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46.攻略対象が揃いすぎです
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既に王太子が到着しているのに逃げ出すなんて事が出来るわけもなく、応接室へ向かうと、そのメンバーに目眩がした。カローラなんて普通に真っ白に燃え尽きて目を剥いている。
「やっと来たか」
「ご無沙汰しております。王太子殿下」
ふらつかないように気をつけて礼をする。貴族令嬢らしく振舞うのだ自分!!と気力を振り絞っていたが、王太子は私を見ていなかった。視線の先を追うと、カローラが失神しかけているのに腹立たしさを感じているのか、王太子を睨んでいるアイビーを面白そうに見ていた。
「カローラ嬢と被ったと思ったら、殿下まで居て驚いたよ」
そんな状態に気が付いていないのか、あっけらかんと言うセドリック。殿下の前だけど、こんな口調なのはゲーム設定で殿下の側近扱いになっていたからなのだろうか。既に側近であれば慣れ親しいのも理解出来る。
そして殿下が居るという事は護衛として、やはりジルベールも居るわけで、更には……。
「お初にお目にかかります。私は宰相補佐をしておりますシャルル・ギルマンと申します。以後お見知りおきを」
更に出ました攻略対象。何で入学前なのに、こんなゾロゾロと集まってくるのよ!一人だったら問答無用で足を踏み鳴らしていたところだわ!お見知りおきしたくない!よろしくしたくない!!
「リズ・ルデウルです」
苦笑しつつ、無難だろう返しをすると、少し目を潜められた。怖いって。何考えてるの本当に。
そんな事を思っていると、王太子が口を開いた。
「やっと時間が出来てカローラに会いに行ったら、ルデウル男爵の元へ向かうと言うから付いてきたんだ。チョコを作ってるんだろ?カローラもセドリックも大好きだと言うじゃないか」
案に食わせろという意味なんだろうか。私が部屋に待機していた侍女に目配せすると、一人が頷いて退室して行った。それを見届けて満足そうに王太子は口角を上げていたが……そりゃあんたの地位を考えたら、そんな事言われたら従うしかないでしょうよ!だからか!この傲慢エスがドエスに進化したのか!?物足りなくなったのか!?
「チョコが来たらカローラに食べさせてもらおうか」
そんな事を王太子が言った瞬間、気を取り戻したのか、カローラの背が伸びて肩が跳ね上がって目を見開いていた。
勿論、そんな事を許すアイビーではなく……。
「お言葉ですが、そんな無礼な事をお嬢様にさせるわけにはいきません」
「婚約者なのに?」
「万が一という事もありますから」
何か王太子が楽しそうだな、なんて思いながらも、私はカローラが慌てているのを横目に、登場したチョコが侍女の手によってテーブルに並べられていく様を温かく見守り現実逃避をしていた。
「やっと来たか」
「ご無沙汰しております。王太子殿下」
ふらつかないように気をつけて礼をする。貴族令嬢らしく振舞うのだ自分!!と気力を振り絞っていたが、王太子は私を見ていなかった。視線の先を追うと、カローラが失神しかけているのに腹立たしさを感じているのか、王太子を睨んでいるアイビーを面白そうに見ていた。
「カローラ嬢と被ったと思ったら、殿下まで居て驚いたよ」
そんな状態に気が付いていないのか、あっけらかんと言うセドリック。殿下の前だけど、こんな口調なのはゲーム設定で殿下の側近扱いになっていたからなのだろうか。既に側近であれば慣れ親しいのも理解出来る。
そして殿下が居るという事は護衛として、やはりジルベールも居るわけで、更には……。
「お初にお目にかかります。私は宰相補佐をしておりますシャルル・ギルマンと申します。以後お見知りおきを」
更に出ました攻略対象。何で入学前なのに、こんなゾロゾロと集まってくるのよ!一人だったら問答無用で足を踏み鳴らしていたところだわ!お見知りおきしたくない!よろしくしたくない!!
「リズ・ルデウルです」
苦笑しつつ、無難だろう返しをすると、少し目を潜められた。怖いって。何考えてるの本当に。
そんな事を思っていると、王太子が口を開いた。
「やっと時間が出来てカローラに会いに行ったら、ルデウル男爵の元へ向かうと言うから付いてきたんだ。チョコを作ってるんだろ?カローラもセドリックも大好きだと言うじゃないか」
案に食わせろという意味なんだろうか。私が部屋に待機していた侍女に目配せすると、一人が頷いて退室して行った。それを見届けて満足そうに王太子は口角を上げていたが……そりゃあんたの地位を考えたら、そんな事言われたら従うしかないでしょうよ!だからか!この傲慢エスがドエスに進化したのか!?物足りなくなったのか!?
「チョコが来たらカローラに食べさせてもらおうか」
そんな事を王太子が言った瞬間、気を取り戻したのか、カローラの背が伸びて肩が跳ね上がって目を見開いていた。
勿論、そんな事を許すアイビーではなく……。
「お言葉ですが、そんな無礼な事をお嬢様にさせるわけにはいきません」
「婚約者なのに?」
「万が一という事もありますから」
何か王太子が楽しそうだな、なんて思いながらも、私はカローラが慌てているのを横目に、登場したチョコが侍女の手によってテーブルに並べられていく様を温かく見守り現実逃避をしていた。
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