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55.一番危険なルート

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自分が被っている仮面を見破られた事に驚いた公爵だが、ならば素の自分を見せようと思い、ヒロインにもそれを望む。
そして、自由奔放で平民らしく楽しそうな姿を見せるヒロインとは対照的に公爵の素は……褒められる行為を止める事なわけで……ヒロインを落とすような言葉を投げかける。
相手の表情も何もかもを気にせず、心を傷つけ、更には身体をも傷つけ……思った事を口にしては全てを否定して、ヒロインはズタズタにされるも逃げる事が出来ないように婚約者となる。
公爵家と男爵家。しかも王族の血が入っている為に身分違いも甚だしいが、公爵からの申し出を断る事も出来ず、有無を言わさず囲い込まれ、邸に住まわされ、身体を暴かれる。
挙句、傷をつけられ、穴を開けられたりと散々いたぶられると、手足を失くしたような表記のあとに遠まわしな残骸的とされる言葉が残されるだけで、最後どうなったのか詳しい説明はないのだ。

「「このルートだけは無理」」

私とカローラの言葉が重なり、ポピーも真っ青な顔で驚愕してながら、まさか公爵が……なんて言っている。アイビーだけは相変わらずの無表情というか、それが?と言わんばかりの態度に似たもの同士かと言いたくもなるが、触らぬ邪神に祟りなしだ。

「とりあえず高位貴族相手だから緊張で震えているという事にして……」
「王太子殿下相手では震えてませんよね」
「……平民らしい姿を見せず」
「スイーツ作りをおおっぴらに行ってますよね」

私の対策にアイビーは問答無用でダメだししてくる。うん……言われてみればそうなんだけどね!?もう泣きたくなってくるというか、時間が戻せるなら生まれ変わる前に戻して欲しい!こんな世界選ばないからー!!

「むしろ婚約を持ちかけられないようにしなければいけないのでは?」

ポピーがノートを見ながら、そんな事を口にするとアイビーも頷いた。

「そうですね。王太子ルートが潰されてしまいますから。最終的には亡き者にしてしまえば良いですね」
「アイビー!?」
「全てはカローラ様の幸せの為に」

シレっと危険な発言をしたアイビーを咎めるようにカローラが声をかけるも、この身は全てカローラに捧げていると言わんばかりに言葉を返す。
忠誠心、凄いなーなんて思わず感心してしまう。ある意味で危険人物なアイビーの手綱を握るとは、本当にカローラは凄いと思う反面……その調子ならば王太子の手綱も握れるのでは?と淡い期待も抱きたくなってしまう。
……考えが読めるのか、アイビーに思いっきり睨まれてしまったけれど……。
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