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83.同類ですかね

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とりあえずシャルルの考察的に、支配されたい方に傾いているので現状は大丈夫なのではないかと様子を見る事になった。むしろ王太子の婚約者という立場上、ジルベールも忠犬の如く守る事はあれど、下手な手出しはしないだろうとの事だった。
婚約者という肩書きなんて要らなかったカローラは、その肩書きに守られている事に凄く居心地が悪そうだが、セドリックは相変わらず、そんなのどうでも良くない?な姿勢だった。本当に大雑把だな。

「カローラ様、こちらを」
「……ありがとう」

食が進んでいないカローラにポピーは瑞々しい果物を切って渡した。
元気がないからこそ、甘いお菓子よりも熟した果物なのだろう。それを見て、私はポピーにこっそり耳打ちした。揃えて欲しい果物があるのだ。

「アイビーがカローラから離れるとは思えないんだけどねぇ」

セドリックがポツリと呟いた言葉にカローラ以外の皆が頷く。ある意味でアイビーは執事として以上にカローラに対して盲目な感じがする。ただ側に居るだけなのに、あのオーラから執着的な何かが読み取れる。
……そもそも拾ってもらったからと、相手の推しそっくりになるなんて、一体どんな志だよ!!並大抵の事じゃないぞ!?

「意外とずっと側で見ていたりするかもしれませんね」

ガタッ!!

カローラが音を立てて椅子から立ち上がる。シャルルもセドリックのように笑えない冗談を言っただけなのかもしれないが、その言葉に皆が目を見開いた。
だってアイビーだよ?アイビーなんだ。
気配を消して物陰からカローラを見ていたとしても可笑しくない。むしろカローラに何かあってはいけないとずっと付かず離れずの距離に居そうだ。

「だとしたら昨日の破落戸事件は……」
「……カローラ様なら簡単に倒せると思って姿を現さなかった……?」

私の言葉に対し、一緒にその現場を見ていたポピーは自分の考えを口に出した。確かにあの動きをアイビーが知っているならば、その可能性は高いだろう。本当の危険が迫っていたらアイビーが出てきていたかもしれないけれど。

「でもそれならば、カローラがあれだけ号泣している時点で出てきても良いのでは?」
「殿下が自分欲しさにカローラ嬢との婚姻を願ってる事を考えたら、その程度と思えませんか?」

私の言葉にシャルルが返す。
確かにその通りだ。自分が側に居たらカローラはそれ以上に泣いて鳴き叫ぶ未来が待っていると考えたら、そこは我慢して見守るか……。

「……アイビー……っ!」

私達のやり取りを呆然を立ったまま聞いていたカローラが、そう一言口にした瞬間、駆け出してサロンから出て行ったが、この時の私達は自分の周囲にアイビーが居ないのか探しに行ったのかと思っていた。
それが大違いだったわけなのだけど……。
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