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60.相手を気遣うって、時に非効率

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王都へ進出が決定し、後はセドリックに任せ……と思っていたら、カローラもティダル家の権力を使い、二人が意気揚々と色々準備をしてくれて、とても助かる……筈だった。

「なんなのこれはーーー!!!!!!!」
「こういうものだけど……」

この半年、色んな書類と格闘していました。あっちからこっちへ、こっちからあっちへ……紙の山!山!!山!!!
前世OL舐めるなよ!と意気込んでいた私の気持ちも、すでに噴火していたりする。

「ありえない!効率悪い!なんなのこのバラバラな書式は!!!」
「しょしき?」
「読む人が悩むでしょ!もっと簡潔に!分かりやすく!統一して!!」

ポピーに言っても仕方ないけれど、前世知識的なものは他に言っていないので、必然的に全て話すのはポピーになる。と言っても、ポピーは気心も知れていて話やすいし、心の底からずっと一緒に居たら安心出来るというのもあるけれど。

「これとか!こっちが知りたい情報がないの!また手紙書いて連絡待ちになる!こっちも!ほら、こっちだって!!読む人の事を考えてくれとは言わないわ!だからこっちで欲しい情報の項目を先に書き出しておくのよ!!前世OLなんだこっちはー!!」
「それは便利だね。相手の気持ちを汲む、という目に見えないものに対する正解は分からないし。でも、どんな方法でするの?」

確かに前世の昔ながらの日本人なら思いやりの心とか、おもてなしとか。言われなくても気づけ!って言うのがあったけれど、現代になればなるほどに遠のいている。というか、相手の目線や言葉使い、イントネーション、表情や仕草で読み取る力なんて無くなったとでも言った方が良いのかもしれない。それよりも言葉で伝えた方が誤解がないし。てか、スマホ普及による文字コミュニケーションの方が増えて、対面する機会なんて早々なかったような……?
なんて前世に思いを馳せていたら、ポピーがおーい、戻ってきてーなんて言っていた。あぁ、危ない。ついつい……。

「コピー……なんて手法ないしなぁ……」
「また聞いた事のない言葉を……」

慣れたもんで、ポピーはそんな事を呟きながらも次の言葉を待っている。

「セドリックに作って貰えないかな……ダブルクリームで何かお菓子作って……バニラビーンズあればなぁ」
「そして新しいお菓子と材料だね、それ詳しく教えて」

私はシュークリームやメロンパンは生クリームとカスタードが入っているのが好きだったりする。勿論、片方だけでも好きなんだけど、そうなるとバニラビーンズ入りって書いてあるものを選ぶ程だ。あのバニラの香りは大好き!
私的にはクッキー生地のシュークリームが好きなんだけど……まずは普通のからかな……注入するのが面倒で、切って生クリーム絞ってたんだよなぁ……。
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