【完結】こんな転生は嫌なので舞台から逃げようと思いますが、逃してもらえません!

かずきりり

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90.父がやってきたけど……

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変わらない学園生活……ではなく、カローラとアイビーの距離が思いっきり近くなった上に、セドリックやシャルルと楽しんでいるという、ゲーム設定ではありえない日々を過ごしていたが、休日また街へ繰り出してポピーとデートでもしようと思っていた矢先、父が王都へ会いに来るという手紙を貰った。



「……お久しぶりです?お父様?」
「……何故疑問形なんだ……」

借りているタウンハウスに父がやってきて、一応出迎えたのだが、会って居ないと何か違和感があるのは仕方ないと思う。子どもが巣立つって、きっとこういう事。なんて自分に都合良い事を思いながら、サロンへ案内する。
父と従者だけがやってきて、母は居ないのが気にはなる。母の側から離れない父が、何故母を置いてきたんだろう?何かモヤモヤする……。
そんな事を考えながらサロンに到着すると、席に座り、お茶の準備を頼む。

「……そういえばポピーの目利きで貴族向け商品を開発したそうだな」
「えぇ。量産出来ないので予約販売にしようと、後はシャルルが色々と整えてくれています」

貴族向けの形などはカローラと考案し、簡単なチョコの飾りも面白いと、シャルルが色々と裏からまた手を回しているのだ。
父には一応報告書的な形で送っていたのだが、何故か溜息をついて頭を押さえながら一息ついた後に言葉を紡いだ。

「お前に見合いの話が沢山来ている」

父がそう言うと、父の従者が沢山の釣書だろう物をテーブルの上に置いた。

「嫌です!!」

見る事すら拒否するという姿勢で私は父を睨みつけて言ったが、父も引かない。

「ポピー、ポピーと。貴族令嬢であれば政略結婚は当たり前だ。そもそもお前は半分平民だからこそ、お前の為を思って後ろ盾を作った方が良いと言っているんだ。分かってくれ」

そんな事を言われても、それは私のせいではない。
知らない、聞かないという意思を伝えるように、私は父から視線を背けてそっぽむいた。

「リズの事業が成功しているとして、婿に行っても良いという次男以降の者から、こんなに来ているんだ」
「人の事業を目的にされても。そんなの私を欲して居ないと同じじゃない」
「それが貴族だ」
「私はポピーが好きなんです!!」

イラッとして怒鳴り返せば、父は両手で頭を抑えて俯いた。父の従者は分かってたと言わんばかりに涼しい顔をして変わらず立っていたが、ポピーもかなり驚いた顔をしていた。……ポピー、何で……。

「そうなれば貴族の血が薄くなってしまう事は理解しているだろう?リズ」

縋るような目で父が見つめてきたが、私はとてもイラついた。

「自分だって出来なかったくせに!!!」
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