77 / 112
77.アイビーが消えました
しおりを挟む
侯爵令嬢あるまじき顔面に思わず顔が引きつってしまう……と言ってしまえば失礼になるのは分かっているんだけれど、表情を出さないという貴族令嬢なのに、ここまで顔を歪めて大粒の涙を流しまくっているのは……
かろうじて上級庶民かと思われる服装なのが幸いというか……うん、そんな格好で大泣きって、本当に何があったんだ!?
「カローラ様」
ポピーが慌てて駆け寄り、自分のジャケットをカローラの頭から被せた。あ!ずるい!なんて思う反面、いつもならばすぐにカローラへ寄り添うアイビーが居ない事に疑問を持って、その姿を探す為に周囲へ視線を投げるも姿を確認出来る事はない。
ポピーも同じように探したのか、少し首を傾げながらも、カローラを椅子に座らせると店員に追加で紅茶を注文した。
「……アイビーが……」
出された紅茶を一口飲んだら落ち着いたのか、カローラの嗚咽も少し小さくなった時、やっと口を開いた。
「……アイビーが、消えたの」
「は?」
「高速移動という意味ですか?」
カローラの言葉に、私は思わず素っ頓狂な声で聞き返し、ポピーに至っては真面目に聞き返した。
確かにアイビーならそういう意味で消えそうだ。普通の人間であれば消えるなんて芸当は無理だけれど。
「違うの!そういう意味じゃなくて!……いなくなったの!!」
「「???」」
今度こそ言葉として理解出来るのだが、意味として理解できなくてポピーと二人顔を合わせるも、脳内が疑問符で埋め尽くされてしまう。
アイビーが居なくなった?
……居なくなった??
「トイレ?」
「隠密活動?」
「行方不明よ!!この置き手紙を残して!!」
私とポピーが的外れな事を言いすぎたのか、カローラが机の上に一通の手紙を叩き置いた。
バンッと大きな音が響き、机の上にあったカップがカチャンと音を立てるのを聞きながらも乱暴だなーとだけ思っただけだったのだが……ポピーはその手紙を開けて読み進めるにつれて目を見開かせた。
「アイビーを探してたらリズを見かけて……急いで追いかけてきたの……どうしよう!?」
カローラが縋るような目で私を見るが、私はポピーから回された置き手紙にまず視線を向ける。
何がどうなっているのか、まず理解しないと何とも言いようがないからなのだが……
『俺が居る事でカローラの迷惑になるなら、それは本意じゃない。だからカローラの前から消える。望む未来を掴み取ってくれ』
アイビーらしいと言えば、らしいのかもしれない。
私は私で開いた口が塞がらない。
「リズ!どうしよう!?」
「あ……うん」
そういえば今までカローラの解決策は九割以上アイビーが提案してたなぁと思ったのと、これ原因は確実に王太子の発言だよね……。
かろうじて上級庶民かと思われる服装なのが幸いというか……うん、そんな格好で大泣きって、本当に何があったんだ!?
「カローラ様」
ポピーが慌てて駆け寄り、自分のジャケットをカローラの頭から被せた。あ!ずるい!なんて思う反面、いつもならばすぐにカローラへ寄り添うアイビーが居ない事に疑問を持って、その姿を探す為に周囲へ視線を投げるも姿を確認出来る事はない。
ポピーも同じように探したのか、少し首を傾げながらも、カローラを椅子に座らせると店員に追加で紅茶を注文した。
「……アイビーが……」
出された紅茶を一口飲んだら落ち着いたのか、カローラの嗚咽も少し小さくなった時、やっと口を開いた。
「……アイビーが、消えたの」
「は?」
「高速移動という意味ですか?」
カローラの言葉に、私は思わず素っ頓狂な声で聞き返し、ポピーに至っては真面目に聞き返した。
確かにアイビーならそういう意味で消えそうだ。普通の人間であれば消えるなんて芸当は無理だけれど。
「違うの!そういう意味じゃなくて!……いなくなったの!!」
「「???」」
今度こそ言葉として理解出来るのだが、意味として理解できなくてポピーと二人顔を合わせるも、脳内が疑問符で埋め尽くされてしまう。
アイビーが居なくなった?
……居なくなった??
「トイレ?」
「隠密活動?」
「行方不明よ!!この置き手紙を残して!!」
私とポピーが的外れな事を言いすぎたのか、カローラが机の上に一通の手紙を叩き置いた。
バンッと大きな音が響き、机の上にあったカップがカチャンと音を立てるのを聞きながらも乱暴だなーとだけ思っただけだったのだが……ポピーはその手紙を開けて読み進めるにつれて目を見開かせた。
「アイビーを探してたらリズを見かけて……急いで追いかけてきたの……どうしよう!?」
カローラが縋るような目で私を見るが、私はポピーから回された置き手紙にまず視線を向ける。
何がどうなっているのか、まず理解しないと何とも言いようがないからなのだが……
『俺が居る事でカローラの迷惑になるなら、それは本意じゃない。だからカローラの前から消える。望む未来を掴み取ってくれ』
アイビーらしいと言えば、らしいのかもしれない。
私は私で開いた口が塞がらない。
「リズ!どうしよう!?」
「あ……うん」
そういえば今までカローラの解決策は九割以上アイビーが提案してたなぁと思ったのと、これ原因は確実に王太子の発言だよね……。
11
お気に入りに追加
455
あなたにおすすめの小説
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
転生したら冷徹公爵様と子作りの真っ最中だった。
シェルビビ
恋愛
明晰夢が趣味の普通の会社員だったのに目を覚ましたらセックスの真っ最中だった。好みのイケメンが目の前にいて、男は自分の事を妻だと言っている。夢だと思い男女の触れ合いを楽しんだ。
いつまで経っても現実に戻る事が出来ず、アルフレッド・ウィンリスタ公爵の妻の妻エルヴィラに転生していたのだ。
監視するための首輪が着けられ、まるでペットのような扱いをされるエルヴィラ。転生前はお金持ちの奥さんになって悠々自適なニートライフを過ごしてたいと思っていたので、理想の生活を手に入れる事に成功する。
元のエルヴィラも喋らない事から黙っていても問題がなく、セックスと贅沢三昧な日々を過ごす。
しかし、エルヴィラの両親と再会し正直に話したところアルフレッドは激高してしまう。
「お前なんか好きにならない」と言われたが、前世から不憫な男キャラが大好きだったため絶対に惚れさせることを決意する。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
初めての相手が陛下で良かった
ウサギテイマーTK
恋愛
第二王子から婚約破棄された侯爵令嬢アリミアは、王子の新しい婚約者付の女官として出仕することを命令される。新しい婚約者はアリミアの義妹。それどころか、第二王子と義妹の初夜を見届けるお役をも仰せつかる。それはアリミアをはめる罠でもあった。媚薬を盛られたアリミアは、熱くなった体を持て余す。そんなアリミアを助けたのは、彼女の初恋の相手、現国王であった。アリミアは陛下に懇願する。自分を抱いて欲しいと。
※ダラダラエッチシーンが続きます。苦手な方は無理なさらずに。
婚約破棄したい悪役令嬢と呪われたヤンデレ王子
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「フレデリック殿下、私が十七歳になったときに殿下の運命の方が現れるので安心して下さい」と婚約者は嬉々として自分の婚約破棄を語る。
それを阻止すべくフレデリックは婚約者のレティシアに愛を囁き、退路を断っていく。
そしてレティシアが十七歳に、フレデリックは真実を語る。
※王子目線です。
※一途で健全?なヤンデレ
※ざまああり。
※なろう、カクヨムにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる