【完結】こんな転生は嫌なので舞台から逃げようと思いますが、逃してもらえません!

かずきりり

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110.やっと理解したようで

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「それが何だって言うの!?」
「だから、これは夢物語でもなくて現実なんですよ」

アイビーがそう言えば、セドリックが子爵令嬢に向けて魔道具を放ったかと思ったら麻縄のような物が出てきて、子爵令嬢を縛り上げる。

「なっ!?」
「淑女としてあるまじき格好になっていますねぇ」

倒れた子爵令嬢の足はあらわになり、胸の布も少なかった為か、完全に露出しそうな程に溢れている。
二人の本領が発揮されるのか……なんて思わず俯いて現実逃避をしたくなる。あぁ……美しい絵姿の二人がよろしくない行動を起こして、よろしくない台詞を吐くのなんて見たくない……見たくないぞぉ……現実として目の前で起こって欲しくないぞぉ!!これ以上進みませんように!!
そう願う私の心を汲んでくれているのか、セドリックもシャルルも、それ以上行動を起こすような事はせず、一歩踏み込んだアイビーが更に言葉を紡いでいく。

「公爵に至っては否定して心をズタズタにした挙句、身体に傷をつけ穴をあけて……最終的には手足をなくすんでしたよね?それが貴方の未来ですね」
「……えっ……?」

アイビーの言葉に、初めてそれを知ったかのように驚き、目を見開いて呆然とする子爵令嬢は、こちらに視線を向けるも、私達も苦笑して頷くしか出来ない。
絶望したかのような子爵令嬢は何故か焦ってシャルルやセドリックの方を見ると、二人は満面の微笑みで頷いた。

「……え……」

口から小さく漏れ出た声は、本当にそれを予測していなかったかのようで、不安に震えるようだった。

「まぁ性癖の捌け口が出来たと思えば面白いというか十分ですね」
「共有ってのも、なかなか面白いよね。まぁ本人が望んでいるんだし?」
「っ!!!」

追い打ちをかけるようにシャルルとセドリックもそんな事を言う。二人は二人で真っ当な性癖だとは思っていなかったようだし、子爵令嬢が自ら籠の中に飛び込んできたかと思えば、それならばと思ったのだろう。
……私達から指摘された後というのもありそうだけど。
子爵令嬢は、やっとこれが現実だと気がついたのか、盛大に顔が引きつっている。いや、遅いだろ。

「……どれだけマゾなの……?」
「マゾって域なのかしら……?」
「……自虐趣味?」

思わず呟いた言葉にカローラとポピーも答える。自虐……うーん自虐?

「自殺希望者と変わりないかと」
「「「それだ」」」

アイビーの言葉に私達三人は声を合わせて盛大に頷いた。自らダルマになりたいなんて奇特な人、私は前世も今世も合わせて知らない。否、目の前に一人居たか。
あんなヤバイ公爵も攻略するって凄いよね~なんてセドリックが言う横でシャルルも頷いたかと思うと、二人は冷えた眼差しで子爵令嬢を眺めて言った。

「ま、結婚はしないけどね」
「満たすためだけの道具ですね」
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