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17.簡単に語るものではないと思う

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子どもながらに婚約を解消や白紙にできないか、破棄でも良いと手を尽くしてはいたが、子どもが使える手段なんて対した事もなく、それなりに貴族として教育されていくにつれ、王命となる婚約が絶対に覆せない事を悟ると、ヒロインのルートが王太子以外だった場合を考えて未来が絶望しか見えなくなったとカローラは語った。
確かに記憶があれば五歳という年齢でも、前世が高校生なら逃走手段の一つとして考えられてもおかしくはないかもしれない。
邸から抜け出す手段もなければ、そうなるだろう。例え抜け出した所で子どもが一人で生きていける手段だって無いに等しい。最悪ホームレスのような生活だろうし、それでも稼ぐ手段もなければ、行き倒れるのは目に見えている。

「毒は手に入らないし、首吊ろうとしても準備段階でアイビーに見つかるし。飛び降りようとしても誰かが付いてるから阻まれるし。刃物だって部屋にはないし」
「いやいやいや、もう良いから!もう良いからー!!」

淡々と語るカローラに恐怖を覚えてしまう。
そんな壮絶な過去を軽く語らないで欲しい。

「なのでヒロインには確実に王太子ルートを進めて貰い、追放されれば私が後はいくらでもお世話しますので。……いっそ殺せれば良かったのですが」

誰がとは言わないけれど、その相手は容易に想像がつく。
そして私は生贄ですか、そうですか。それ提案したのアイビーっぽいよな!?でも断る!!

「しかしホームシックというか……母親を取られて、赤ちゃん返りでもしたの?」

もう話は終わったと言わんばかりに、私の赤っ恥な黒歴史をカローラはつついてきた。
あぁ……自分の現状を整理する為に私そんな事まで書いたっけ……もう恥ずかしくて涙目になる……なるけども!本当に辛かった!!

「あの二人を見てて……どう思う?」

私の言葉に、カローラは一瞬キョトンという顔をしたかと思うと、直ぐアイビーに向き直って言った。

「紅茶、ストレートでもらえるかしら。濃い目で」

言った後に、ミルクの入った紅茶のカップとお菓子を自分から離そうと私の方へ手で押してきた。甘い匂いすらも今は遠ざけたいのだろう。うん、本当に分かる。

「バカップル夫婦」
「リア充爆発しろ」

あれだけ糖度が高い二人だ。正直、十歳で親が知らない相手と突発的に再婚して、あの二人を目の当たりにするのは本当に教育上よろしくないとしか思えない。カローラの話を聞いた後の今、何か大したことないかのように思えるけれど、十分よくない事ではあると思う!
周囲を気遣うとか!空気読むとか!!ゲームのキャラ考えても貴族って自分勝手しか居ないのかな!?
そんな事を言いながら、カローラの闇が浮き彫りになったお茶会は終わりを告げた。
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