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31.私のせいで

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「何してたの……?」

ポピーは心配そうな声の中に怒っている感情も含まれているのか、しっかりした口調で問いかけてくるが、私は正直に言って良いものか悩む。
打ち明けたい事は沢山ある。今は言葉も前みたいに戻っていて壁も感じない。けれどこんな話を外に聞かれるのもどうかと思い、チラリと扉の方へ視線を向けると、ポピーは無造作にベットへ腰掛けて私に視線を合わせた。

「人払いしてもらったよ。扉を壊すのも男爵の許可を貰ってるし。僕が報告に行くまでは誰も近寄らないでって言ってある」

その言葉に本当なのかなって思って物音が聞こえないか耳を澄ますと、ポピーが笑いながら更に教えてくれた。

「誰かが居たりして話の邪魔したら、リズなら引きこもるどころか逃げ出すかもねって言ったら、おばさんも凄く頷いてさ。男爵が顔を真っ青にしながら人払いしてくれたよ」
「……私、やっかいな性格みたいじゃない」
「若干お転婆で何しでかすか分からないところはあるよね」

いつもと変わらないポピーに、緊張もほぐれて言い返す。確かに記憶が戻る前は平民らしくお転婆ではあったと思う。だけど、何しでかすか分からないとは……思うがままに動いていた気はするけど……ほら、子どもだし。
俯いた私に、落ち込んだと思ったのか、ポピーは頭に手をのせ撫でてくれた。それがとても心地よくて。本当に貴族のしがらみって辛いんだなと再度思えてくる。こんな事を簡単にされては淑女としてとか、男女がとか鬱陶しい。

「ポピー……ごめんなさい。果物屋の後を継ぐって言ってたのに……私のせいで従者なんて」
「へっ!?」

私の言葉に、ポピーは一瞬間の抜けた顔をしたが、すぐに慌てて両手を振りながら否定を始めた。

「いや違う!違うよ!?リズのせいじゃないよ!?」
「だってお店……」
「いや、それは大丈夫だから!本当に!両親だってまだ若いしさ!」

そうは言っても、親が何か経営しているとなると、本当に幼い頃から仕事が出来るのだ。親の手伝い程度と言っても、それ専門の英才教育と言っても過言ではない。
生まれによっては本当に知識や情報量が違うので、将来なりたいものへのスタートダッシュを考えると生まれながらの格差なんてのは当たり前だ。
そしてポピーの目利きは両親を超えていた。それは情報や知識だけでなく、幼い頃からの経験からとも言えるだろう。

「確かにリズの話を聞いて心配にはなったけど……僕を必要としてくれてるのかなって……」

ポピーの言葉に、キョトンとした顔を返してしまう。そりゃ確かに必要としてるけれども……。
そして顔を真っ赤にしながらポピーが言葉を続けた。

「結婚しようって……助けて欲しいのかなって……」

その言葉に私も思い出して顔が真っ赤になった。
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