【完結】こんな転生は嫌なので舞台から逃げようと思いますが、逃してもらえません!

かずきりり

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88.事後報告に肩を落とす

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学園に行くと、カローラの側にはアイビーが居て、カローラが無事な事もアイビーが戻ってきたことも安心した。
理由を聞きたいとシャルルやセドリックが昼休みに高位貴族用のサロンを一つ貸切にしてくれて集まったわけだが、朝から輝くような眼差しでアイビーを見ているジルベールが気になっていた。

「だから……あれなの……」
「何やってるんですか……」

理由を聞いたセドリックとシャルルは頭を抱えて唸っている。そんな私も思わず絶句し、口角が無意識に引きつっているのを止められない。

「むしろ無事で良かったと思うべきなんだろうけど……」
「婚約者以外の男性と抱き合った事を問題にされず良かったと思うべきか……」

私とポピーの言葉にセドリックとシャルルは窓の外へ視線を向けた。
この場で立場は本当に関係ないようなもので、ポピーも椅子に座って私達とお茶を飲んでいるのだが……今までは生徒ではないからと頑なとして椅子に座らなかったアイビーなのだが……

「もうアイビー以外考えられないって分かったのよ」

そう胸を張って言うカローラはアイビーの膝に座っている。
それを嫌とも言わずに大人しく従い、少し目尻が下がっているかのような優しい雰囲気のアイビーに違和感しかないのだが、もはや誰も突っ込みを入れない。むしろ突っついたら何が出てくるか分からないから無闇矢鱈と突っ込みを入れない、というのが正しいとも言う。
この状況をどうしろと言うのか……そんな事を言いたげなセドリックとシャルルの目線が交わるが、私はそれに対し関係ないという姿勢を貫かせてもらう!
もういっそこのまま醜聞で追放されれば良いんじゃないか!?アイビールートでハッピーエンド!私はポピーと……あれ?そいえばあれから進展がないような……。

「ちょっと、ちょっとー???リズー?チョコはー???」

私が自分の思考に溺れて、うんうん唸っている所にセドリックがチョコの催促をしてきた事により意識が浮上する。

「あ、これ!試作だけど」

そう。今日はドライフルーツにチョコをかけたものを試作として持ってきたのだ。
これなら平民向けに出来るし、形を整えて綺麗に見せたものならば貴族向けに出来ないかという魂胆だ。
ポピーに探してきてもらって、セドリックに以前作ってもらったオーブンのような魔道具でドライフルーツを作ったのだが、酸味があるフルーツには甘いチョコを。甘いフルーツには苦味が強いチョコを使用して、味にメリハリをつけてみました!
そんな説明をして二つのチョコと、綺麗な四角に少し装飾のようなチョコ飾りをつけたものも出して皆に試食を促すと、おぉおおと感嘆の声があがった。
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