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15.カローラの軌跡

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「ど……どういう事!?」

もっとハッキリ説明して!と、机を叩いてカローラに詰め寄ると、アイビーの鋭い目線が突き刺さったが、そんな事気にしていられない!
本当にどういう事!?
頬に指を置いて、うーんと考えるカローラだったけれど、まぁ話しても大丈夫かなと私に視線を向けてくれた。
まず前置きとして、生まれた時から記憶があるからと色々動いてカローラは試していたようだ。

「まず体型は本当に筋肉つかないし。婚約は決定しちゃったし。自害も出来ないし。あ、でもアイビーを拾う事は出来たわね」
「…………………………は?」

カローラの簡単な言葉は、衝撃的すぎて、たっぷり間を置いてから出たのは、間の抜けた声だった。
体型?いやそれはナイスバディでお願いしたいから筋肉つかなくて良かったと思うし。
婚約決定……はご愁傷様?てか自害!?自害って何!?
え!?アイビーって拾ったの!?やっぱりゲームで居なかったキャラ!?
風穴が開くんじゃないかと思う程、じっとカローラから目を離す事なく静止している私に、カローラは苦笑しながら詳しく話してくれた。

乙女ゲームでは詳しく語られる事がなかった王太子との婚約は、生まれた時から決まってた事らしい。そもそも王族が懐妊した場合、自分の子どもを婚約者や側近にしたい親達も子どもを作るわけで、王族の子どもと同世代辺りは一気に子どもの人数が跳ね上がるとか。ぶっちゃけ前世からも平民からも考えられないのだが、家門の事を考えればそれが当然なのかと理解は出来る。
その為、政治バランスや家柄を考えた時にいくつか候補が挙げられた家の中で女児が生まれたのがティダル侯爵家のみだった為に、そのまま婚約が成立されたとの事だ。

「記憶を持っていたと言えども違和感程度だったし……」

どこか遠い目をしながらカローラは語る。むしろ記憶が完全に戻ってる状態で赤ん坊をやらなくて良かったのではと思ったが、口には出さなかった。
目も見えなければ手足も自由に動かないし、トイレだって……うん、考えるのはやめよう。
自立出来るようになると共に記憶もどんどんハッキリしてきたらしい。いきなり蘇った私とは違って、確かに違和感だらけの生活を送る事にはなってただろうな、なんて曖昧な同情だけは心に思う。
実際自分の身に起こった事ではないので、あくまで想像しか出来ないからだ。

「そして三歳の時にアイビーを拾ったの」
「ちょっと待て?」

三歳が?拾った?そんな犬猫みたいに!?え?しかも三歳!?
思わずガシャンと手元のカップを落としそうになった。
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