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53.集まる証拠
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そもそも王族は種馬の如く、その血筋をバラまいたりはしないと。それこそ王位継承権の問題などで国を揺るがしかねないと。
それは王族だけでなく、貴族にも適用され、関係を持ったりしたら即婚姻とまで言われる程だそうだ。
……それほど、誰の子どもか分からなくなる事は防がなくてはならないという事か。
世襲制って大変だな……生まれから育ちまで全て必要なのか。
昔の日本もそういう所があったようで、まだ残っていたりするらしいが、それでも緩くはなっている気がする。
『それで……ブルーノやルネにもアイテムとやらはあるのか?』
『攻略自体簡単だったので、特にそんなアイテムがあるとは聞いた事がないなぁ……あるのかもしれないけど……』
王子は残りの攻略対象の様子も気になるようで、顎に指をおいて考えながら伝えてきた。
『……それは簡単に惚れると……?』
『勉強頑張ってる素振りを見せればブルーノが。防衛の為に武術を学ぶ素振りをすればルネが』
『……素振り……』
俺の言葉に王子は頭を抱えだした。……別にテストで良い点とれとか、何かの武術大会で優勝しろとかもなかったし、ミニゲームはあったけれど結果は特に関係なかったもんな……。何となく勝ちたかったから俺は頑張ってただけで。
『人選を間違えた……それとも決められた結果だったのか……』
あー……王子自ら、側近と護衛を選んでいたのか……。まぁ、ゲーム通りに進まされたとしか俺は思わないけれど、自分で選んだという自覚があるのであれば、それは後悔にしかならないよな……。
もう、本当にご愁傷様としか言いようがない。
王子がいら立っている事は、何故か感覚で分かる。ゲームの事は一通り話したし、どうするかなと大きくため息をつけば、ちょうど良いタイミングでノックの音が聞こえた。
「殿下、よろしいでしょうか」
「あぁ、入れ」
あの声は、確か宰相とか言う人だったよな。
王子の声に扉が開くと、宰相が紙の束を持って入ってきた。
「こちらの確認を……それとアニスの件ですが……」
宰相の言葉に王子は向かいの席を進める。それに答えて宰相は、テーブルの上に書類を置いて全てを口頭でも確認のように伝えながら王子に渡していく。
それは全て、アニスの行動証拠や証言だった。
『すげぇ……早い』
宰相や王子が意見を交わし合う中、俺は驚きに呆けている事しか出来ない。
アイと二人、考えてきた事なのに、王子がやるとここまですぐ証拠が集まるのかと。
権力や金の力……それと、大人の力かな?子ども二人が何とかしようとしても、やはり限界というものがあるのかと思い知らされる。
それは王族だけでなく、貴族にも適用され、関係を持ったりしたら即婚姻とまで言われる程だそうだ。
……それほど、誰の子どもか分からなくなる事は防がなくてはならないという事か。
世襲制って大変だな……生まれから育ちまで全て必要なのか。
昔の日本もそういう所があったようで、まだ残っていたりするらしいが、それでも緩くはなっている気がする。
『それで……ブルーノやルネにもアイテムとやらはあるのか?』
『攻略自体簡単だったので、特にそんなアイテムがあるとは聞いた事がないなぁ……あるのかもしれないけど……』
王子は残りの攻略対象の様子も気になるようで、顎に指をおいて考えながら伝えてきた。
『……それは簡単に惚れると……?』
『勉強頑張ってる素振りを見せればブルーノが。防衛の為に武術を学ぶ素振りをすればルネが』
『……素振り……』
俺の言葉に王子は頭を抱えだした。……別にテストで良い点とれとか、何かの武術大会で優勝しろとかもなかったし、ミニゲームはあったけれど結果は特に関係なかったもんな……。何となく勝ちたかったから俺は頑張ってただけで。
『人選を間違えた……それとも決められた結果だったのか……』
あー……王子自ら、側近と護衛を選んでいたのか……。まぁ、ゲーム通りに進まされたとしか俺は思わないけれど、自分で選んだという自覚があるのであれば、それは後悔にしかならないよな……。
もう、本当にご愁傷様としか言いようがない。
王子がいら立っている事は、何故か感覚で分かる。ゲームの事は一通り話したし、どうするかなと大きくため息をつけば、ちょうど良いタイミングでノックの音が聞こえた。
「殿下、よろしいでしょうか」
「あぁ、入れ」
あの声は、確か宰相とか言う人だったよな。
王子の声に扉が開くと、宰相が紙の束を持って入ってきた。
「こちらの確認を……それとアニスの件ですが……」
宰相の言葉に王子は向かいの席を進める。それに答えて宰相は、テーブルの上に書類を置いて全てを口頭でも確認のように伝えながら王子に渡していく。
それは全て、アニスの行動証拠や証言だった。
『すげぇ……早い』
宰相や王子が意見を交わし合う中、俺は驚きに呆けている事しか出来ない。
アイと二人、考えてきた事なのに、王子がやるとここまですぐ証拠が集まるのかと。
権力や金の力……それと、大人の力かな?子ども二人が何とかしようとしても、やはり限界というものがあるのかと思い知らされる。
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