56 / 112
56.食べたくてやった事が大惨事
しおりを挟む
結局、公爵に興味を持たれない方法……というより、婚約を打診されない方法を考える事になったが、そんな方法があるならむしろこちらが聞きたい。
アイビーを除く全員で頭を唸らせていたけれど、答えなんて出るわけでもなく……そうこうしている内にノックの音が響いた。
「カローラ様、ルデウル男爵夫妻がお見えです」
「通してちょうだい」
カローラの返事があってから、扉がゆっくりと開き、両親が入ってきた。
「リズ?大丈夫??」
「挨拶は終わった。チョコはお披露目できたし、もう帰ろうか?」
「帰ります!」
即答した私に両親は苦笑する。
私の誕生日パーティで、私が主役なのに、パーティを拒否しまくった挙句、始まる前は死にそうな顔をしていて、更には体調不良で抜けた上にとっとと帰る事に喜びを見出しているのだ。あ、こう考えると本当に最悪なやつじゃない?
でも王城なんて頼んでない。出席したがった高位貴族の面々が悪いと思う。私の誕生日なのに喜びじゃなく苦痛をもたらすとは……そう思うと憎々しさも込み上がってきてしまう。
「本当、もう貴族って嫌だ……」
思わず呟いた私の言葉に、両親の顔が引きつる。
「どうかされましたか?」
その表情に気がついたアイビーが声をかけると、母は悲しそうな顔をしただけだが、父の視線は彷徨っている。その様子を皆がジーっと眺めていると、観念したかのように口を開いた。
「……陛下が……学園へ入って王都に住むようになったら、事業を王都にも広げられないかと……」
「は?」
そもそも男爵家にタウンハウスなどなく、ヒロインは学園の寮に住んでいた筈だ。そして学園の勉強もそれなりで、ヒロインは必死に勉強しながら赤点だけは回避していたような……。
「……王都のタウンハウスを用意してくれると……一部学科も免除してくれるとも言ってくれてな……」
歯切れ悪く父が言うも、私はもうそんな事を聞きたくない!
「うわぁああああ!!!!ポピー!!結婚しよう!私を平民にしてー!!」
「リズ!?」
「それはいかん!!」
色々と周囲が固められている気がして、私はポピーに抱きついてそんな事を言うと、ポピーは顔を真っ赤にしつつも私を抱きとめてくれた。父は顔を真っ赤にして怒っているようだが、母はあらあらまぁまぁ、と言った感じで口に手を当てている。正直、こんな光景は昔からあったようなものだし。
カローラとアイビーは、静観していてくれたのだが、そこへ扉から別の声が響いた。
「……え?どういう事?リズ、平民になりたいの?チョコは?」
開いていたのだろう扉から、セドリックがそこに立っていた。
アイビーを除く全員で頭を唸らせていたけれど、答えなんて出るわけでもなく……そうこうしている内にノックの音が響いた。
「カローラ様、ルデウル男爵夫妻がお見えです」
「通してちょうだい」
カローラの返事があってから、扉がゆっくりと開き、両親が入ってきた。
「リズ?大丈夫??」
「挨拶は終わった。チョコはお披露目できたし、もう帰ろうか?」
「帰ります!」
即答した私に両親は苦笑する。
私の誕生日パーティで、私が主役なのに、パーティを拒否しまくった挙句、始まる前は死にそうな顔をしていて、更には体調不良で抜けた上にとっとと帰る事に喜びを見出しているのだ。あ、こう考えると本当に最悪なやつじゃない?
でも王城なんて頼んでない。出席したがった高位貴族の面々が悪いと思う。私の誕生日なのに喜びじゃなく苦痛をもたらすとは……そう思うと憎々しさも込み上がってきてしまう。
「本当、もう貴族って嫌だ……」
思わず呟いた私の言葉に、両親の顔が引きつる。
「どうかされましたか?」
その表情に気がついたアイビーが声をかけると、母は悲しそうな顔をしただけだが、父の視線は彷徨っている。その様子を皆がジーっと眺めていると、観念したかのように口を開いた。
「……陛下が……学園へ入って王都に住むようになったら、事業を王都にも広げられないかと……」
「は?」
そもそも男爵家にタウンハウスなどなく、ヒロインは学園の寮に住んでいた筈だ。そして学園の勉強もそれなりで、ヒロインは必死に勉強しながら赤点だけは回避していたような……。
「……王都のタウンハウスを用意してくれると……一部学科も免除してくれるとも言ってくれてな……」
歯切れ悪く父が言うも、私はもうそんな事を聞きたくない!
「うわぁああああ!!!!ポピー!!結婚しよう!私を平民にしてー!!」
「リズ!?」
「それはいかん!!」
色々と周囲が固められている気がして、私はポピーに抱きついてそんな事を言うと、ポピーは顔を真っ赤にしつつも私を抱きとめてくれた。父は顔を真っ赤にして怒っているようだが、母はあらあらまぁまぁ、と言った感じで口に手を当てている。正直、こんな光景は昔からあったようなものだし。
カローラとアイビーは、静観していてくれたのだが、そこへ扉から別の声が響いた。
「……え?どういう事?リズ、平民になりたいの?チョコは?」
開いていたのだろう扉から、セドリックがそこに立っていた。
12
お気に入りに追加
460
あなたにおすすめの小説
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

88回の前世で婚約破棄され続けて男性不信になった令嬢〜今世は絶対に婚約しないと誓ったが、なぜか周囲から溺愛されてしまう
冬月光輝
恋愛
ハウルメルク公爵家の令嬢、クリスティーナには88回分の人生の記憶がある。
前世の88回は全てが男に婚約破棄され、近しい人間に婚約者を掠め取られ、悲惨な最期を遂げていた。
彼女は88回の人生は全て自分磨きに費やしていた。美容から、勉学に運動、果てには剣術や魔術までを最高レベルにまで極めたりした。
それは全て無駄に終わり、クリスは悟った。
“男は必ず裏切る”それなら、いっそ絶対に婚約しないほうが幸せだと。
89回目の人生を婚約しないように努力した彼女は、前世の88回分の経験値が覚醒し、無駄にハイスペックになっていたおかげで、今更モテ期が到来して、周囲から溺愛されるのであった。しかし、男に懲りたクリスはただひたすら迷惑な顔をしていた。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる