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40.悪役令嬢とヒロインの道
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「療養中だからと断っていたのだが……こんな最終手段に出やがって!」
「ふふふ……もう後がないですからねぇ」
両親から黒い微笑みが見える。あれから国王に責任追及を行ったところ、第二王子の独断だと言うばかりで逃げ続けていたらしい。それと並行して貴族たちからの信用は失墜し、その噂は王都の民にまで広がり、王家に対する不信感は募るばかりだそうだ。
そりゃそうだろう。王命の婚約者に対して理不尽な冤罪と浮気だ。第二王子とは言え、王族が権力を笠に着て好き放題やっているようにしか見えない。
罰として第二王子と、浮気相手、そして側近達は謹慎処分になったと伝えられたそうだが、そんな軽い処分で貴族や民達が納得するわけない。
「嫌な予感しかしない」
私の言葉に両親とフィンは力強く頷くも、この手紙から逃れる手段なんてない事も知っている。全く面倒くさい。前世でも問答無用で受け取らなければいけない書状というものはあったが、ここまで心を億劫にさせるものとは無縁だったなぁ……なんて遠い過去に思いを馳せながら、少しだけ現実逃避をしながら出向く覚悟を決めた。
◇
「何で私がこんな目に合うのよ!」
ふわふわしたピンクの髪を靡かせ、その容姿からは似合わないヒステリックな叫びをあげると共に、手近にあった花瓶を床に叩きつけた。
「落ち着いて!リディ」
「落ち着いてられるわけないでしょ!?」
リディア・ファルス伯爵令嬢は、自分が軟禁されている現状に納得していない。むしろ、どうして軟禁なんてされなくてはいけないのかと暴れている。それを止めているのはリアレス・オスティ侯爵令息だ。
聖職者の任についているリアレスは、前髪が少し長めの金髪おかっぱを乱しながらもリディが荒らした部屋の中を片付けている。リアレスの髪の間から除く美しい紫の瞳は、今や悲しみに染まっている。
「何なの一体!?王妃からは冷たく当たられるし。常に家庭教師をつけられるわ、挙句怒られるわ。満足に出歩けないから買い物も出来ないじゃない!」
「王子妃になるのだから、妃教育を受けないと……」
「ヒロインにそんなもの必要ないでしょ!?ゲームではそんな描写なかったわよ!幸せな結婚式で終わりよ!」
「だから、ヒロインとかゲームとか……」
「そうよ、そうだわ!私が手を抜いたからシナリオが変わったのね……」
必死に語り掛けるリアレスを無視して、リディは自分の殻に籠ったかのように、何かをブツブツ唱え始める。軟禁されてからは、意味の分からない単語を言いながら叫ぶ事は日常茶飯事だった。
――もう無理だ。
第二王子が選んだ相手。自分は第二王子の側近。そう思って頑張っていたリアレスだったが、自分の殻に籠ったリディアを放置するかのように部屋から出ると、とある部屋へ足早に向かっていった――。
「ふふふ……もう後がないですからねぇ」
両親から黒い微笑みが見える。あれから国王に責任追及を行ったところ、第二王子の独断だと言うばかりで逃げ続けていたらしい。それと並行して貴族たちからの信用は失墜し、その噂は王都の民にまで広がり、王家に対する不信感は募るばかりだそうだ。
そりゃそうだろう。王命の婚約者に対して理不尽な冤罪と浮気だ。第二王子とは言え、王族が権力を笠に着て好き放題やっているようにしか見えない。
罰として第二王子と、浮気相手、そして側近達は謹慎処分になったと伝えられたそうだが、そんな軽い処分で貴族や民達が納得するわけない。
「嫌な予感しかしない」
私の言葉に両親とフィンは力強く頷くも、この手紙から逃れる手段なんてない事も知っている。全く面倒くさい。前世でも問答無用で受け取らなければいけない書状というものはあったが、ここまで心を億劫にさせるものとは無縁だったなぁ……なんて遠い過去に思いを馳せながら、少しだけ現実逃避をしながら出向く覚悟を決めた。
◇
「何で私がこんな目に合うのよ!」
ふわふわしたピンクの髪を靡かせ、その容姿からは似合わないヒステリックな叫びをあげると共に、手近にあった花瓶を床に叩きつけた。
「落ち着いて!リディ」
「落ち着いてられるわけないでしょ!?」
リディア・ファルス伯爵令嬢は、自分が軟禁されている現状に納得していない。むしろ、どうして軟禁なんてされなくてはいけないのかと暴れている。それを止めているのはリアレス・オスティ侯爵令息だ。
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「何なの一体!?王妃からは冷たく当たられるし。常に家庭教師をつけられるわ、挙句怒られるわ。満足に出歩けないから買い物も出来ないじゃない!」
「王子妃になるのだから、妃教育を受けないと……」
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「だから、ヒロインとかゲームとか……」
「そうよ、そうだわ!私が手を抜いたからシナリオが変わったのね……」
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――もう無理だ。
第二王子が選んだ相手。自分は第二王子の側近。そう思って頑張っていたリアレスだったが、自分の殻に籠ったリディアを放置するかのように部屋から出ると、とある部屋へ足早に向かっていった――。
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