90 / 112
90.父がやってきたけど……
しおりを挟む
変わらない学園生活……ではなく、カローラとアイビーの距離が思いっきり近くなった上に、セドリックやシャルルと楽しんでいるという、ゲーム設定ではありえない日々を過ごしていたが、休日また街へ繰り出してポピーとデートでもしようと思っていた矢先、父が王都へ会いに来るという手紙を貰った。
「……お久しぶりです?お父様?」
「……何故疑問形なんだ……」
借りているタウンハウスに父がやってきて、一応出迎えたのだが、会って居ないと何か違和感があるのは仕方ないと思う。子どもが巣立つって、きっとこういう事。なんて自分に都合良い事を思いながら、サロンへ案内する。
父と従者だけがやってきて、母は居ないのが気にはなる。母の側から離れない父が、何故母を置いてきたんだろう?何かモヤモヤする……。
そんな事を考えながらサロンに到着すると、席に座り、お茶の準備を頼む。
「……そういえばポピーの目利きで貴族向け商品を開発したそうだな」
「えぇ。量産出来ないので予約販売にしようと、後はシャルルが色々と整えてくれています」
貴族向けの形などはカローラと考案し、簡単なチョコの飾りも面白いと、シャルルが色々と裏からまた手を回しているのだ。
父には一応報告書的な形で送っていたのだが、何故か溜息をついて頭を押さえながら一息ついた後に言葉を紡いだ。
「お前に見合いの話が沢山来ている」
父がそう言うと、父の従者が沢山の釣書だろう物をテーブルの上に置いた。
「嫌です!!」
見る事すら拒否するという姿勢で私は父を睨みつけて言ったが、父も引かない。
「ポピー、ポピーと。貴族令嬢であれば政略結婚は当たり前だ。そもそもお前は半分平民だからこそ、お前の為を思って後ろ盾を作った方が良いと言っているんだ。分かってくれ」
そんな事を言われても、それは私のせいではない。
知らない、聞かないという意思を伝えるように、私は父から視線を背けてそっぽむいた。
「リズの事業が成功しているとして、婿に行っても良いという次男以降の者から、こんなに来ているんだ」
「人の事業を目的にされても。そんなの私を欲して居ないと同じじゃない」
「それが貴族だ」
「私はポピーが好きなんです!!」
イラッとして怒鳴り返せば、父は両手で頭を抑えて俯いた。父の従者は分かってたと言わんばかりに涼しい顔をして変わらず立っていたが、ポピーもかなり驚いた顔をしていた。……ポピー、何で……。
「そうなれば貴族の血が薄くなってしまう事は理解しているだろう?リズ」
縋るような目で父が見つめてきたが、私はとてもイラついた。
「自分だって出来なかったくせに!!!」
「……お久しぶりです?お父様?」
「……何故疑問形なんだ……」
借りているタウンハウスに父がやってきて、一応出迎えたのだが、会って居ないと何か違和感があるのは仕方ないと思う。子どもが巣立つって、きっとこういう事。なんて自分に都合良い事を思いながら、サロンへ案内する。
父と従者だけがやってきて、母は居ないのが気にはなる。母の側から離れない父が、何故母を置いてきたんだろう?何かモヤモヤする……。
そんな事を考えながらサロンに到着すると、席に座り、お茶の準備を頼む。
「……そういえばポピーの目利きで貴族向け商品を開発したそうだな」
「えぇ。量産出来ないので予約販売にしようと、後はシャルルが色々と整えてくれています」
貴族向けの形などはカローラと考案し、簡単なチョコの飾りも面白いと、シャルルが色々と裏からまた手を回しているのだ。
父には一応報告書的な形で送っていたのだが、何故か溜息をついて頭を押さえながら一息ついた後に言葉を紡いだ。
「お前に見合いの話が沢山来ている」
父がそう言うと、父の従者が沢山の釣書だろう物をテーブルの上に置いた。
「嫌です!!」
見る事すら拒否するという姿勢で私は父を睨みつけて言ったが、父も引かない。
「ポピー、ポピーと。貴族令嬢であれば政略結婚は当たり前だ。そもそもお前は半分平民だからこそ、お前の為を思って後ろ盾を作った方が良いと言っているんだ。分かってくれ」
そんな事を言われても、それは私のせいではない。
知らない、聞かないという意思を伝えるように、私は父から視線を背けてそっぽむいた。
「リズの事業が成功しているとして、婿に行っても良いという次男以降の者から、こんなに来ているんだ」
「人の事業を目的にされても。そんなの私を欲して居ないと同じじゃない」
「それが貴族だ」
「私はポピーが好きなんです!!」
イラッとして怒鳴り返せば、父は両手で頭を抑えて俯いた。父の従者は分かってたと言わんばかりに涼しい顔をして変わらず立っていたが、ポピーもかなり驚いた顔をしていた。……ポピー、何で……。
「そうなれば貴族の血が薄くなってしまう事は理解しているだろう?リズ」
縋るような目で父が見つめてきたが、私はとてもイラついた。
「自分だって出来なかったくせに!!!」
13
お気に入りに追加
455
あなたにおすすめの小説
転生したら冷徹公爵様と子作りの真っ最中だった。
シェルビビ
恋愛
明晰夢が趣味の普通の会社員だったのに目を覚ましたらセックスの真っ最中だった。好みのイケメンが目の前にいて、男は自分の事を妻だと言っている。夢だと思い男女の触れ合いを楽しんだ。
いつまで経っても現実に戻る事が出来ず、アルフレッド・ウィンリスタ公爵の妻の妻エルヴィラに転生していたのだ。
監視するための首輪が着けられ、まるでペットのような扱いをされるエルヴィラ。転生前はお金持ちの奥さんになって悠々自適なニートライフを過ごしてたいと思っていたので、理想の生活を手に入れる事に成功する。
元のエルヴィラも喋らない事から黙っていても問題がなく、セックスと贅沢三昧な日々を過ごす。
しかし、エルヴィラの両親と再会し正直に話したところアルフレッドは激高してしまう。
「お前なんか好きにならない」と言われたが、前世から不憫な男キャラが大好きだったため絶対に惚れさせることを決意する。
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
婚約破棄したい悪役令嬢と呪われたヤンデレ王子
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「フレデリック殿下、私が十七歳になったときに殿下の運命の方が現れるので安心して下さい」と婚約者は嬉々として自分の婚約破棄を語る。
それを阻止すべくフレデリックは婚約者のレティシアに愛を囁き、退路を断っていく。
そしてレティシアが十七歳に、フレデリックは真実を語る。
※王子目線です。
※一途で健全?なヤンデレ
※ざまああり。
※なろう、カクヨムにも掲載
初めての相手が陛下で良かった
ウサギテイマーTK
恋愛
第二王子から婚約破棄された侯爵令嬢アリミアは、王子の新しい婚約者付の女官として出仕することを命令される。新しい婚約者はアリミアの義妹。それどころか、第二王子と義妹の初夜を見届けるお役をも仰せつかる。それはアリミアをはめる罠でもあった。媚薬を盛られたアリミアは、熱くなった体を持て余す。そんなアリミアを助けたのは、彼女の初恋の相手、現国王であった。アリミアは陛下に懇願する。自分を抱いて欲しいと。
※ダラダラエッチシーンが続きます。苦手な方は無理なさらずに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる