【完結】こんな転生は嫌なので舞台から逃げようと思いますが、逃してもらえません!

かずきりり

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12.色々思う事はあるけれど

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「リズ!?」

有無を言わさないという雰囲気のアイビーに引きずられてサロンに連れ出されると、カローラは私の顔を見た瞬間に驚いて立ち上がった。

「なんってブッサイクな顔してるの!?折角の可愛い顔が!」
「どういう意味!?」

いきなり面と向かって失礼な事を言われ、イラッとしたが、カローラの向けた手鏡に映る自分を見て納得した。服は皺まるけで髪はグチャグチャ、目は泣いていたせいか腫れぼったくなっていて肌もパサパサだ。
確かにドアを蹴破られた後は問答無用でアイビーに連れ出されて、用意する時間もなかったとは言え……それでもこれをカバーできた自信はない。
いくら前世でメイクを楽しんでいたとしても、アイプチもないこの世界で、ここまで腫れた瞼を元の二重に戻す方法なんて私は知らない。いや、アイプチがあってもここまで腫れてたら無理か……いつもの半分以下しか目がないよ……。
ゲームの中ではいつも可愛らしい顔をしていたヒロインだけど、歪ませようと思ったらここまで歪むのかと、どこか他人事のようにしみじみと思った。

「というか、貴女もやらかしたわねぇ……」

憐れんだような瞳をしてカローラがそんな事を言った。
カローラは私の事を少しは気にしてくれていたらしく、様子を見にきたら絶賛引きこもり中だと聞いたから心配したらしく、そこへアイビーが様子を見に行くと言ってくれたので頼んだらしいが……人選がおかしい。と言うか間違っている。一番頼んではいけない人物なのではないだろうか。
王太子押し付け合いが行われている、いわばライバルのような関係だけれど、気にしてくれていたという事で少し心がほっこりと喜んだところに見事ブリザードが降り注いだ。
私の心情など微塵も理解できないのか、こてんと首を傾げる姿は、キツめの悪役令嬢なんかではなく、年相応の可愛らしい少女に見える。というか現時点で感情の籠らない瞳になっている私の方が悪役令嬢っぽいのではないだろうか。
とりあえずお互い椅子に座ると、カローラから両親がどれだけ心配していたのか聞かされた。

「私としては唯一まともな王道カップル二人が心傷ませてるのが何とも……一体何でそこまで?」

いくら現世では同じ歳とはいえ、まさか前世女子高生に諭されるとは少し肩身の狭い気持ちとなる。
しかも理由が寂しさからの攻略本作りなんて、何か居た堪れない。ただの我儘でしかないと思える。まぁ今は十歳だけど!?
そんな私の気持ちなんて関係ないと言わんばかりにアイビーがカローラに歩み寄ったかと思ったら、その手に持っている物を思わず凝視した。

「カローラ様、こちらを」
「ちょっと待てぇえええ!!!????」
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