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45.王子の語り
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「倒れたぁ!?」
驚き、声を荒げてしまった。泣いたというのはアイから聞いていたが、まさか倒れたとは……。
「人の顔を見るなり泣いて倒れるなんて、とても失礼な令嬢だなと思ったよ」
「確かにまぁ……」
そんな目にあった事ないから分からないけど、想像したくない程に嫌だという感情だけは持ち合わせている。……いや、何と言うか……ご愁傷様?
アイ、結構やらかしてるなぁ……。
「……倒れたアデライトが言ったんだ。悪役令嬢は嫌だと」
ピタリと、俺の動作が止まる。
様子を伺うように王子を見上げれば、全てを見透かしたように微笑んだ。……胡散臭い笑顔、と言えばそれまでなんだろうけど……。
俺は王子の様子を観察しながら話を続けろと目で合図をした。……一介の高校生が、王子に適うとは思わないけれど、挑戦くらいしても良いだろ。
「王太子にはヒロインが。ヒロインとの真実の愛が。処刑は嫌だ。倒れたアデライトに付き添っていた時、そんな事を延々と言っていたよ」
アイーーーーー!!!!
既に初対面にて、全部ネタ晴らし的な事をしてるじゃないか!
「まぁ、物心つく前の幼子だったし。……でも、僕には衝撃的な内容だったんだよ。だから少し僕なりに調べたんだ」
サラッと恐ろしい事を王子が言った。物心つく前の幼子だと自分で言っておいて、アイが覚えて居ないのに覚えている記憶力や、調べようとする行動力。
帝王学というものがあるのは名前だけ知っているけれど、これがまさに上に立つ者が習う帝王学……?生まれた頃から学ばされるのか?……一般市民で良かった。
「確かに、まだ教育がしっかりなされる前の子どもは単純だからね……解読できない文字で書かれたメモや、アイの独り言を盗み聞きしていたけど、本当に不可解だったんだ」
サラリとストーカー的発言をしたぞ。この王子。
何でさっきから、こんな怖い発言を平然としてるんだと鳥肌が立つ感覚だ。もう、価値観とかがまるっきり違うとしか思えない。それとも王族だからこそ許される的な何かがあるのか、帝王学が変態なのか!
「……王族の教育は変態じゃないよ……悪役令嬢を妃に出来ないという思いもあったが、真実の愛なんてものが、そもそも理解できなくてね」
音もたてずにカップをソーサーに戻した王子の顔は真剣そのものだった。……真実の愛で結ばれる筈の王子が、それを理解できない?
いや、でも理解したんだよな。ヒロインと出会って、恋に落ちて、悪役令嬢に冷たくなって……。
「僕は国の為に生きているんだよ?」
冷たい王子の声が聞こえた。
驚き、声を荒げてしまった。泣いたというのはアイから聞いていたが、まさか倒れたとは……。
「人の顔を見るなり泣いて倒れるなんて、とても失礼な令嬢だなと思ったよ」
「確かにまぁ……」
そんな目にあった事ないから分からないけど、想像したくない程に嫌だという感情だけは持ち合わせている。……いや、何と言うか……ご愁傷様?
アイ、結構やらかしてるなぁ……。
「……倒れたアデライトが言ったんだ。悪役令嬢は嫌だと」
ピタリと、俺の動作が止まる。
様子を伺うように王子を見上げれば、全てを見透かしたように微笑んだ。……胡散臭い笑顔、と言えばそれまでなんだろうけど……。
俺は王子の様子を観察しながら話を続けろと目で合図をした。……一介の高校生が、王子に適うとは思わないけれど、挑戦くらいしても良いだろ。
「王太子にはヒロインが。ヒロインとの真実の愛が。処刑は嫌だ。倒れたアデライトに付き添っていた時、そんな事を延々と言っていたよ」
アイーーーーー!!!!
既に初対面にて、全部ネタ晴らし的な事をしてるじゃないか!
「まぁ、物心つく前の幼子だったし。……でも、僕には衝撃的な内容だったんだよ。だから少し僕なりに調べたんだ」
サラッと恐ろしい事を王子が言った。物心つく前の幼子だと自分で言っておいて、アイが覚えて居ないのに覚えている記憶力や、調べようとする行動力。
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「確かに、まだ教育がしっかりなされる前の子どもは単純だからね……解読できない文字で書かれたメモや、アイの独り言を盗み聞きしていたけど、本当に不可解だったんだ」
サラリとストーカー的発言をしたぞ。この王子。
何でさっきから、こんな怖い発言を平然としてるんだと鳥肌が立つ感覚だ。もう、価値観とかがまるっきり違うとしか思えない。それとも王族だからこそ許される的な何かがあるのか、帝王学が変態なのか!
「……王族の教育は変態じゃないよ……悪役令嬢を妃に出来ないという思いもあったが、真実の愛なんてものが、そもそも理解できなくてね」
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いや、でも理解したんだよな。ヒロインと出会って、恋に落ちて、悪役令嬢に冷たくなって……。
「僕は国の為に生きているんだよ?」
冷たい王子の声が聞こえた。
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