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12.森の中で

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 フィンは危険な事さえしなければと言ってくれたので、私は町の子ども達へと孤児院のようなものに併設されて作られた図書館のようなものや本屋にも行って、必要だと思われる知識を入れた。フィンの準備が終わる間に、平民の暮らしを見たり、職業や薬草類、簡単な医療に関しても読み漁った。まだまだ足りないと思った分に関しては書籍を購入してきて、これで私も役に立てる!……と思っていた時が、あったのです。

「シア、夕飯できたよ」
「あ……うん。ありがとう」

 明日には村に着く。その前に少し回り道をして立ち寄った森の中で、私はフィンが用意してくれたテントの前で休んでいた。勿論、ご飯の用意もフィンである。更に言うなら焚火を起こしてくれたのもフィンだ。あれ?至れり尽くせりじゃないか?
 今までの旅路を振り返ってみても、そうだ。湖や川があれば汗を流すのにお風呂のような樽にお湯を用意してくれたのはフィンで、ご飯の材料から用意、そして寝ずの番をするのもフィンだった。更に言うならフィンは怪我1つしていないので、手当という行為も一切していない。

「そういえば、どうしてこの森に寄ったの?」

 ふと気になった事を聞いてみた。フィンの性格的に、真っすぐ安全で最速に辿り着く道を選ぶと思っていたからだ。

「道なりに行っても水浴びする場所もなかったし、ギルドの情報や地図を見る限り、村での討伐依頼や薬草採取は、この森になりそうだったから下見を兼ねた食糧調達」
「なるほど……」

 結構しっかりと下準備や知識を入れてるフィンに驚きを隠せない。そこらの大人より余程しっかりしている。

「ちなみに、この森は広くて、抜けた先は隣国だったりするから奥まで入っちゃダメだよ。……まぁ抜け出す前に遭難するけど」
「絶対離れないでね!」

 思わずフィンに抱き着いてしまうダメな大人、悪役令嬢な自分。しかし森なんて初めて入ったけれど、木々ばかりで、すでに方向性すら分からない。フィンが居なければ帰り道すら既に分からない。方位磁石なんてものがあれば別だろうけど、確かに磁力が狂ったら迷子になるっていう意味が理解できる。

「絶対離れないから」

 そう言って優しく微笑むフィンだが、その瞳がどこか怪しげに光っている気がする。そんな時、ガサリと草木の鳴る音がした。
 フィンが素早く私を背に隠し、音のした方に視線を向けるが、何かが出てくる様子もない。

「魔獣が襲ってくるわけではないのか……?」

 シア様はそこで待っていて下さいと言われるが、一人残されるのも嫌なのでフィンの邪魔にならないように付いて行く。草木を分け入り少し入ると、そこに居たのは――。

「……サーバルキャット……?」

 猫のような、しかしそれ以上の大きな体を持つ動物の名前が思わず漏れた。
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