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89.ポピーが居ないと作れない
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「へぇ、なかなか面白いね」
「味のバランスですか……」
セドリックとシャルルの反応は良く、これならば売り出しても良いなと思える。貴族向けの方が高額になるけれど、やはり元平民としては、やはり手が出しやすい商品を開発したいところもあって……正直、前世でも高いチョコと安いチョコとあったけど、高いチョコなんてバレンタインというイベントで自分へのご褒美に買うようなものだった。というか、その時にこれでもかって程に売り出すけど、普段はどこに売ってるんですか?というレベルでもあったしね。
普段はただの一口チョコで満足な庶民だったんだよ、疲労困憊した身体に甘い物で回復を!!というだけだったんだよねー。
なんて前世に思い耽っていると、カローラが難しい顔をしながら口を開いた。
「……この味のバランス……ポピー以外で作れる?」
「へ」
思わず間の抜けた声を出してしまう。カローラの言っている意味を意図する事が出来なかったが、その意図を正しく把握したのだろうか、セドリックとシャルルはこっちに視線を向けた。
アイビーもその言葉を正しく理解しようとしたのか、二つのチョコを食べ比べた後、口を開いた。
「ドライフルーツ一つ一つを味見してからチョコでコーティングするのですか?」
「あ」
そうだ。これは甘いとカゴに入れられた物を信じて買ったとしてもその中にいくつか酸味があるものが混じっているのは前世でも今世でも同じだ。
甘さを測るものでもあれば別なのだろうけど、これはポピーの目利きがあってこそ出来た作り分けであって、ポピーが居なければ味のバランスも何もないどころか、酸味が多いのか甘味があるのか分からないのでコーティングするにしても味見しないと分けようがないのだ。
「……量産は諦めよう」
確実に仕分けするものは貴族向けにする事にすると私が言うと、周囲はうんうんと頷いた。
ポピー居てこその事業だが、そうなると手がまわらなくなるのは分かる。完全予約制とかにして月一回販売するか……平民向けに金額を抑えて数を作るのは意外と難しいなぁなんて思ってしまう。
というか、果物はドライフルーツにするだけで、ある程度甘みは出るし、むしろ甘いチョコでコーティングしてしまうのも手じゃないだろうか?
苦味があるチョコというのを、わざわざ買うとしても嗜好品程度に甘い物があまり好きではない貴族男性だったりするし……。
なんて頭の中で色々計算していく。そんな私の様子をポピーが真剣な眼差しで眺めている事には全く気がつかず。
「味のバランスですか……」
セドリックとシャルルの反応は良く、これならば売り出しても良いなと思える。貴族向けの方が高額になるけれど、やはり元平民としては、やはり手が出しやすい商品を開発したいところもあって……正直、前世でも高いチョコと安いチョコとあったけど、高いチョコなんてバレンタインというイベントで自分へのご褒美に買うようなものだった。というか、その時にこれでもかって程に売り出すけど、普段はどこに売ってるんですか?というレベルでもあったしね。
普段はただの一口チョコで満足な庶民だったんだよ、疲労困憊した身体に甘い物で回復を!!というだけだったんだよねー。
なんて前世に思い耽っていると、カローラが難しい顔をしながら口を開いた。
「……この味のバランス……ポピー以外で作れる?」
「へ」
思わず間の抜けた声を出してしまう。カローラの言っている意味を意図する事が出来なかったが、その意図を正しく把握したのだろうか、セドリックとシャルルはこっちに視線を向けた。
アイビーもその言葉を正しく理解しようとしたのか、二つのチョコを食べ比べた後、口を開いた。
「ドライフルーツ一つ一つを味見してからチョコでコーティングするのですか?」
「あ」
そうだ。これは甘いとカゴに入れられた物を信じて買ったとしてもその中にいくつか酸味があるものが混じっているのは前世でも今世でも同じだ。
甘さを測るものでもあれば別なのだろうけど、これはポピーの目利きがあってこそ出来た作り分けであって、ポピーが居なければ味のバランスも何もないどころか、酸味が多いのか甘味があるのか分からないのでコーティングするにしても味見しないと分けようがないのだ。
「……量産は諦めよう」
確実に仕分けするものは貴族向けにする事にすると私が言うと、周囲はうんうんと頷いた。
ポピー居てこその事業だが、そうなると手がまわらなくなるのは分かる。完全予約制とかにして月一回販売するか……平民向けに金額を抑えて数を作るのは意外と難しいなぁなんて思ってしまう。
というか、果物はドライフルーツにするだけで、ある程度甘みは出るし、むしろ甘いチョコでコーティングしてしまうのも手じゃないだろうか?
苦味があるチョコというのを、わざわざ買うとしても嗜好品程度に甘い物があまり好きではない貴族男性だったりするし……。
なんて頭の中で色々計算していく。そんな私の様子をポピーが真剣な眼差しで眺めている事には全く気がつかず。
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