【完結】こんな転生は嫌なので舞台から逃げようと思いますが、逃してもらえません!

かずきりり

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56.食べたくてやった事が大惨事

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結局、公爵に興味を持たれない方法……というより、婚約を打診されない方法を考える事になったが、そんな方法があるならむしろこちらが聞きたい。
アイビーを除く全員で頭を唸らせていたけれど、答えなんて出るわけでもなく……そうこうしている内にノックの音が響いた。

「カローラ様、ルデウル男爵夫妻がお見えです」
「通してちょうだい」

カローラの返事があってから、扉がゆっくりと開き、両親が入ってきた。

「リズ?大丈夫??」
「挨拶は終わった。チョコはお披露目できたし、もう帰ろうか?」
「帰ります!」

即答した私に両親は苦笑する。
私の誕生日パーティで、私が主役なのに、パーティを拒否しまくった挙句、始まる前は死にそうな顔をしていて、更には体調不良で抜けた上にとっとと帰る事に喜びを見出しているのだ。あ、こう考えると本当に最悪なやつじゃない?
でも王城なんて頼んでない。出席したがった高位貴族の面々が悪いと思う。私の誕生日なのに喜びじゃなく苦痛をもたらすとは……そう思うと憎々しさも込み上がってきてしまう。

「本当、もう貴族って嫌だ……」

思わず呟いた私の言葉に、両親の顔が引きつる。

「どうかされましたか?」

その表情に気がついたアイビーが声をかけると、母は悲しそうな顔をしただけだが、父の視線は彷徨っている。その様子を皆がジーっと眺めていると、観念したかのように口を開いた。

「……陛下が……学園へ入って王都に住むようになったら、事業を王都にも広げられないかと……」
「は?」

そもそも男爵家にタウンハウスなどなく、ヒロインは学園の寮に住んでいた筈だ。そして学園の勉強もそれなりで、ヒロインは必死に勉強しながら赤点だけは回避していたような……。

「……王都のタウンハウスを用意してくれると……一部学科も免除してくれるとも言ってくれてな……」

歯切れ悪く父が言うも、私はもうそんな事を聞きたくない!

「うわぁああああ!!!!ポピー!!結婚しよう!私を平民にしてー!!」
「リズ!?」
「それはいかん!!」

色々と周囲が固められている気がして、私はポピーに抱きついてそんな事を言うと、ポピーは顔を真っ赤にしつつも私を抱きとめてくれた。父は顔を真っ赤にして怒っているようだが、母はあらあらまぁまぁ、と言った感じで口に手を当てている。正直、こんな光景は昔からあったようなものだし。
カローラとアイビーは、静観していてくれたのだが、そこへ扉から別の声が響いた。

「……え?どういう事?リズ、平民になりたいの?チョコは?」

開いていたのだろう扉から、セドリックがそこに立っていた。
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