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79.悪役令嬢がヒロインですか?
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護衛くらい連れてこい。
アイビー捜索を開始して僅か十分。そんな事を叫びたくなったのは、今の現状にある。
そうだね、いくら質素に見える服を着ていたとしても綺麗だし、上質な布だし。何より毎日手入れされて美しい髪と肌というのは、平民にはないものだ。
いくら隠そうとも隠せないのは動作や言葉使いだけではないと言う事よね。うん、わかってた。忘れてたよ!
「カローラは……何をやってるの……」
目に見える距離に居たけれど、私とポピーはカローラから少し離れてお互い色んな方向へ視線をやりつつ、道行く人に訪ね歩いていた所、カローラが見るからにガラの悪い男にぶつかったのだ。
「あー?何か身なり良いガキじゃねぇか」
「いてぇなぁ。こりゃ治療費いただかねぇとなぁ」
どこの世界も同じ思考回路なのだろうか。結局、目的は金なのだから適当にいちゃもん付けたいのだろうけど……。なんて事を考えている内にカローラは仲間だろう男達に囲まれて、気が付けば路地裏に連れ込まれて行った。
「あっ!!」
「リズ!誰か呼んで来て!!」
私が小さく叫び声をあげると、ポピーはそう言ってカローラを追って行った。
ちょ!?ポピーが行っても無残な姿が二つ並ぶだけじゃないの!?
そんな事を思いながら、私は周囲をキョロキョロ見渡し真っ青な顔しながら、どうしよう……誰か……と呟くしか出来ない。
この世界の事をあまり知らないという自業自得に加え、ここは王都で、地理もろくに理解していない。
交番のような何か……警察のような存在……兵士?どこに行けば?誰に言えば??そんな事をぐるぐる考えていたら、ふいに声がかかった。
「……おい、どうした」
今世で声を聞いた事はないが、前世では聞いた事がある。ゲーム画面から流れる、とある声優と同じような低く威圧がある声に、私は出会いたくないし関わり合いたくもないと思いながらも、今はこの人に頼るのが最善策のような気がした。
「た……助けて下さい!カローラが!」
ピクリと眉間が動くだけなのは、とっとと要件を言えという事だろう。私はカローラが破落戸に囲まれて、そこの路地裏に連れ込まれた事、私の従者が咄嗟に追いかけた事を伝える。
「来い」
ここに一人で残ったとしても、帰り道すら分からない。
大人しく彼の言葉に従って後ろを付いて行こうとするも、その歩みは早く小走りになってしまう。
流石……護衛騎士。王太子の婚約者が危険に晒されているというのならば何かがある前に駆けつけなくてはいけないもの……と思っていた所に、ふと思い出した。
これ……ヒロインが歩むべきルートをカローラが行っていないか?と。
暴力でヒロインを支配するジルベール・パキエの背中を見ながら、私の背筋に寒気が走った。
アイビー捜索を開始して僅か十分。そんな事を叫びたくなったのは、今の現状にある。
そうだね、いくら質素に見える服を着ていたとしても綺麗だし、上質な布だし。何より毎日手入れされて美しい髪と肌というのは、平民にはないものだ。
いくら隠そうとも隠せないのは動作や言葉使いだけではないと言う事よね。うん、わかってた。忘れてたよ!
「カローラは……何をやってるの……」
目に見える距離に居たけれど、私とポピーはカローラから少し離れてお互い色んな方向へ視線をやりつつ、道行く人に訪ね歩いていた所、カローラが見るからにガラの悪い男にぶつかったのだ。
「あー?何か身なり良いガキじゃねぇか」
「いてぇなぁ。こりゃ治療費いただかねぇとなぁ」
どこの世界も同じ思考回路なのだろうか。結局、目的は金なのだから適当にいちゃもん付けたいのだろうけど……。なんて事を考えている内にカローラは仲間だろう男達に囲まれて、気が付けば路地裏に連れ込まれて行った。
「あっ!!」
「リズ!誰か呼んで来て!!」
私が小さく叫び声をあげると、ポピーはそう言ってカローラを追って行った。
ちょ!?ポピーが行っても無残な姿が二つ並ぶだけじゃないの!?
そんな事を思いながら、私は周囲をキョロキョロ見渡し真っ青な顔しながら、どうしよう……誰か……と呟くしか出来ない。
この世界の事をあまり知らないという自業自得に加え、ここは王都で、地理もろくに理解していない。
交番のような何か……警察のような存在……兵士?どこに行けば?誰に言えば??そんな事をぐるぐる考えていたら、ふいに声がかかった。
「……おい、どうした」
今世で声を聞いた事はないが、前世では聞いた事がある。ゲーム画面から流れる、とある声優と同じような低く威圧がある声に、私は出会いたくないし関わり合いたくもないと思いながらも、今はこの人に頼るのが最善策のような気がした。
「た……助けて下さい!カローラが!」
ピクリと眉間が動くだけなのは、とっとと要件を言えという事だろう。私はカローラが破落戸に囲まれて、そこの路地裏に連れ込まれた事、私の従者が咄嗟に追いかけた事を伝える。
「来い」
ここに一人で残ったとしても、帰り道すら分からない。
大人しく彼の言葉に従って後ろを付いて行こうとするも、その歩みは早く小走りになってしまう。
流石……護衛騎士。王太子の婚約者が危険に晒されているというのならば何かがある前に駆けつけなくてはいけないもの……と思っていた所に、ふと思い出した。
これ……ヒロインが歩むべきルートをカローラが行っていないか?と。
暴力でヒロインを支配するジルベール・パキエの背中を見ながら、私の背筋に寒気が走った。
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