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08.前世の話題をふってみる

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「そんな落ち込まないで!王太子とのイベントはきっちりきっかりお手伝いしますわ!勿論悪役令嬢も努めさせて頂きます!」
「人権侵害的な生贄は良くない!だいたい、いつから記憶が!?私は先日、湖へ行く前に戻ったとこなのに!」
「あら、ギリギリだったのね、私は生まれつきよ!しっかり身体も鍛えてるからご安心下さい!」
「不安しかないわ!!!」

男爵と侯爵の違いだろうか、私より格段に良いドレスとアクセサリーを身につけているカローラは、装いに合わずガッツポーズなんて披露しながら、そんな台詞を吐いている。
こっちはこっちで、敬語だのマナーだの前世で齧った事くらいの理解力しかない。というかお互い言葉が崩れがちで馴れ馴れしい感じがするのも、ゲームの登場人物相手……というか、故郷が同じという点で、どこかしら緩んでいる部分があるのかもしれない……。
ていうか……

「何で身体鍛えてるの?」
「何があっても良いように備えてるの」
「……折角、十四歳の時にはナイスバティーになるってのに!?変に筋肉ついたら台無しよ!?ふざけるな!?胸よこせ!!」
「あー……ヒロインは見事に貧乳ですものねぇ……」

貧乳どころかお尻もないわ!ボンキュッボンなんて夢のまた夢!!これからしっかり食べれば……と未来に希望を見出したいけれども、ゲームの完成形を知ってる私はむしろ未来に絶望を抱くわ!

「これでも前世ではリア充しまくってたし胸もあったのにー!!」

思わず言ったところで無意味な事を叫び、目の前にあったフィナンシェにかぶりつく。あ、これ美味しい。平民時代にお菓子なんて食べられなかったしなぁ、なんて思いながら味わっていると、カローラが私から目を逸らしている。

「……」
「……」

お互い無言になりながらも、カローラと目を合わせようと身体を前のめりにさせるも、私の視線から逃げるように、更にカローラも身体を背後の方へ動かす。もしや、と思いながら口元が緩む。意地悪だと思いながらも仕返ししたい心が膨れ上がるのは止まらない。

「……私、前世はOLしてて、オシャレを楽しんで彼氏とデートしてってリア充全開の二十四歳だったんだけど……カローラは?」

私の言葉にカローラの身体がビクンと跳ねる。聞かれたくない事だったか~聞かれたくなかったか~なんて心の中では悪戯心が膨れ上がる。
先を促すように紅茶を飲みながら笑顔で、どうしたのー?今より前世の紹介しようよーと問いかけてみる。
まぁ……お互いの現世に関してはゲームの中や攻略サイト等を見れば、ある程度は把握出来る情報だしね、と釘を刺すように言いながら。
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