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76.ポピーじゃなきゃ嫌だ
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「どういう事?」
何を問われているか分からない……と思いながらも、黒を基調としたシンプルでシックなデザインのお店ならではなのだろうか、金縁のある少し豪華なカップが引き立てられているかのように差し出された。
個室の為か、店員は紅茶を出したら素早く退室していく。
「いつも結婚結婚って言うけど……リズは逃げたいだけじゃないのかなって」
ギクッと思わず効果音がついてしまうかのように肩を上下させてしまう。そりゃ確かに逃げたいよ!結婚したらルートからは完全に外れるし!むしろ一番安全で確実な逃げ方ではあると思ってる。
そりゃ最大権力者である陛下が動いたらどうなるかは分からないと思うけれど……あ、何か不安になってきたな。
「相手は誰でも良いのなら……」
「それは違う!」
苦虫を噛み潰したかのような表情で言うポピーに、食い気味で否定した。流石に誰でも良いと言うならば言ってしまえば攻略対象の誰でも良くなるし!そもそも貴族でも良い事になるが、私はそんな事を一切思っていない。かと言って平民であれば誰でも良いと言うわけでもない。
「私はポピーが良いの!ポピーじゃなきゃ意味がない!」
そう言うと、ポピーは一気に顔を真っ赤にさせて俯いた。
「……何それ……僕みたいなのでもリズが必要としてくれるならって思ってただけなのに……ただの幼馴染程度にしか思われてないと思ってたのに……」
ボソボソと呟くポピーの声は、独り言のように言っているつもりなのかもしれないけれど、私に全部筒抜けである。
「そりゃ最初は手っ取り早いなとは思ったけど」
「え」
「でもルデウル邸にまでついてきてくれて……」
「うん」
「ポピーの意外な顔も色々見れて」
「……」
実家の事業で毎日必死に生きていたポピーは少し引っ込み思案というか、流されるような所もあったけれど、従者教育を受けて、私を守る為なのか色々と度胸もついたかのようで。必死に色んな知識をかき集める為に本を沢山読んでいた事も知ってる。
私の事業を助ける為に、この国の法律もしっかり調べたりしてくれた事も知ってるし、父の執事ととても相談しながら動いていてくれた事も知ってる。
更には父がポピーの事を年々認めている事も。
「だから、私はポピーが良い」
真剣だと伝える為に、ポピーの目を真っ直ぐに見つめて言い切ると、ポピーは顔を真っ赤にさせながら口をパクパクとさせた。
そうか、今までは本気だと思われてなかったのか、まぁ当たり前かなんて思いつつも、ポピーからの返事は期待していなかった。身分の問題があるからだ。ただでさえ母は貴族じゃないのだ。ルデウル男爵家の事を思えば、私こそ貴族と結婚して繋がりを深めないといけないだろう。けれど、それは嫌だ。
その事をポピーにも伝えようと口を開こうとした瞬間……
「リズ!!!助けて!!!」
何故かカローラが号泣しながら部屋に入ってきた。
何を問われているか分からない……と思いながらも、黒を基調としたシンプルでシックなデザインのお店ならではなのだろうか、金縁のある少し豪華なカップが引き立てられているかのように差し出された。
個室の為か、店員は紅茶を出したら素早く退室していく。
「いつも結婚結婚って言うけど……リズは逃げたいだけじゃないのかなって」
ギクッと思わず効果音がついてしまうかのように肩を上下させてしまう。そりゃ確かに逃げたいよ!結婚したらルートからは完全に外れるし!むしろ一番安全で確実な逃げ方ではあると思ってる。
そりゃ最大権力者である陛下が動いたらどうなるかは分からないと思うけれど……あ、何か不安になってきたな。
「相手は誰でも良いのなら……」
「それは違う!」
苦虫を噛み潰したかのような表情で言うポピーに、食い気味で否定した。流石に誰でも良いと言うならば言ってしまえば攻略対象の誰でも良くなるし!そもそも貴族でも良い事になるが、私はそんな事を一切思っていない。かと言って平民であれば誰でも良いと言うわけでもない。
「私はポピーが良いの!ポピーじゃなきゃ意味がない!」
そう言うと、ポピーは一気に顔を真っ赤にさせて俯いた。
「……何それ……僕みたいなのでもリズが必要としてくれるならって思ってただけなのに……ただの幼馴染程度にしか思われてないと思ってたのに……」
ボソボソと呟くポピーの声は、独り言のように言っているつもりなのかもしれないけれど、私に全部筒抜けである。
「そりゃ最初は手っ取り早いなとは思ったけど」
「え」
「でもルデウル邸にまでついてきてくれて……」
「うん」
「ポピーの意外な顔も色々見れて」
「……」
実家の事業で毎日必死に生きていたポピーは少し引っ込み思案というか、流されるような所もあったけれど、従者教育を受けて、私を守る為なのか色々と度胸もついたかのようで。必死に色んな知識をかき集める為に本を沢山読んでいた事も知ってる。
私の事業を助ける為に、この国の法律もしっかり調べたりしてくれた事も知ってるし、父の執事ととても相談しながら動いていてくれた事も知ってる。
更には父がポピーの事を年々認めている事も。
「だから、私はポピーが良い」
真剣だと伝える為に、ポピーの目を真っ直ぐに見つめて言い切ると、ポピーは顔を真っ赤にさせながら口をパクパクとさせた。
そうか、今までは本気だと思われてなかったのか、まぁ当たり前かなんて思いつつも、ポピーからの返事は期待していなかった。身分の問題があるからだ。ただでさえ母は貴族じゃないのだ。ルデウル男爵家の事を思えば、私こそ貴族と結婚して繋がりを深めないといけないだろう。けれど、それは嫌だ。
その事をポピーにも伝えようと口を開こうとした瞬間……
「リズ!!!助けて!!!」
何故かカローラが号泣しながら部屋に入ってきた。
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