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43.その金額はどれだけのものなのか

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「しかし、こんなアイデアはなかったよ。ポピーは凄いね」
「滅相もありません。これも皆が色々意見を出し合って出来たものに過ぎません」
「ふーん。大勢の力ってやつ?」

今回セドリックが魔道具として作って持ってきてくれたもの。
まず泡立て器。これは形状から既にアイビーやポピーも驚いていた。メレンゲとかどうやってるの?って聞くと、フォークや木の枝を集めたようなものだと言うから、こっちが驚いたわ!
そして冷蔵庫と冷凍庫。これには顔に出さないものの大喜びだ!食事は暖かいうちに食べる、冷めたら美味しくない、という固定観念もあるのか、冷やしたり凍らしたりというのは正に驚きらしい。
いやいや、保存も長くなるんだけどね。採りたてを食べるという最高の贅沢をしている人達には想像もつかないんだろうなぁ。前世に比べれば今世の方が、野菜おいしいんだよね……。
そして最後はチョコを作るだろう機械だ。そもそもカカオ豆自体が発酵を経ている物なのだけれど、工場を視察しただけで、ここまで作れるのだろうかという程だ。

「これでチョコが大量に作れると良いんだけど!」
「職人を育成しようと思っておりますので、それ次第になりますね。領民への仕事斡旋に繋がると良いのですが」
「凄いね!それ良いね!是非とも王都に店を出して欲しいね!魔道具ならいくらでも作るよ!」

どんだけチョコが気に入ったんだ。
発酵させるだろう機械、焙煎させるだろう機械、細かく粉砕させるだろう機械、皮を取り除くだろう機械、すり潰すだろう機械。
しかも、なかなかの大きさを誇ってくれてるわけで……。え?これどこに持ってたの?

「唯一アイテムボックスを作れるのよ……」
「あぁ……」

私が疑問に思ってた事に気がついたのか、カローラが小声で教えてくれた。ゲーム内でもある意味ご都合主義的な魔術師団だったりするから、そんな設定たまに忘れてしまうが、そこから色んな拘束具を出したり、魔道具として作ったり……いや止めておこう。思い出したくもない。
スチルでがっつり出されなかったから良かったと思っておこう。私にそんな趣味はない!!!

「じゃあ定期報告や結果よろしくねー!改良点あれば教えてねー!カローラ嬢が良ければ経由してー!お土産もよろしくね!」

そう言いながらカローラにアイテムボックスを渡していて、カローラは驚きに目を見開いていた。
それだけでも十分国宝級になると思うんだけど……そんな大量に欲しいのか、チョコ。
笑顔で王都へ戻っていったセドリックだが、一切金銭は請求しなかった。勿論、その価値は多大なもので、後でそれを知った父は口から泡をふいて倒れたと侍女経由で教えられた程だ。
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