19 / 112
19.王太子殿下が訪問してきたそうで
しおりを挟む
先触れもなく訪問なんて、貴族のマナーとしては有り得ない事だけれど、相手は王太子殿下。
カローラに会いに来たと言っても、ここはルデウル男爵家だ。父は確実に面通しとなるだろう。そうなると後は私なんだけど……カローラだけ差し出せば良いかな、と横目でチラリとカローラの様子を伺ってみると、真っ青になって慌てふためいていた。
「な……なななな……なんで!?」
確かにゲーム上では、二人がどういった関係だったのかは特に描かれていない。カローラの態度からするに、特に婚約者として何かしら関わっていたとは思えないのだが……この領地に居る事が王太子的には思う所があるのではないかと思える。ゲームの設定を考えると、あの王太子だしなぁ……。
「いっそヒロインと会わせてみますか?」
「そんな事したらイベントが!確実に王太子ルートへ行って欲しいのに!」
「嫌だ!会いたくない!一生関わりたくないよ!!」
アイビーの発言にカローラが言い返すが、むしろそれに私も反論する。
嫌だ嫌だ嫌だ!と、頭の中が否定の言葉でいっぱいになる私の前で、カローラはブツブツと何かを呟いていて、設定が……ヒロインは……と聞こえるのは、確実にそれ思い返してますよね!?そしてそこにアイビーが何か補足していたりする。
やめて!それ二対一!!いじめだ!いじめ!!
なんて、そんな事を真正面から言えるわけもなく、私も必死で記憶を手繰る。最近は正直、勉強を必死になっていて、まだ余裕があると思って、ノートを見返す事もしていなかったのだ。
慌てながらも必死で設定を思い出していて、王太子殿下を待たせている事なんて、すっかり頭から抜けていたわけで……
「失礼します。カローラ嬢。フェリクス王太子殿下がお待ちですよ」
ノックの音に気がつき入室を促すと、父がカローラに対して死刑宣告とも言える言葉を放った。
血の気が引きすぎて、青どころか真っ白になったカローラは、重い腰を上げ、重い足を引きずるかのように扉の方へ向かう途中で、父は私の方を見て、こうも言った。
「リズ、お前もお呼びだ」
「え」
私の返事に父は溜息をついたが、こっちはそれどころでもない。
一生会わずに済むなら会いたくなかったのに!!
これは、場合によってはルートを進むか!それとも潰せるか!?カローラが潰せなかった設定とそうじゃないものも考えないと!!
そんな事を考えながら、カローラの方へ視線を向けると、カローラも驚きの表情で口を開けたままこちらを見ていた……が、覚悟を決めたように頷いた後、悪魔のような笑顔をこちらに向けてきた。
……怖い。
カローラに会いに来たと言っても、ここはルデウル男爵家だ。父は確実に面通しとなるだろう。そうなると後は私なんだけど……カローラだけ差し出せば良いかな、と横目でチラリとカローラの様子を伺ってみると、真っ青になって慌てふためいていた。
「な……なななな……なんで!?」
確かにゲーム上では、二人がどういった関係だったのかは特に描かれていない。カローラの態度からするに、特に婚約者として何かしら関わっていたとは思えないのだが……この領地に居る事が王太子的には思う所があるのではないかと思える。ゲームの設定を考えると、あの王太子だしなぁ……。
「いっそヒロインと会わせてみますか?」
「そんな事したらイベントが!確実に王太子ルートへ行って欲しいのに!」
「嫌だ!会いたくない!一生関わりたくないよ!!」
アイビーの発言にカローラが言い返すが、むしろそれに私も反論する。
嫌だ嫌だ嫌だ!と、頭の中が否定の言葉でいっぱいになる私の前で、カローラはブツブツと何かを呟いていて、設定が……ヒロインは……と聞こえるのは、確実にそれ思い返してますよね!?そしてそこにアイビーが何か補足していたりする。
やめて!それ二対一!!いじめだ!いじめ!!
なんて、そんな事を真正面から言えるわけもなく、私も必死で記憶を手繰る。最近は正直、勉強を必死になっていて、まだ余裕があると思って、ノートを見返す事もしていなかったのだ。
慌てながらも必死で設定を思い出していて、王太子殿下を待たせている事なんて、すっかり頭から抜けていたわけで……
「失礼します。カローラ嬢。フェリクス王太子殿下がお待ちですよ」
ノックの音に気がつき入室を促すと、父がカローラに対して死刑宣告とも言える言葉を放った。
血の気が引きすぎて、青どころか真っ白になったカローラは、重い腰を上げ、重い足を引きずるかのように扉の方へ向かう途中で、父は私の方を見て、こうも言った。
「リズ、お前もお呼びだ」
「え」
私の返事に父は溜息をついたが、こっちはそれどころでもない。
一生会わずに済むなら会いたくなかったのに!!
これは、場合によってはルートを進むか!それとも潰せるか!?カローラが潰せなかった設定とそうじゃないものも考えないと!!
そんな事を考えながら、カローラの方へ視線を向けると、カローラも驚きの表情で口を開けたままこちらを見ていた……が、覚悟を決めたように頷いた後、悪魔のような笑顔をこちらに向けてきた。
……怖い。
15
お気に入りに追加
458
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
悪役令嬢アンジェリカの最後の悪あがき
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【追放決定の悪役令嬢に転生したので、最後に悪あがきをしてみよう】
乙女ゲームのシナリオライターとして活躍していた私。ハードワークで意識を失い、次に目覚めた場所は自分のシナリオの乙女ゲームの世界の中。しかも悪役令嬢アンジェリカ・デーゼナーとして断罪されている真っ最中だった。そして下された罰は爵位を取られ、へき地への追放。けれど、ここは私の書き上げたシナリオのゲーム世界。なので作者として、最後の悪あがきをしてみることにした――。
※他サイトでも投稿中
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!
春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前!
さて、どうやって切り抜けようか?
(全6話で完結)
※一般的なざまぁではありません
※他サイト様にも掲載中
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。
婚約破棄にも寝過ごした
シアノ
恋愛
悪役令嬢なんて面倒くさい。
とにかくひたすら寝ていたい。
三度の飯より睡眠が好きな私、エルミーヌ・バタンテールはある朝不意に、この世界が前世にあったドキラブ夢なんちゃらという乙女ゲームによく似ているなーと気が付いたのだった。
そして私は、悪役令嬢と呼ばれるライバルポジションで、最終的に断罪されて塔に幽閉されて一生を送ることになるらしい。
それって──最高じゃない?
ひたすら寝て過ごすためなら努力も惜しまない!まずは寝るけど!おやすみなさい!
10/25 続きました。3はライオール視点、4はエルミーヌ視点です。
これで完結となります。ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる