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19.王太子殿下が訪問してきたそうで
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先触れもなく訪問なんて、貴族のマナーとしては有り得ない事だけれど、相手は王太子殿下。
カローラに会いに来たと言っても、ここはルデウル男爵家だ。父は確実に面通しとなるだろう。そうなると後は私なんだけど……カローラだけ差し出せば良いかな、と横目でチラリとカローラの様子を伺ってみると、真っ青になって慌てふためいていた。
「な……なななな……なんで!?」
確かにゲーム上では、二人がどういった関係だったのかは特に描かれていない。カローラの態度からするに、特に婚約者として何かしら関わっていたとは思えないのだが……この領地に居る事が王太子的には思う所があるのではないかと思える。ゲームの設定を考えると、あの王太子だしなぁ……。
「いっそヒロインと会わせてみますか?」
「そんな事したらイベントが!確実に王太子ルートへ行って欲しいのに!」
「嫌だ!会いたくない!一生関わりたくないよ!!」
アイビーの発言にカローラが言い返すが、むしろそれに私も反論する。
嫌だ嫌だ嫌だ!と、頭の中が否定の言葉でいっぱいになる私の前で、カローラはブツブツと何かを呟いていて、設定が……ヒロインは……と聞こえるのは、確実にそれ思い返してますよね!?そしてそこにアイビーが何か補足していたりする。
やめて!それ二対一!!いじめだ!いじめ!!
なんて、そんな事を真正面から言えるわけもなく、私も必死で記憶を手繰る。最近は正直、勉強を必死になっていて、まだ余裕があると思って、ノートを見返す事もしていなかったのだ。
慌てながらも必死で設定を思い出していて、王太子殿下を待たせている事なんて、すっかり頭から抜けていたわけで……
「失礼します。カローラ嬢。フェリクス王太子殿下がお待ちですよ」
ノックの音に気がつき入室を促すと、父がカローラに対して死刑宣告とも言える言葉を放った。
血の気が引きすぎて、青どころか真っ白になったカローラは、重い腰を上げ、重い足を引きずるかのように扉の方へ向かう途中で、父は私の方を見て、こうも言った。
「リズ、お前もお呼びだ」
「え」
私の返事に父は溜息をついたが、こっちはそれどころでもない。
一生会わずに済むなら会いたくなかったのに!!
これは、場合によってはルートを進むか!それとも潰せるか!?カローラが潰せなかった設定とそうじゃないものも考えないと!!
そんな事を考えながら、カローラの方へ視線を向けると、カローラも驚きの表情で口を開けたままこちらを見ていた……が、覚悟を決めたように頷いた後、悪魔のような笑顔をこちらに向けてきた。
……怖い。
カローラに会いに来たと言っても、ここはルデウル男爵家だ。父は確実に面通しとなるだろう。そうなると後は私なんだけど……カローラだけ差し出せば良いかな、と横目でチラリとカローラの様子を伺ってみると、真っ青になって慌てふためいていた。
「な……なななな……なんで!?」
確かにゲーム上では、二人がどういった関係だったのかは特に描かれていない。カローラの態度からするに、特に婚約者として何かしら関わっていたとは思えないのだが……この領地に居る事が王太子的には思う所があるのではないかと思える。ゲームの設定を考えると、あの王太子だしなぁ……。
「いっそヒロインと会わせてみますか?」
「そんな事したらイベントが!確実に王太子ルートへ行って欲しいのに!」
「嫌だ!会いたくない!一生関わりたくないよ!!」
アイビーの発言にカローラが言い返すが、むしろそれに私も反論する。
嫌だ嫌だ嫌だ!と、頭の中が否定の言葉でいっぱいになる私の前で、カローラはブツブツと何かを呟いていて、設定が……ヒロインは……と聞こえるのは、確実にそれ思い返してますよね!?そしてそこにアイビーが何か補足していたりする。
やめて!それ二対一!!いじめだ!いじめ!!
なんて、そんな事を真正面から言えるわけもなく、私も必死で記憶を手繰る。最近は正直、勉強を必死になっていて、まだ余裕があると思って、ノートを見返す事もしていなかったのだ。
慌てながらも必死で設定を思い出していて、王太子殿下を待たせている事なんて、すっかり頭から抜けていたわけで……
「失礼します。カローラ嬢。フェリクス王太子殿下がお待ちですよ」
ノックの音に気がつき入室を促すと、父がカローラに対して死刑宣告とも言える言葉を放った。
血の気が引きすぎて、青どころか真っ白になったカローラは、重い腰を上げ、重い足を引きずるかのように扉の方へ向かう途中で、父は私の方を見て、こうも言った。
「リズ、お前もお呼びだ」
「え」
私の返事に父は溜息をついたが、こっちはそれどころでもない。
一生会わずに済むなら会いたくなかったのに!!
これは、場合によってはルートを進むか!それとも潰せるか!?カローラが潰せなかった設定とそうじゃないものも考えないと!!
そんな事を考えながら、カローラの方へ視線を向けると、カローラも驚きの表情で口を開けたままこちらを見ていた……が、覚悟を決めたように頷いた後、悪魔のような笑顔をこちらに向けてきた。
……怖い。
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