【完結】こんな転生は嫌なので舞台から逃げようと思いますが、逃してもらえません!

かずきりり

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71.目立ちたくはなかったんだけど

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変な降り方して注目を集めてたら嫌だ!と思いつつも、既に結構な時間止まっていたらしく、後方に少し馬車が待っているのを見ると、迷惑をかけてしまったという罪悪感も出てくる。
……かと言って、歩みを進めるのも怖い!なんて私の心とは裏腹に、無情にも馬車は離れて行ってしまう。

「入学式に遅れるのは、流石にまずいんじゃない?」
「目立ちたくない!これ以上はダメ!!」

そう言ってポピーにしがみつきながら歩を進めて行こうとするが、ポピーは顔を背けながら溜息をついている。
思わず腕を引いて、行くよ、と意思表示をすると

「あのさ……一応、もう十四なんだし。貴族令嬢が婚約者でもない相手にそうくっついてるのは……」
「問題なし!」

むしろ今すぐ結婚しよう!と言わんばかりに食いつくと、ポピーが若干項垂れた。

「問題ありますわ!」

そう言って、こちらに出てきたのは勿論カローラで、その隣には何故かアイビーがいる。
制服は来ていないけれど、ここは一応学園だ。私とポピーの視線に気がついたカローラが、その先を追った後に納得したかのように頷いて言葉を放つ。

「専属の執事ですから。勿論校内に連れて行く許可は頂きましたわ。一人では何も出来ない侯爵令嬢ですから」

嘘つけ!と叫びそうになったのを寸での所で止める。こんな人目が付く所で不敬を働こうものなら、それこそ注目の的だ。だって私は男爵令嬢~!!

「行きますわよ、特進クラスへ」
「へ?」

カローラの言葉に驚いて、今度は言葉を止める事なく変な声が出た。
特進クラス?ゲームでヒロインは一般クラスだった筈だ。特進クラスとは、それこそ上位貴族や何かしら成績を残した人物が入るクラスで、ほんのひと握りだった筈。
侯爵令嬢で更に王太子殿下の婚約者であるカローラが特進クラスなのはゲームと同じで理解出来るんだけど……。

「ポピーや私が?」
「ポピーは試験で三位の成績を収めたそうよ。一位は殿下、二位はシャルル……リズ?貴女、自分が何をしたのか理解していないの?」

ポピーの事は理解出来た。そこまでの成績をおさめるって、むしろどういう事!?
王太子は勿論、シャルルだって宰相補佐だから勉強が出来るのであって……うん、セドリックは魔術馬鹿だし、ジルベールに至っては脳筋なだけだけどね。それでも、側近であるあの二人を超えるのは凄い事だと思う。
うわ~惚れる~なんて思いながらも尊敬の眼差しでポピーを見つめると、バレたと言わんばかりに視線を彷徨わせたが……
カローラが私に回りを見てみろと言わんばかりに視線を向けるので周囲を見ると

「……え?何でこんな注目されてるの?」

道行く人々が視線をこちらに向けている……どころではなく、足を止め、目を輝かせて、こちらを見ながら目を輝かせて何かを語り合ってる人だかりが見えた。
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