乗り越えるお二人こそ、最高で最良の夫婦となります!」
周囲に居る貴族達は拍手をし、二人を褒め称えて。その中で、一部壁際で青ざめた顔をしている貴族達が数人いるのを確認した。
……まともな人も少数居るけれど、圧倒的に馬鹿の方が多くて、どうしようもない感じなのか。
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