【完結】こんな転生は嫌なので舞台から逃げようと思いますが、逃してもらえません!

かずきりり

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66.二人を呼びましたよ

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「どういう事かしら!?」

カローラの低い威圧ある声と、アイビーが放つ殺気がブリザードのように、一気に空間が冷えたかに感じる。
あれから、バニラビーンズを使ってプリンとシュークリームが出来上がった為、この日に作っておくと一ヶ月後の日程を記載した手紙を、時間をズラしてカローラとセドリックに送ると二人から了承の返事を貰う事が出来、まずはカローラに事情説明……と思ったんだけど。
案の定、シャルルに全部バレたという事だけを伝えて今に至る。

「全部って!全部って!!前世からゲームの事までじゃないでしょうね!?」
「その通りでございますぅうう!!」

一気に背筋が凍るような殺気がアイビーから瞬間的に放たれ、背筋を伸ばして肯定の言葉を涙目になりながら叫ぶ。
ポピーもアイビーを危険視するかのように見ながら、カローラの目の前にプリンとシュークリームを置いていく。
ちなみに今日作ったのは、なめらかプリンとダブルシュークリームとチョコシュークリームだ。

「なめらかプリンだけでなく、私は焼きプリンを所望します!あとシュークリームはバニラビーンズたっぷりのカスタードが好き!」
「そっちかよ!!じゃあ食べなくて良いわ!」
「仕方ないから食べます!仕方なくなくても食べます!」
「どっちだよ!!」

見事に我儘令嬢が出来上がってないか!?と思いつつも、一口食べては満面の笑みをするカローラに、アイビーの殺気も少し収まったかのように思える。
見事カローラの微笑み。ここで私を殺したら焼きプリンもバニラビーンズたっぷりのカスタードシュークリームも闇に葬られるのだから、その殺気を消して欲しい。……言葉にはしないけど。出来ないけど。怖いから。

「相変わらず仲が良いね」

不躾に開かれた扉からセドリックが入室する……と、カローラがおもむろに咳込み、途端に殺気を弱めたアイビーの目が鋭くなる。
あれ?時間差はもう少し開けた筈だけど?と冷や汗をかきつつも首を傾げながらセドリックを見た。まぁセドリックが来たら問答無用で通して良いとは言ってあったけど今のタイミングか!あ、でも良い意味でナイスタイミング?殺気に当てられなくて済んで助かった!!

「新作のスイーツと聞いたら、飛んで来るに決まってるじゃないか!」

当たり前だと言わんばかりに胸を張って言うセドリックは、カローラの目の前にあるお菓子を見て美味しそう!と言うと、空いてる椅子を寄せてテーブルについた。
カローラに疑問を抱かせない為に、丸テーブルに椅子二つだけ用意してたんだけど……うん、何か魔術師団長に申し訳ないと思いながらも、気にせずお菓子を嬉しそうに要求するセドリックに、私は罪悪感を一切抱かず済んだ。
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