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101.卒業パーティのエスコートは
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「ノックというものを学んで下さる!?」
「大丈夫だよ、二人がいちゃついてるのは理解してるから」
「そういう問題でもないのだけど!?」
混乱し慌てたように言うカローラに的外れな言葉を返すセドリックを、シャルルが前に出て頭を下げた。
「申し訳ありませんが、魔術馬鹿に何を言っても無駄ですので」
「ひどっ!」
その言葉に対しても、本気で怒る事なく返すセドリックは楽しそうに笑っている。
「何がそんなに楽しいの?」
「あ、そうそう。卒業パーティ、その二人にエスコートしてもらえる?」
「へ?」
「え?」
セドリックからのまさかの発言に、私とカローラは呆気に取られた声を出して、呆然とする。
「エスコートが変わった、お楽しみ?」
「面白い事があるんですよ」
ゲームのシナリオを知っている二人は何かを含んだかのようにだけ告げ、未だに呆然としている私達を置いて部屋から出ていった。
ゲーム本来の道筋ならば、誰かを攻略していた場合、ヒロインはその誰かにエスコートをされる。カローラも王太子ルート以外ならば王太子で、ヒロインが王太子ルートを選んでいた場合は一人で入場していた筈だ……。
ちなみにヒロインが誰も攻略出来なかった場合は、ヒロインが一人で入場するだけなのだが……。
「……どういう事?」
そう呟いたカローラは視線をアイビーに向けたので、私も釣られてアイビーに視線を向けてしまう。というか、アイビーなら知ってそう……いや確実知っててもおかしくない!という気持ちがある。
ポピーもそう思ったのだろうか、若干睨むかのようにしてアイビーに視線を向けたが、三人の視線をものともしないかのようにアイビーはカローラにだけ視線を向け微笑んだ。
「っ!!」
稀極まりないアイビーの笑顔だが、カローラの心臓にとっては最終兵器レベルなのだろう。顔を真っ赤にしてカローラが俯いて、顔を両手で抑えて呼吸を整えているが、私とポピーは思わず顔を見合わせ……
「……カローラにとって悪いようにはならないって事よね……」
「リズにとっては分からないけどね……」
そんな会話をしながら肩を落とした。
アイビーのカローラ中心は嫌という程に理解しているからこそ、私も無事でいられる未来でありますようにと願う。
「……ドレス……どうしようかな」
「一緒に作りましょう!」
「軽いやつが良いな」
「流行とかもうどうでも良いわ」
完全なる現実逃避のように呟けば、カローラが顔を上げて叫んだ。むしろこっちとしても願ったり叶ったりではある。そして流行も貴族らしさもどこ吹く風といった感じで、前世で知るシンプルで好みのドレスのアイデアをお互いに出し合って、色だけパートナーにそろえたものにしようと決まった。
「大丈夫だよ、二人がいちゃついてるのは理解してるから」
「そういう問題でもないのだけど!?」
混乱し慌てたように言うカローラに的外れな言葉を返すセドリックを、シャルルが前に出て頭を下げた。
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「ひどっ!」
その言葉に対しても、本気で怒る事なく返すセドリックは楽しそうに笑っている。
「何がそんなに楽しいの?」
「あ、そうそう。卒業パーティ、その二人にエスコートしてもらえる?」
「へ?」
「え?」
セドリックからのまさかの発言に、私とカローラは呆気に取られた声を出して、呆然とする。
「エスコートが変わった、お楽しみ?」
「面白い事があるんですよ」
ゲームのシナリオを知っている二人は何かを含んだかのようにだけ告げ、未だに呆然としている私達を置いて部屋から出ていった。
ゲーム本来の道筋ならば、誰かを攻略していた場合、ヒロインはその誰かにエスコートをされる。カローラも王太子ルート以外ならば王太子で、ヒロインが王太子ルートを選んでいた場合は一人で入場していた筈だ……。
ちなみにヒロインが誰も攻略出来なかった場合は、ヒロインが一人で入場するだけなのだが……。
「……どういう事?」
そう呟いたカローラは視線をアイビーに向けたので、私も釣られてアイビーに視線を向けてしまう。というか、アイビーなら知ってそう……いや確実知っててもおかしくない!という気持ちがある。
ポピーもそう思ったのだろうか、若干睨むかのようにしてアイビーに視線を向けたが、三人の視線をものともしないかのようにアイビーはカローラにだけ視線を向け微笑んだ。
「っ!!」
稀極まりないアイビーの笑顔だが、カローラの心臓にとっては最終兵器レベルなのだろう。顔を真っ赤にしてカローラが俯いて、顔を両手で抑えて呼吸を整えているが、私とポピーは思わず顔を見合わせ……
「……カローラにとって悪いようにはならないって事よね……」
「リズにとっては分からないけどね……」
そんな会話をしながら肩を落とした。
アイビーのカローラ中心は嫌という程に理解しているからこそ、私も無事でいられる未来でありますようにと願う。
「……ドレス……どうしようかな」
「一緒に作りましょう!」
「軽いやつが良いな」
「流行とかもうどうでも良いわ」
完全なる現実逃避のように呟けば、カローラが顔を上げて叫んだ。むしろこっちとしても願ったり叶ったりではある。そして流行も貴族らしさもどこ吹く風といった感じで、前世で知るシンプルで好みのドレスのアイデアをお互いに出し合って、色だけパートナーにそろえたものにしようと決まった。
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