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22.噂を事実にしましょうか
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「帝国側に、よく我慢したなぁって言いたい……」
「いや、でも戦争は駄目でしょ」
「この商業ルート潰されるのは辛い……立地が良いんだよ、上はクズでも」
ガルムは最後の一文を私にだけ聞こえるよう呟きながら放った。
学園へ付いて早々、ガルムが書類を手に難しそうな顔をしていたので声をかけた。書類で悩む時間がもったいないし、むしろ他国との商売を見てみたいと興味を持った私は、ガルムを連れてそのまま中庭でサボっている。
ついでに、夜会で逃げた方が良いと言っていたガルムに現状を話した。あと、私の目的も話すと、驚くというよりは納得していた。
ガルムのいち早く先を見る事が出来る能力は、私も流石だと思ったからだ。まぁ商人だからこそでもあるだろう。
「戦争はデメリットしかないと思うが……帝国の威信もなぁ」
「王太子殿下の視界に入るという嫌がらせをしようかと思いまして」
「いっそ虐めた所で噂が事実になるだけ。王太子殿下自身が否定していない噂は本当だと皆思っているし」
確かに。王太子殿下は私に話しかける事もせず、ずっとミルム嬢にくっついている。むしろいつ虐める事が出来るのかと疑問に思う程。それ程一緒に居る王太子殿下が否定しないという事は肯定として受け取られているわけで……。
帝国皇女である私が、王太子殿下の寵愛を受けている方に嫉妬して虐め……。
そもそも王太子が婚約者である皇女を蔑ろにして伯爵令嬢を寵愛する事自体が不敬で、それに嫉妬したところで、身を引けと伯爵令嬢に言うのは正当。むしろ皇女を差し置いて王太子に寄り添っている伯爵令嬢の方が不敬極まりなく、それに虐めをした所で不敬を先に働いたのは伯爵令嬢……。
「それ、良いわね」
「良いんじゃない?」
帝国や私も不利になる事はない。実際王太子の前で伯爵令嬢を虐めたら、勢いで婚約破棄を突きつけてくるかもしれない。むしろ突きつけて欲しい。
ガルムも、戦争はせず商売が出来たら良いのだろう。もう興味がないと言いたげで、私が教えた書類を書き込んでいく。他国の言葉を翻訳した文章だったのだが、一部きちんと翻訳されていなかったので、ガルムの持っていた原本から私が翻訳をしなおした。
ま、書類だけやって悠々自適生活を望んでいたので、色んな国の言葉は既に習得済みなのだ。私は目標の為には努力を厭わない。
だから、婚約破棄の為にも努力は厭わない。
「さて。虐めますか」
「やっちゃいましょう!」
「やってしまいましょう」
ベルとジェンが言うと、他の意味に聞こえる気がしたけれど、そこはあえて何も言わなかった。とてつもなく物騒にしか思えなかったから。
休憩時間が終わる少し前に、私はあえて伯爵令嬢が居る教室へ向かう。
とりあえず様子見というか、噂の事もあるので、私が行ったらどうなるのか、という興味からだったのだが。
「今度はペンがないわ……」
「まぁ!またあの女かしら!」
「名前だけの婚約者が……」
「嫉妬に狂って醜いわね」
ミルム令嬢が目に涙を浮かべて言えば、周囲に居た令嬢達は怒り出す。
どうやら只今、私が虐めをしたらしい現場のようだ。
伯爵令嬢はペンがなくなったとしか言っていないのに、それで虐め確定のように騒ぐのか……そして、私の名前を出さなければ良いと思っているのだろうか。
……しかし、ペンがなくなって……虐め?自分がしまった場所を間違えたとかではなく?
え?とてつもなく、くだらないと思えてしまうんだけれど……まず、紛失物として届ける程度の事ではなくて?
「いや、でも戦争は駄目でしょ」
「この商業ルート潰されるのは辛い……立地が良いんだよ、上はクズでも」
ガルムは最後の一文を私にだけ聞こえるよう呟きながら放った。
学園へ付いて早々、ガルムが書類を手に難しそうな顔をしていたので声をかけた。書類で悩む時間がもったいないし、むしろ他国との商売を見てみたいと興味を持った私は、ガルムを連れてそのまま中庭でサボっている。
ついでに、夜会で逃げた方が良いと言っていたガルムに現状を話した。あと、私の目的も話すと、驚くというよりは納得していた。
ガルムのいち早く先を見る事が出来る能力は、私も流石だと思ったからだ。まぁ商人だからこそでもあるだろう。
「戦争はデメリットしかないと思うが……帝国の威信もなぁ」
「王太子殿下の視界に入るという嫌がらせをしようかと思いまして」
「いっそ虐めた所で噂が事実になるだけ。王太子殿下自身が否定していない噂は本当だと皆思っているし」
確かに。王太子殿下は私に話しかける事もせず、ずっとミルム嬢にくっついている。むしろいつ虐める事が出来るのかと疑問に思う程。それ程一緒に居る王太子殿下が否定しないという事は肯定として受け取られているわけで……。
帝国皇女である私が、王太子殿下の寵愛を受けている方に嫉妬して虐め……。
そもそも王太子が婚約者である皇女を蔑ろにして伯爵令嬢を寵愛する事自体が不敬で、それに嫉妬したところで、身を引けと伯爵令嬢に言うのは正当。むしろ皇女を差し置いて王太子に寄り添っている伯爵令嬢の方が不敬極まりなく、それに虐めをした所で不敬を先に働いたのは伯爵令嬢……。
「それ、良いわね」
「良いんじゃない?」
帝国や私も不利になる事はない。実際王太子の前で伯爵令嬢を虐めたら、勢いで婚約破棄を突きつけてくるかもしれない。むしろ突きつけて欲しい。
ガルムも、戦争はせず商売が出来たら良いのだろう。もう興味がないと言いたげで、私が教えた書類を書き込んでいく。他国の言葉を翻訳した文章だったのだが、一部きちんと翻訳されていなかったので、ガルムの持っていた原本から私が翻訳をしなおした。
ま、書類だけやって悠々自適生活を望んでいたので、色んな国の言葉は既に習得済みなのだ。私は目標の為には努力を厭わない。
だから、婚約破棄の為にも努力は厭わない。
「さて。虐めますか」
「やっちゃいましょう!」
「やってしまいましょう」
ベルとジェンが言うと、他の意味に聞こえる気がしたけれど、そこはあえて何も言わなかった。とてつもなく物騒にしか思えなかったから。
休憩時間が終わる少し前に、私はあえて伯爵令嬢が居る教室へ向かう。
とりあえず様子見というか、噂の事もあるので、私が行ったらどうなるのか、という興味からだったのだが。
「今度はペンがないわ……」
「まぁ!またあの女かしら!」
「名前だけの婚約者が……」
「嫉妬に狂って醜いわね」
ミルム令嬢が目に涙を浮かべて言えば、周囲に居た令嬢達は怒り出す。
どうやら只今、私が虐めをしたらしい現場のようだ。
伯爵令嬢はペンがなくなったとしか言っていないのに、それで虐め確定のように騒ぐのか……そして、私の名前を出さなければ良いと思っているのだろうか。
……しかし、ペンがなくなって……虐め?自分がしまった場所を間違えたとかではなく?
え?とてつもなく、くだらないと思えてしまうんだけれど……まず、紛失物として届ける程度の事ではなくて?
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