38 / 112
38.更なるチョコレシピ?
しおりを挟む
いきなりのお宅訪問とは、こういう事なのだろう。
しかし男爵家としては魔術師団団長で次男とはいえ子爵家ご令息に無礼があってはならない。悔しいかな爵位問題。
「うん!このチョコって美味しいね!珈琲にも合う!」
表情をさらけ出さない貴族としては珍しく、にこにことご機嫌さを隠す事なく、目の前にあるチョコを一つ一つ確かめるかのように食しているのだが、その食べ方も貴族としては躊躇いがないのか?と思わずにはいられない程、容赦なく手づかみだったりする。
私やカローラが前世の記憶があって手づかみで食べるのは理解できるも、それを父や母に出した時は、これ何で食べるの?という表情をしていた。フォークは刺せず、スプーンにのせにくく、ナイフで切りにくいとなればそうなるのも理解出来る。
その為、最終的に両親は牛乳にチョコを溶かしたり、クッキーにかけたりというような調理法で食べているのだが……。
「ありがとう……ございます?」
唖然としてしまった私は、思わず疑問形で答えてしまった。
いやしかし油断するなかれ!コイツは要注意人物だ!むしろ関わったら終わる!!
思わず俯いて視線が合わないように下を向く。今はチョコに夢中で気がついてない事を必死に願うも、セドリックにはしっかり観察されていたようだ。
「そんな怖がらないでよ。僕はただ、カローラ嬢が頻繁に砂糖を持ち込んでいる上に、この領地で爆発的に人気になったお菓子を食べようと思って調べただけなんだから」
むしろそれが怖いんですが!?
興味持たれたくなんかないんですが!?
食べたい物を食べようとした結果がこういうことかー!!!
「他にはないの?」
楽しそうに笑って言うセドリックに恐怖を覚える。
いやいやいや、ここで本当に興味を示されても困るんだけど!
「……ありません……」
「……へぇ……?」
本当の事を言っただけなのに、何故か不審者に語りかけるような威圧的低音ボイスが響いた気がする!
「差し出がましいようで申し訳ございませんが、発言させて頂いてよろしいでしょうか」
「良いよ、何?」
扉の側に控えていてくれたポピーが発言してくれた。天の助けか!?助けなのか!?
確かに私が発言するよりは良い気がする!ポピーもセドリックのゲーム設定にある危険さを理解しているから、こんな突撃さえなければ会わせないように計らってたって言ってくれてたもん!……アイビーと協力して、とか言ってたけど……。
「このチョコと言うものは製作に苦労を伴う為に領民達の仕事ともなっております。暖かければ溶ける為に王都へ持っていく事も難しいでしょう。そして冷やせば固まります。温めるのはお湯を使えば良いのですが、冷やす事を自在にする事が出来ない為に、これ以上皆で考えて更なるお菓子を作り出す事が出来ないのです」
しかし男爵家としては魔術師団団長で次男とはいえ子爵家ご令息に無礼があってはならない。悔しいかな爵位問題。
「うん!このチョコって美味しいね!珈琲にも合う!」
表情をさらけ出さない貴族としては珍しく、にこにことご機嫌さを隠す事なく、目の前にあるチョコを一つ一つ確かめるかのように食しているのだが、その食べ方も貴族としては躊躇いがないのか?と思わずにはいられない程、容赦なく手づかみだったりする。
私やカローラが前世の記憶があって手づかみで食べるのは理解できるも、それを父や母に出した時は、これ何で食べるの?という表情をしていた。フォークは刺せず、スプーンにのせにくく、ナイフで切りにくいとなればそうなるのも理解出来る。
その為、最終的に両親は牛乳にチョコを溶かしたり、クッキーにかけたりというような調理法で食べているのだが……。
「ありがとう……ございます?」
唖然としてしまった私は、思わず疑問形で答えてしまった。
いやしかし油断するなかれ!コイツは要注意人物だ!むしろ関わったら終わる!!
思わず俯いて視線が合わないように下を向く。今はチョコに夢中で気がついてない事を必死に願うも、セドリックにはしっかり観察されていたようだ。
「そんな怖がらないでよ。僕はただ、カローラ嬢が頻繁に砂糖を持ち込んでいる上に、この領地で爆発的に人気になったお菓子を食べようと思って調べただけなんだから」
むしろそれが怖いんですが!?
興味持たれたくなんかないんですが!?
食べたい物を食べようとした結果がこういうことかー!!!
「他にはないの?」
楽しそうに笑って言うセドリックに恐怖を覚える。
いやいやいや、ここで本当に興味を示されても困るんだけど!
「……ありません……」
「……へぇ……?」
本当の事を言っただけなのに、何故か不審者に語りかけるような威圧的低音ボイスが響いた気がする!
「差し出がましいようで申し訳ございませんが、発言させて頂いてよろしいでしょうか」
「良いよ、何?」
扉の側に控えていてくれたポピーが発言してくれた。天の助けか!?助けなのか!?
確かに私が発言するよりは良い気がする!ポピーもセドリックのゲーム設定にある危険さを理解しているから、こんな突撃さえなければ会わせないように計らってたって言ってくれてたもん!……アイビーと協力して、とか言ってたけど……。
「このチョコと言うものは製作に苦労を伴う為に領民達の仕事ともなっております。暖かければ溶ける為に王都へ持っていく事も難しいでしょう。そして冷やせば固まります。温めるのはお湯を使えば良いのですが、冷やす事を自在にする事が出来ない為に、これ以上皆で考えて更なるお菓子を作り出す事が出来ないのです」
13
お気に入りに追加
455
あなたにおすすめの小説
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
転生したら冷徹公爵様と子作りの真っ最中だった。
シェルビビ
恋愛
明晰夢が趣味の普通の会社員だったのに目を覚ましたらセックスの真っ最中だった。好みのイケメンが目の前にいて、男は自分の事を妻だと言っている。夢だと思い男女の触れ合いを楽しんだ。
いつまで経っても現実に戻る事が出来ず、アルフレッド・ウィンリスタ公爵の妻の妻エルヴィラに転生していたのだ。
監視するための首輪が着けられ、まるでペットのような扱いをされるエルヴィラ。転生前はお金持ちの奥さんになって悠々自適なニートライフを過ごしてたいと思っていたので、理想の生活を手に入れる事に成功する。
元のエルヴィラも喋らない事から黙っていても問題がなく、セックスと贅沢三昧な日々を過ごす。
しかし、エルヴィラの両親と再会し正直に話したところアルフレッドは激高してしまう。
「お前なんか好きにならない」と言われたが、前世から不憫な男キャラが大好きだったため絶対に惚れさせることを決意する。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる