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26.更に追い込む
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「突き飛ばすのが虐めなのでしょう?でも、突き飛ばすだけなんて、生半可ではなくて?」
冷たい帝国人らしく言い放ってみる。
突き落とすだけでは物足りなかった?とワザとらしくベルに訊ねてみれば、ベルも生ぬるいですね、とノリノリで返してきた。
こんな冷たい帝国人とは、婚約破棄しなさい。むしろ、婚約破棄しろと周囲から声は上がらないのかしら。
そう考えながら周囲を一瞥してみると、私と視線を合わせたくないのか、皆視線を下げた。
呆れつつ王太子と伯爵令嬢の二人に視線をやると、震えるだけの王太子とは裏腹に、伯爵令嬢の顔色は青を超えて真っ白になった。
「ごめんなさい!!!!!」
「アメリア!?」
伯爵令嬢はいきなり声を上げて謝罪したかと思えば、猛スピードで駆け出して行った。一瞬呆然としていた王太子だが、我に返るとすぐさま伯爵令嬢の後を追いかけて行く。
いきなりの敵前逃亡に呆れたくもなるし、婚約破棄を言ってもらえなかった悔しさもあるけれど……逃げるのは分かる。
だって、私が虐めていない事も、突き飛ばしていない事も、伯爵令嬢自身が一番よく理解しているのだから。それでも、私は目標の為に手を緩める事はない。
それに、真実の愛を邪魔する私を望んだのは、伯爵令嬢だけではないだろうから。
翌日から伯爵令嬢が学園へ来なくなった。それを知った王太子は毎日のように伯爵家へ行っているようだが、会えていないという噂が聞こえて来た。
周りの人達も、私が近くによるだけで逃げ出すようになった。……同じ教室の人は何とか息を殺して耐えているようだけれど。まぁ、少し怯えられているかな位で、私の方は全ていつも通り。
そして新しい作戦を実行へと移す為、報告を兼ねて中庭へと向かう。
「……最悪、打ちどころが悪かったら死ぬぞ?」
「あ、そうね。そういう事もあるわね」
ガルムだけは話を聞いた所で、いつも通り私と変わらない対応をしてくれた。どうせあれだけ不敬を働いていたら処刑でもおかしくないけれど、自分の手で下すのとは、また訳が違うだろ、と声を荒げて言われた。
その言葉に、ベルとジェンも何か気が付いたよう、目に見えて落ち込んでしまった。私を焚きつけたり、止められなかった事を悔やんでいるのだろう。確かに私も考えが甘かった……けれど、悪いと思ってはいない。反省もしていないし後悔もしていない。
そんな私の考えを見抜いているのか、怒るのも無駄だとガルムはため息をついた。
「じゃあ、私はしばらく学園へ来ないから」
「あぁ、ドレスの件だけ、また商会の方へ来てくれ。話は通してある」
完全予約制と言いつつ、何だかんだ書類を手伝っていたりもした為か、来たら書類を手伝ってもらえると思っているのか。どうせいつでも誰か居る為、声かけてくれ状態になっている。
そして、私はしばらく学園へ来ない……だって、このまま伯爵令嬢を逃がしておく気はないのだから。学園へ来なければ問題ないと思ってもらっては困る。卒業パーティはもうすぐなのだから、何としてでも婚約破棄をしてもらわなければ、私の悠々自適辺境スローライフ生活がなくなってしまう。
「さて。王妃は準備をしたのかしら」
ガルムへ報告を兼ねた話も終わった事だし、私は王宮へ戻る。
私の中で、王妃も頭悪い認定だからこそ、きっと何も考えず私の要求を呑んでいるだろう事を想定しながら……。
「他の事も影から手配しております」
ベルが悪い笑みで言う。持つべきものは有能な部下だ。
冷たい帝国人らしく言い放ってみる。
突き落とすだけでは物足りなかった?とワザとらしくベルに訊ねてみれば、ベルも生ぬるいですね、とノリノリで返してきた。
こんな冷たい帝国人とは、婚約破棄しなさい。むしろ、婚約破棄しろと周囲から声は上がらないのかしら。
そう考えながら周囲を一瞥してみると、私と視線を合わせたくないのか、皆視線を下げた。
呆れつつ王太子と伯爵令嬢の二人に視線をやると、震えるだけの王太子とは裏腹に、伯爵令嬢の顔色は青を超えて真っ白になった。
「ごめんなさい!!!!!」
「アメリア!?」
伯爵令嬢はいきなり声を上げて謝罪したかと思えば、猛スピードで駆け出して行った。一瞬呆然としていた王太子だが、我に返るとすぐさま伯爵令嬢の後を追いかけて行く。
いきなりの敵前逃亡に呆れたくもなるし、婚約破棄を言ってもらえなかった悔しさもあるけれど……逃げるのは分かる。
だって、私が虐めていない事も、突き飛ばしていない事も、伯爵令嬢自身が一番よく理解しているのだから。それでも、私は目標の為に手を緩める事はない。
それに、真実の愛を邪魔する私を望んだのは、伯爵令嬢だけではないだろうから。
翌日から伯爵令嬢が学園へ来なくなった。それを知った王太子は毎日のように伯爵家へ行っているようだが、会えていないという噂が聞こえて来た。
周りの人達も、私が近くによるだけで逃げ出すようになった。……同じ教室の人は何とか息を殺して耐えているようだけれど。まぁ、少し怯えられているかな位で、私の方は全ていつも通り。
そして新しい作戦を実行へと移す為、報告を兼ねて中庭へと向かう。
「……最悪、打ちどころが悪かったら死ぬぞ?」
「あ、そうね。そういう事もあるわね」
ガルムだけは話を聞いた所で、いつも通り私と変わらない対応をしてくれた。どうせあれだけ不敬を働いていたら処刑でもおかしくないけれど、自分の手で下すのとは、また訳が違うだろ、と声を荒げて言われた。
その言葉に、ベルとジェンも何か気が付いたよう、目に見えて落ち込んでしまった。私を焚きつけたり、止められなかった事を悔やんでいるのだろう。確かに私も考えが甘かった……けれど、悪いと思ってはいない。反省もしていないし後悔もしていない。
そんな私の考えを見抜いているのか、怒るのも無駄だとガルムはため息をついた。
「じゃあ、私はしばらく学園へ来ないから」
「あぁ、ドレスの件だけ、また商会の方へ来てくれ。話は通してある」
完全予約制と言いつつ、何だかんだ書類を手伝っていたりもした為か、来たら書類を手伝ってもらえると思っているのか。どうせいつでも誰か居る為、声かけてくれ状態になっている。
そして、私はしばらく学園へ来ない……だって、このまま伯爵令嬢を逃がしておく気はないのだから。学園へ来なければ問題ないと思ってもらっては困る。卒業パーティはもうすぐなのだから、何としてでも婚約破棄をしてもらわなければ、私の悠々自適辺境スローライフ生活がなくなってしまう。
「さて。王妃は準備をしたのかしら」
ガルムへ報告を兼ねた話も終わった事だし、私は王宮へ戻る。
私の中で、王妃も頭悪い認定だからこそ、きっと何も考えず私の要求を呑んでいるだろう事を想定しながら……。
「他の事も影から手配しております」
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