【完結】婚約破棄された悪役令嬢は攻略対象のもふもふ従者に溺愛されます

かずきりり

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32.賑やかな施設と化しました

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 怪我した獣人を、またしても治療した翌日。血相を変えた家族が乗り込んできたけれど、熱も落ち着いてゆっくり眠っているのを見て、死んでいるのかと怒鳴られたが、目を覚ましたのを見て喜びに泣き崩れていた。人間に対して不安や敵意を持っていたようだけれど、そこはエアロ達が対応してくれた上に、命を救ってくれた事に対しての感謝と失礼な態度の平謝りを繰り広げられた。
 その結果……。

「こっちにも親子丼をー!」
「具だけお願いできるー!?」
「足りなくなったわ!まだお肉あったー!?」

 噂が噂を呼び、色んな獣人達が顔を出しにくるようなり、見世物状態!?という状況になった上、食べ物を強請られるというカオスを呼んだ。
 それならばもう、日付を決めて炊き出し形式を……と思ったが、思いのほか子ども達の反対が強く、今では毎日のように皆で材料調達から料理までが日課となっている。特に子育て世代の母獣人達にはかなり感謝されている辺り、人間や獣人なんて事は関係なく大変なんだなと思える。
 更には……。

「狩りに失敗してな~」
「お前、結構傷深いぞ!?」

 怪我をした人達の治療も行うようになっている。すでに獣人達の警戒心はどこへ?という感じになっていた。というか、もう私が人間である事を忘れられていませんかね?
 ……そもそも、ここに人間って私一人だったか。そんな事を思いながら、ベッドの準備を行う。
 軽い怪我ならば薬草を塗ったり回復魔法で終わりなんだけれど、酷い怪我の場合は保護というか入院のように泊まってもらったりしている。……まぁ、氷なんてそう簡単に作れないし、熱があったりするなら、すぐに冷やせる方が良い。

「いっそ、保護施設作ろうか。シアが居るのに男が泊まるとか危険だ」

 なんて、真顔で言ったフィンは、さっさと専用の建物まで作った程だ。いや、怪我人ですよ?危険とかないわ!という私の声は全力でスルーされた。

「従者が過保護です。十歳の子どもが過保護にしてくるんですが、どうしたら良いですか」
「いや、それ今更じゃね?とりあえず飯にしねぇ?」

 と、一度エアロに相談したところ、そう返されて終わった。私の相談より、ご飯!思わず睨みつけると、エアロはため息を吐きつつ真剣な顔をして言った。

「……フィンは何でも出来る。料理、治療も。シア一人で抱えるよりは良いんじゃないか?」
「むしろ私以上だと思うんだけど……」
「じゃあフィンを手伝えば良いんじゃね?」

 私が前世からやっていた事、やりたい事をフィン主導でやらせる事になると……?いや、それはそれで申し訳ないんだけど!

「……適材適所って言葉知ってるか?甘えるのも1つの手段だと思うぞ?」
「……はい……」

 私が何とも言えず、更に悩んだ事に気が付いたエアロは、真顔でそんな事を言うものだから頷く他なかった。

 今日も今日とて賑やかな施設と化していってます。
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