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41.セドリック・グノー魔術師団団長

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「関わるのですか?」
「嫌よ!あんな粘着野郎!!」
「カローラ……言葉が……」

思わず呆れる私に、ハッとしたかのように手で口を覆うカローラ。
いくら魔道具が欲しいと言っても、あんな奴に関わるのはごめんこうむる。

「確か監禁するんだっけ?」
「ポピー……あっけらかんと言わないで」
「確か見事に周囲から固めていくんですよね」
「アイビー、そこ感心しちゃダメだと思うの」

女性陣と男性陣の差!!と思いながらも、どこからか出てきた私のノート。もう、このノートを囲むのが恒例行事になってないか!?

「とりあえず攻略回避を!!」

高らかに宣言するカローラに、私は力強く頷く。こういう時はしっかり協力体制となるので心強くはある。
学園の図書室で必死に勉強するヒロインをセドリックが見つけるのが始まりだ。基本的に大雑把で適当な所があるセドリックは、細かくノートを取って勉強しているヒロインが自分とは正反対だという理由から存在に気がついた。
そんな真面目さを見せていたヒロインだが、自然の中で居眠りする平民ならではの無防備さも兼ね備えていたりして、興味を抱いたセドリックは勉強を教えるという事でヒロインとの接点を持つわけだけど、教える場所は図書室ではなく、密室。
つまり貴族の方々としては、はしたないとか何かあるとか噂されるのは十分なのだ。
興味を持つ事があまりないセドリックは、興味を持つと執着してしまい、それが人であった場合に粘着するという事にまで発展する嫌な性質だったりする。
挙句、ヒロインが自由奔放に動く為に、ずっと自分の側に置いておきたいと思ったセドリックは、教養が足りないからという理由で行儀見習いとして自分の邸に囲ってしまう。
それだけでは理由が足りないからと、更には勤勉なところから魔術師団で補佐してもらいたいとか言い出して、ずっと自分の側に置くが、魔術師団は基本的には皆こもって仕事をする場所だ。ヒロインは誰とも会う事がなくなり、おかしいと思って逃げようとするが、見事セドリックに拘束される羽目になる。
拘束され囚われ、既成事実の為に愛でられ。常に鎖で繋がれ、縛られる生活を送る事になるのだが……。

「いや、あのスチルは見事だった」
「見つめ合ったアップ。その下が縛られてると誰が想像するのかしら……」

思わず脱線してしまうが、大体鎖骨から下は描かない神絵師だったので、本当にスチルは素晴らしかったのだ。スチルだけは、だが。

「今のところ興味を持っているのがチョコですが……」
「そこからリズに繋がらないように領民として説明しましたよ」

アイビーとポピーの二人が何やら話している。
確かにチョコから私に繋がると面倒臭い事になるわけで……。このままチョコだけへの興味で終わってくれると良いんだけどなー。
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