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86.数には勝てませんね
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「男は殺しても良いぞー!但し持ってる物は売れそうだから身ぐるみ剥がせ!」
「女は良い値段で売れそうだ!殺すなよ!」
人身売買組織なのだろうか、そんな言葉が飛び交っている。
金になるかならないか、人間ですら商品のように扱う様に嫌悪感が湧き上がる。確かに外見が大事だと言う風潮は前世でも今世でもあるけれど、生まれ持った選べない物でそこまで言われるなんて、前世でも今世でも真逆とは言え嫌という程に経験してきた私としては許しがたい。
どうなっても良いな、なんて思っていたのと反転して、一気にぶちのめしたい思考で染まった私は破落戸達の隙間を縫ってジルベールの方へ駆け寄った。
「カローラ様!?」
ジルベールと背を向け合う格好で破落戸と向き合う私に、ジルベールは驚きの声をあげるも、その後にカローラ様と共闘!?まさかの!?いやでもそうなると美しい闘う姿を見る事が出来ない!なんて呟いているのが聞こえるが気にしたら色んな意味で終わりな気がする……既に色々メンタルが殺られた感じがする……。
「やっちまえ!!」
掛け声を上げて動き出すのは、バラバラに動かない為なのだろうか、なんて事を考えながらも、相手の懐に入っては急所を突き上げて行くも、なかなか一撃では倒せない相手も中には居るわけで……筋肉に関係ない箇所を狙いたくても、それは相手も自分の急所としてしっかり守っていたりする。
ジルベールの方も、剣を構えているとは言っても、相手も剣を持っているようで、その剣筋は重いのだろう、受け止め、交わしあっている。
人数的な事を考えても、明らかにこちらが不利だ。いくら鍛えていると言っても、どこからか湧いて出てくる奴等とは違い、こちらは持久力も鍵となってしまう。
一人……二人……三人……
着実に地へ伏せていく人数は増えているのに、立っている人数は全く減っていないように感じる。
こんな状態になってもアイビーはいなくて、私の隣に居るのは何故か暴力男のジルベールだ。そんな状況に思わず涙が溢れてしまいそうになる。
せめて……最後の瞬間くらいアイビーという推しの顔を見て迎えたい!!
なんて、前世ではある意味で叶えられなかった願いを切望すると、また涙が溢れて視界が歪んだ……ところで
「カローラ様!!!」
一瞬の隙を付いて、破落戸に腕を引っ張られ羽交い締めにされてしまう。
焦ったかのようなジルベールも、私を人質のように取られて、その剣を下げる他ない。いや、貴方ならば関係なしに剣を振るってもおかしくないのに、どうして忠犬のようになった。なんて皮肉さえ浮かんでくるも
「っ!!」
容赦なく捻り上げられ掴まれた腕の痛みに、短い悲鳴を漏らした瞬間
――一筋の風が舞った――
「女は良い値段で売れそうだ!殺すなよ!」
人身売買組織なのだろうか、そんな言葉が飛び交っている。
金になるかならないか、人間ですら商品のように扱う様に嫌悪感が湧き上がる。確かに外見が大事だと言う風潮は前世でも今世でもあるけれど、生まれ持った選べない物でそこまで言われるなんて、前世でも今世でも真逆とは言え嫌という程に経験してきた私としては許しがたい。
どうなっても良いな、なんて思っていたのと反転して、一気にぶちのめしたい思考で染まった私は破落戸達の隙間を縫ってジルベールの方へ駆け寄った。
「カローラ様!?」
ジルベールと背を向け合う格好で破落戸と向き合う私に、ジルベールは驚きの声をあげるも、その後にカローラ様と共闘!?まさかの!?いやでもそうなると美しい闘う姿を見る事が出来ない!なんて呟いているのが聞こえるが気にしたら色んな意味で終わりな気がする……既に色々メンタルが殺られた感じがする……。
「やっちまえ!!」
掛け声を上げて動き出すのは、バラバラに動かない為なのだろうか、なんて事を考えながらも、相手の懐に入っては急所を突き上げて行くも、なかなか一撃では倒せない相手も中には居るわけで……筋肉に関係ない箇所を狙いたくても、それは相手も自分の急所としてしっかり守っていたりする。
ジルベールの方も、剣を構えているとは言っても、相手も剣を持っているようで、その剣筋は重いのだろう、受け止め、交わしあっている。
人数的な事を考えても、明らかにこちらが不利だ。いくら鍛えていると言っても、どこからか湧いて出てくる奴等とは違い、こちらは持久力も鍵となってしまう。
一人……二人……三人……
着実に地へ伏せていく人数は増えているのに、立っている人数は全く減っていないように感じる。
こんな状態になってもアイビーはいなくて、私の隣に居るのは何故か暴力男のジルベールだ。そんな状況に思わず涙が溢れてしまいそうになる。
せめて……最後の瞬間くらいアイビーという推しの顔を見て迎えたい!!
なんて、前世ではある意味で叶えられなかった願いを切望すると、また涙が溢れて視界が歪んだ……ところで
「カローラ様!!!」
一瞬の隙を付いて、破落戸に腕を引っ張られ羽交い締めにされてしまう。
焦ったかのようなジルベールも、私を人質のように取られて、その剣を下げる他ない。いや、貴方ならば関係なしに剣を振るってもおかしくないのに、どうして忠犬のようになった。なんて皮肉さえ浮かんでくるも
「っ!!」
容赦なく捻り上げられ掴まれた腕の痛みに、短い悲鳴を漏らした瞬間
――一筋の風が舞った――
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