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111.自分の事が何より大事

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どうやらシャルルとセドリックは、自らヒロインとなる位置に飛び込んで来た餌を面白いものと認識して興味を抱いたようだ。
王太子の側近という役割をしっかりとこなして監視していると、私達が言っていた通りに自分達に対して攻略していく中では、まだ予言の中に身を置いているという楽しさを味わっていただけのようだったが……クロヴィス公爵を攻略した辺りで、そういう人種だと理解し便乗したとの事だ。
更に王太子も攻略したのならば、ジルベールも諭して便乗させたと二人の口からハッキリ告げられた。

「な……」

攻略したつもりが、まさか攻略に便乗されていたとは思わなかったのか、ミモナ子爵令嬢は目を見開き、口をパクパクさせて驚いている。

「これは……円満解決……なのかしら?」
「事業がんばろう!」

疑問的に首を傾げるカローラに、私は考える事を放棄して、自分の未来だけを考えて言葉を口にした。
自分で選んで攻略したのならば、それは自分が選び掴み取った未来である。第三者である私に口をはさむ権利もなければ、考えるだけ無駄というもの。……頭が回らなくて、ゲーム感覚でしかなかったのは自業自得でしかない。自分の未来くらいは自分で考えないと。

「ちょ……ちょっと待ってよ!」
「考える頭を持ってたでしょうに……」
「選んで行動したのは自分でしょう」

素晴らしい神絵師のスチルしか考えなかった、目先の美貌にとらわれた挙句に攻略したのは自分でしかない。人は常日頃から選択ばかりの毎日だ。無意識のうちにでも選び取っているのは自分自身でしかない。それが積もり重なり未来へ連なっていく。

「だって……!」

肩を震わせて涙を流す子爵令嬢だが、それは今更でしかない。だっても何もないのだ。言い訳をしたところで時間は戻らない。
かわいそうだという同情心がないわけではないが……正直、関わる事によって自分の未来がどうなるか分からなくて怖い。ここからはゲームにない世界になるのだから。

「助けてよ!」
「無理よ」
「自分が大事」

パーティ会場に戻ろうとした私達に、そう声をあげた子爵令嬢に対して、私もカローラも即答する。
その返事に対して絶望の表情になるけれど、こればっかりは仕方ない。自分の力で何とかしてほしい。

「行こうか」
「行きましょう」

ポピーとアイビーがエスコートの為に出してくれた手を取り、私達は会場に戻っていく。

「見捨てる気!?」

そう喚く子爵令嬢の声が背後から聞こえ、ヒールの鳴る音が聞こえたが……

「いや、逃がす気ないよ~」
「むしろ逃げられませんよ」

セドリックとシャルルの楽しそうな声により令嬢は小さな悲鳴を上げた後に、私達を追いかけてくる様子はなかった。
うん……頑張れ……?
どう頑張るのか分からないながらも、心の中でそう祈りつつ……

「「円満解決~!!」」

私とカローラはハイタッチをして、これからの未来に胸を弾ませた。
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