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18.村での生活

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 食事の後、エアロは隠れ里の皆が心配していると思うから戻ると言って、森の奥深くへ走って行った。その脚力はやはりサーバルキャットだな、と思える程に速く、その姿が見えなくなるまで見送った。
 私達は、翌朝には予定通り村へ行き、そこで空き家を借り、討伐や採取依頼をしながら細々と生活していたりするのだが……。

「よっ!シア!フィン!」
「エアロ!また来たの!?」

 変わった事と言えば、たまに森の中で薬草とか探しているとエアロが現れる事だ。

「ここに来るまでの間、危険もあるだろう」
「まぁ、そうだけど。狩りのついでってのもあるし、人間と知り合いってのも何か嬉しくて」

 エアロはそう言って牙が見える程に笑った。

「……知り合い、ですからね」
「こえぇよ、フィン」

 睨みつけるようなフィンの眼差しにも慣れたのか、エアロもエアロで言い返している。知り合いって何か遠い存在な気がするんだけど……。

「友達ではないのね……」

 思わず私がそう口にしてしまえば、二人は勢いよく私の方を向いた。フィンは驚いたような、だけど愕然とした表情をして。エアロは驚きつつも顔面蒼白な顔をして。

「ごめんなさい。そんなに嫌だとは……」

 そこまで拒絶されるのかと、私もショックを受けて俯いてしまう。フィンも人間が獣人と友達になるなんてあり得ないと思っているのだろうか。

「嫌じゃねぇよ!?」
「私も獣人のお友達欲しかったんだけど……というか、友達いないし」

 落ち込む私を見て、二人は慌てる。よく考えれば私に友達は居ない。記憶が戻る前の事も覚えているが、家同士の付き合いで……と言った感じで、本音を言えるような友達は居なかった。全てが上辺だけ。

「フィンは!?」

 そんな私に、慌てたようにエアロが言う。その質問にフィンがエアロを威圧したが……。

「フィンは友達以上だもの」

 私は当たり前の言葉を返す。驚いたようにフィンがこちらを向いたが、何を驚く事があるのだろうか。

「そうね……家族のような?」

 フィンは私にとって一番近い存在で、本音だけでなく、ありのままの自分をそのまま曝け出しても良いような存在なのだ。大事で大切で、かけがえのない存在。
 そんな思いを込めてそう伝えれば、エアロは吹き出し。フィンはどことなく複雑そうな顔をする。
 仕えている主人に家族のようなものと言われてしまえば、そうなのだろうか。それはそれでこちらとしても多少ショックを覚えてしまう。

「エアロ兄ちゃん!見つけた!」

 いきなり森の中から、そんな声が聞こえた。驚いて振り返ると、フィンと年齢的には変わらないか、それより下の子が三人程居た。

「お前ら、どうしてここに!?危ないだろ!」
「エアロ兄ちゃんの言ってた人間に会って見たくて!」

 一体、何を言っていたのだろうか。キラキラした瞳でこちらを見る子ども達。というか私としては、何の獣人なのか知りたくて、思わずこちらもジーっと見つめてしまっていると、フィンとエアロの溜息が聞こえた。
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