【完結】こんな転生は嫌なので舞台から逃げようと思いますが、逃してもらえません!

かずきりり

文字の大きさ
上 下
25 / 112

25.十一歳になりました

しおりを挟む
十一歳の誕生日を、お披露目兼ねて小さな夜会を開くとルデウル男爵は張り切っていた。だから村から帰った後はいつもの生活に加え、ドレスだの装飾品だの夜会マナーだの、やる事が少し増えただけだった。
変わらず遊びに来るカローラに暇か!と言いながらも、女子会みたいなノリでドレスや装飾品について語ったりするのも、フルーツタルトを作って騒ぐのも楽しいと言えば楽しかった。
そろそろ王都へ帰らなければいけないと言うカローラも夜会に参加すると言って楽しそうにしていたのに……。

――どうしてこうなった――

確かに招待客というのは父が全部決めているのは知ってる。知ってるけれど……。
ニコニコと満面の笑みで迎える父と母。顔面真っ青で佇んでいるカローラの後ろに控えるは変わらずアイビーで……カローラのエスコートをしているのは――

「カローラが出席すると聞いて、是非エスコートにと来た。急にすまなかったな」

フェリクス・モンタニエ王太子殿下。
何で居るんだと叫びたいけれど、そんな事を言った瞬間に首が飛びそうだ。
王太子が居るだけでも、何故とパニックになりそうになる。そもそもカローラとの仲だって良いわけではないのに……と思ったが、目障りだと言わんばかりの顔をしているアイビーに気がつき、そっちか。と少し納得してしまう自分も居る。アイビーで遊んでいるんだろうなぁ。
アイビーはいつもと変わらない態度で接しているが、私とカローラは本当に血の気が引いた顔で、身体の震えを抑えるので精一杯だ。
問題となるのは王太子の後ろに居る人物。赤い短髪に鋭い赤い瞳。
不敬の一つでも犯せば、持っている剣で即首を切りそうだ……そこまでしなくても、床に叩きつけられるくらいはされるだろう……。

ジルベール・パキエ騎士団団長補佐
見事に一生会いたくないと思っている攻略対象者の一人だったりする。

「どうしたリズ嬢。騎士を見るのは初めてか?カローラは見慣れているだろう?」

こいつが怖いんだよ!!と叫ぶ変わりに、ビクリと身体が揺れる。
怯える私達を面白そうに眺めていたかと思ったら、怖がっているのが騎士だと気がついたのか、不機嫌そうな顔で睨みつけながら言ってきた。

「はい……」
「騎士団長補佐ともなると、威圧感がありまして……」

当たり障りのない言葉を返しながらも、背中は汗でびっしょりだ。もう何でこれ連れてきた!?護衛か!?護衛でももっと違う人選しろよと叫びたくなる。
まだ挨拶があるので、王太子もカローラと他へ歩みだしたが、アイビーがカローラを連れ出しているのが横目に見えた。流石にフラついているし、適当に理由をつけたのだろう。病弱設定だし。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

88回の前世で婚約破棄され続けて男性不信になった令嬢〜今世は絶対に婚約しないと誓ったが、なぜか周囲から溺愛されてしまう

冬月光輝
恋愛
 ハウルメルク公爵家の令嬢、クリスティーナには88回分の人生の記憶がある。  前世の88回は全てが男に婚約破棄され、近しい人間に婚約者を掠め取られ、悲惨な最期を遂げていた。  彼女は88回の人生は全て自分磨きに費やしていた。美容から、勉学に運動、果てには剣術や魔術までを最高レベルにまで極めたりした。  それは全て無駄に終わり、クリスは悟った。  “男は必ず裏切る”それなら、いっそ絶対に婚約しないほうが幸せだと。  89回目の人生を婚約しないように努力した彼女は、前世の88回分の経験値が覚醒し、無駄にハイスペックになっていたおかげで、今更モテ期が到来して、周囲から溺愛されるのであった。しかし、男に懲りたクリスはただひたすら迷惑な顔をしていた。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】 私には婚約中の王子がいた。 ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。 そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。 次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。 目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。 名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。 ※他サイトでも投稿中

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

処理中です...