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73.イベントは楽々回避してますが……
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「貴女、生意気じゃなくて!?」
「あ、生チョコ食べる?」
「頂くわ。……じゃなくて!」
吠えるカローラを見事にスルーして、生チョコを進めると、それを口に含んで幸せそうな顔をしていたのは一瞬だった。
ちっ。もう正気に戻ったか。と言っても、私に嫌がらせをするつもりなんだろうが、盛大に滑っている事をカローラは気がついていない。否、気がついていたとしても、何とかイベントをこなしたくて必死なんだろうけど。
「何?カローラ嬢は要らないの?じゃあ僕がもらうね」
「食べますわ!」
「僕にも頂けますか?」
何事もなかったかのように……と言うか、生チョコが食べたいだけのセドリックはヒョイっと一つ摘み口に入れると箱ごと持って行こうとするのをカローラが止めた。シャルルも食べたいようなので、二人にどうぞ、と答える。
「あれは何の茶番だ?」
殿下がアイビーにかけた声に、カローラが目を見開くも、私にしか見えないように顔を俯かせた。
本当に今更だと思う。クラスメートも、最初は何が起きた!?と言わんばかりに驚いていたけれど、何回も続く内に、殿下が居る時だけ、生意気だとか、たかだか男爵令嬢が特進クラスにだとか言っているだけなので、今や何となく病的な発作扱いになっていたりする。
殿下が居ないと、新しいスイーツ談義をしてたりするからね。仲が良いのは周知されてるようなものだから、誰も本気になんてしていない。
「茶番?仲裁されなくて良いのですか。王太子殿下ともあろうものが」
「ただの馴れ合いだろう?」
アイビーが嫌そうな顔をしつつ、イベントをこなせとアドバイスをしているかのようだが、王太子はクックッと笑いながらこちらに割って入る様子は一切無い。
なんでぇ……他の人達も何も言わないし~……と、私にだけかろうじて聞こえる程度の声でカローラの泣き言が聞こえるが、あえてスルーさせてもらう。実際問題、入学式の時に言ったカフェ出禁が一気に噂となり駆け巡り、私に対する嫌がらせを行おうという強者が誰も居ないのだ。むしろ、私に対してにこやかに挨拶してくるし、私も新作の話をしたりして友達が増えている感じしかしない。
前世と同じように楽しく有意義な学校生活を送っているのだ。
もうここまで来ると、ヒロイン?何それ。知りませーん。と声を大にして言いたい程なのだが……
「それよりアイビー。お前、俺の側近になる気はないか?」
「私は生涯カローラ様にお仕えします」
まさかの勧誘が始まってるー!と思ったら、次に放たれた殿下の言葉で私達は固まった。
「ならばカローラが妃になった暁にはアイビーも付いてくるのか」
「あ、生チョコ食べる?」
「頂くわ。……じゃなくて!」
吠えるカローラを見事にスルーして、生チョコを進めると、それを口に含んで幸せそうな顔をしていたのは一瞬だった。
ちっ。もう正気に戻ったか。と言っても、私に嫌がらせをするつもりなんだろうが、盛大に滑っている事をカローラは気がついていない。否、気がついていたとしても、何とかイベントをこなしたくて必死なんだろうけど。
「何?カローラ嬢は要らないの?じゃあ僕がもらうね」
「食べますわ!」
「僕にも頂けますか?」
何事もなかったかのように……と言うか、生チョコが食べたいだけのセドリックはヒョイっと一つ摘み口に入れると箱ごと持って行こうとするのをカローラが止めた。シャルルも食べたいようなので、二人にどうぞ、と答える。
「あれは何の茶番だ?」
殿下がアイビーにかけた声に、カローラが目を見開くも、私にしか見えないように顔を俯かせた。
本当に今更だと思う。クラスメートも、最初は何が起きた!?と言わんばかりに驚いていたけれど、何回も続く内に、殿下が居る時だけ、生意気だとか、たかだか男爵令嬢が特進クラスにだとか言っているだけなので、今や何となく病的な発作扱いになっていたりする。
殿下が居ないと、新しいスイーツ談義をしてたりするからね。仲が良いのは周知されてるようなものだから、誰も本気になんてしていない。
「茶番?仲裁されなくて良いのですか。王太子殿下ともあろうものが」
「ただの馴れ合いだろう?」
アイビーが嫌そうな顔をしつつ、イベントをこなせとアドバイスをしているかのようだが、王太子はクックッと笑いながらこちらに割って入る様子は一切無い。
なんでぇ……他の人達も何も言わないし~……と、私にだけかろうじて聞こえる程度の声でカローラの泣き言が聞こえるが、あえてスルーさせてもらう。実際問題、入学式の時に言ったカフェ出禁が一気に噂となり駆け巡り、私に対する嫌がらせを行おうという強者が誰も居ないのだ。むしろ、私に対してにこやかに挨拶してくるし、私も新作の話をしたりして友達が増えている感じしかしない。
前世と同じように楽しく有意義な学校生活を送っているのだ。
もうここまで来ると、ヒロイン?何それ。知りませーん。と声を大にして言いたい程なのだが……
「それよりアイビー。お前、俺の側近になる気はないか?」
「私は生涯カローラ様にお仕えします」
まさかの勧誘が始まってるー!と思ったら、次に放たれた殿下の言葉で私達は固まった。
「ならばカローラが妃になった暁にはアイビーも付いてくるのか」
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