【完結】こんな転生は嫌なので舞台から逃げようと思いますが、逃してもらえません!

かずきりり

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70.学園入学時期になりました

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あれから目まぐるしい日々が続いた。
書式や帳簿に関して、前世の知識をシャルルに必要な基礎的部分を伝えると、この国に合わせた独自の物を作り上げ、それを周知させて広めて、作業効率を上げていた。
ただ、簿記に関しては知識が多少必要と言う事で、なかなか市井の商売人にまで広がらないのが現状だけれど、収入と収益の違いが分かるような記帳については徹底させていた。
収入があると思っても、半分以上経費で飛んでたら、利益は少ないもんね。本当、ここ大事。

セドリックに関しても、道具が大きくなったり、少し形は違ったり、耐久度等が変わったりするけれど、冷蔵庫や冷凍庫、コピー機までもが魔術師団で製作出来るようになった。
チョコ作りに使うような道具はウチだけなのだけれど、冷蔵庫や冷凍庫は王族貴族の邸では大喜びだし、お金を持っている飲食店も我先にと購入した。
勿論、コピー機に至ってもそうだ。本の書き写しを仕事としていた人も居たから、出版関係にはそこまで卸してはいなかったけれど、結局書類仕事が多く、会議等も開く必要がある王侯貴族達に飛ぶように売れた。
ちなみに、両方ともまずは自国での運用程度に留まっているだけなのだが、既に他国から問い合わせが来ているそうで……わずか半年程で、ここまで手腕をふるったシャルルとセドリックに尊敬と畏怖を感じる。
何あの二人。流石、攻略対象とでも言うべきなのか?

――ちなみに王太子には“教育の為”としてコピー機は使わせていないらしい。

自分達の仕事は減ったが、王太子の仕事は増える事はあれど減る事はないと胸を張って言っていた二人が味方になってくれて、カローラは心底喜んでいた。
私としても、気がついたらカローラと王太子がセットで現れた!という状況がなくなった為に安心して暮らしてはいたんだけど……
安心出来るのも、今日までだ。





「……僕、必要?」
「必要!めっちゃ必要!とっても必要!!!側に居て!!!」

馬車の中で固まっていると、同じように固まっていたポピーが口を開いた。
それはそうだ、今現在、私達二人は制服を来た状態で、学園の門に馬車をつけた状態で…………降りようとはしていない。

「……それなら……」

少し頬を赤らませながらポピーはそう答える。
いくら専属従者となってもポピーは平民だ。それを私が無理を言ってポピーまで同じクラスにしてくれと頼み込んだのだから緊張していても無理ないだろう。
……それでもテストで上位の点数を叩き出したらしいけれど……コネ入学ではなく実力でしっかり勝ち取ってるし……。

「行くよ」

そう言ってポピーが馬車のドアを開けて降りるのを、私は必死でしがみついて降りた。
危ない!とか言って身体が傾いた気がしたけど、私的には恐怖心でいっぱいなんだ!!
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