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14.痴女ではありません
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獣人とは言え、やはり犬の部分はどこかにあるのだろうか。フィンは睨みつけるような目で、私の膝の上で撫でまわされているサーバルキャットを見ているせいか、サーバルキャットの視線がどこか彷徨っているような気がする。うん、居心地が悪いのだろうな。先住民が後から入ってきたものに嫉妬してしまうのは、よくある話だ。保護猫的なものでだけど。しかし私としては膝の上に居るもふもふを手放したくない気持ちがあるわけで……。
「フィン、おいで」
そう言って手を差し出すと、一瞬驚いた顔をしたフィンだったが、そのまま頭を撫でてと言わんばかりに差し出すように近づけてきた。その姿に、既視感を覚えつつ、サーバルキャットの頭を優しく抱きしめるようにしたまま、フィンの頭を撫でると、嬉しそうな顔をする。
「フィンが一番よ」
「っ!?」
笑顔でそう言うと、フィンが目を見開き、尻尾と耳が飛び出した。その瞬間を見逃さず、すかさず私は耳をもふもふする。
「あぁ~やっぱもふもふ最高!」
私がそんな事を叫べば、フィンの視線から逃れるように顔を俯かせていたサーバルキャットが顔を上げ、フィンを見ると目を見開き、いきなり立ち上がった。
「獣人!?」
「え」
サーバルキャットから放たれた人の言葉に、呆気にとられた私だが、次の瞬間には目を見開いた。だって、さっきまでサーバルキャットの姿だったのが、今は獣人の姿になっているのだから。
「え?え?えぇ?」
状況把握に頭が回らない私はフィンの方を見ると、フィンは驚いた様子もなく、ただ鋭く冷たい目線をサーバルキャットだった獣人に向けている。ある意味で威嚇的に見えるのは気のせいだろうか。獣人同士でも動物のような嫉妬はあるのか……?
というか、そうじゃない。そうじゃないよ、そこじゃないよ。
と、必死に脳内を働かせると、身体中の血液が私の顔に集まってくるのを自覚した。
待って、本当に待って。これは……。
このままでは不名誉な汚名が自分についてしまうと、私は思わず土下座の体制を取った。
「もふもふして申し訳ありませんでしたー!」
「そこかよ!?てか謝罪!?」
淑女にあるまじき行為。獣姿だったとは言え、人の形を取れる獣人相手に、私は痴女のような行動に出てしまったわけだ。前世ならセクハラで訴えられる。てかもう、恥ずかしくて黒歴史的に死ねる。
頭を膝に乗せて、身体中を撫で回して抱きしめたわけで……。
「私、変態!?」
「シア!?」
思わず叫んだ言葉に、フィンが私を慰めるように抱きしめ、サーバルキャットだった獣人に対し唸って威嚇する。
「え?えぇ!?変態じゃない!大丈夫だ!ってか俺が悪いの!?」
何故か焦ったように慰めの言葉をかけられるが、自分のやった事が恥ずかしい私は、しばらくフィンの胸から顔を上げる事が出来なかった。
「フィン、おいで」
そう言って手を差し出すと、一瞬驚いた顔をしたフィンだったが、そのまま頭を撫でてと言わんばかりに差し出すように近づけてきた。その姿に、既視感を覚えつつ、サーバルキャットの頭を優しく抱きしめるようにしたまま、フィンの頭を撫でると、嬉しそうな顔をする。
「フィンが一番よ」
「っ!?」
笑顔でそう言うと、フィンが目を見開き、尻尾と耳が飛び出した。その瞬間を見逃さず、すかさず私は耳をもふもふする。
「あぁ~やっぱもふもふ最高!」
私がそんな事を叫べば、フィンの視線から逃れるように顔を俯かせていたサーバルキャットが顔を上げ、フィンを見ると目を見開き、いきなり立ち上がった。
「獣人!?」
「え」
サーバルキャットから放たれた人の言葉に、呆気にとられた私だが、次の瞬間には目を見開いた。だって、さっきまでサーバルキャットの姿だったのが、今は獣人の姿になっているのだから。
「え?え?えぇ?」
状況把握に頭が回らない私はフィンの方を見ると、フィンは驚いた様子もなく、ただ鋭く冷たい目線をサーバルキャットだった獣人に向けている。ある意味で威嚇的に見えるのは気のせいだろうか。獣人同士でも動物のような嫉妬はあるのか……?
というか、そうじゃない。そうじゃないよ、そこじゃないよ。
と、必死に脳内を働かせると、身体中の血液が私の顔に集まってくるのを自覚した。
待って、本当に待って。これは……。
このままでは不名誉な汚名が自分についてしまうと、私は思わず土下座の体制を取った。
「もふもふして申し訳ありませんでしたー!」
「そこかよ!?てか謝罪!?」
淑女にあるまじき行為。獣姿だったとは言え、人の形を取れる獣人相手に、私は痴女のような行動に出てしまったわけだ。前世ならセクハラで訴えられる。てかもう、恥ずかしくて黒歴史的に死ねる。
頭を膝に乗せて、身体中を撫で回して抱きしめたわけで……。
「私、変態!?」
「シア!?」
思わず叫んだ言葉に、フィンが私を慰めるように抱きしめ、サーバルキャットだった獣人に対し唸って威嚇する。
「え?えぇ!?変態じゃない!大丈夫だ!ってか俺が悪いの!?」
何故か焦ったように慰めの言葉をかけられるが、自分のやった事が恥ずかしい私は、しばらくフィンの胸から顔を上げる事が出来なかった。
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