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43.諸悪の根源
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あと数日。
いつもと同じように過ごしている中で、俺は俺で他の証拠はないのかと動くも、アニスと会った時にアニス側へと憑けるだけだ。リア充を撲滅したくなるシーンを見せつけられるだけで、何の収穫も得られない。
ただ、ブルーノとルネは周囲から避けられているようだが、本人達はアニスしか目に入っていないのか、何も気が付いていないのか平然としている。
恋は盲目すぎるだろ……。
「直接現場を抑える以外の手段が見当たらないわ……」
「いつ、脳まで筋肉になった」
アイの言葉に溜息を吐きながら答えるも、たかが高校生二人の思考では、現場を抑える以外の手段が見つからない。こういう時に大人の手助けがあれば、また違うのだろう。専門家とか……なんて考えても無意味だけど、つい考えてしまう。
「とりあえず寝て、思考をクリアにしとこう。身体を休ませるのも大事だろ」
「うん……おやすみ」
寝不足では集中力や判断力が落ちる。
俺はアイが眠るのを見届け、しばらく寝顔を見ていたが、結局つい微睡みの中へ意識を沈める事になる。
あー……明日もまた、アイが涙目になりながら名前を呼ぶんだろうな、なんて……呑気に思っていた。
――そう、いつだって終わりは唐突にやってくるというのに。
「やっと、会えたね」
「……ん?」
声に導かれて、目を開ける。
そこには金髪碧眼の、いわゆるイケメンと呼ばれる部類の男が経っていた。身なりも良い感じに見える……刺繍の良さとか、俺わかんないけど、多分綺麗なやつ。
「え……誰?」
どっかで見たような……。
もう、こう思うのはこの世界に来てから何回目だろう。しかし、俺は今どこに……夢?え?今度こそ夢?幽霊も夢見るの?
いつも気が付けば意識がなく、気が付いたら起きるという、全く夢を見ていない状態の睡眠に近かった俺は少し……否、だいぶ混乱した。
「トマ・ディアーズと名乗っても分からないよね。……アデライト達がいる国の第一王子なんだけど」
「あ!攻略対象の王太子サマ!」
「……立太子してはいないんだけど……君にもそういう未来が見えるのか」
まさかの王子と対面するなんて!と驚いていたが、俺の言葉に王子は悔しそうな顔をして俯き、手を握り締めていた。そんな姿を見ていれば、こちらが逆に冷静さを取り戻すというものだ。
……そういう未来が見える?
なんの事だ?
疑問符を頭の中に張り巡らせていると、目の前に居る王子は俺の状態に気が付いたのか、にこやかに微笑んだ。
「実は僕が君の事を呼んだんだよね」
「…………は?」
いつもと同じように過ごしている中で、俺は俺で他の証拠はないのかと動くも、アニスと会った時にアニス側へと憑けるだけだ。リア充を撲滅したくなるシーンを見せつけられるだけで、何の収穫も得られない。
ただ、ブルーノとルネは周囲から避けられているようだが、本人達はアニスしか目に入っていないのか、何も気が付いていないのか平然としている。
恋は盲目すぎるだろ……。
「直接現場を抑える以外の手段が見当たらないわ……」
「いつ、脳まで筋肉になった」
アイの言葉に溜息を吐きながら答えるも、たかが高校生二人の思考では、現場を抑える以外の手段が見つからない。こういう時に大人の手助けがあれば、また違うのだろう。専門家とか……なんて考えても無意味だけど、つい考えてしまう。
「とりあえず寝て、思考をクリアにしとこう。身体を休ませるのも大事だろ」
「うん……おやすみ」
寝不足では集中力や判断力が落ちる。
俺はアイが眠るのを見届け、しばらく寝顔を見ていたが、結局つい微睡みの中へ意識を沈める事になる。
あー……明日もまた、アイが涙目になりながら名前を呼ぶんだろうな、なんて……呑気に思っていた。
――そう、いつだって終わりは唐突にやってくるというのに。
「やっと、会えたね」
「……ん?」
声に導かれて、目を開ける。
そこには金髪碧眼の、いわゆるイケメンと呼ばれる部類の男が経っていた。身なりも良い感じに見える……刺繍の良さとか、俺わかんないけど、多分綺麗なやつ。
「え……誰?」
どっかで見たような……。
もう、こう思うのはこの世界に来てから何回目だろう。しかし、俺は今どこに……夢?え?今度こそ夢?幽霊も夢見るの?
いつも気が付けば意識がなく、気が付いたら起きるという、全く夢を見ていない状態の睡眠に近かった俺は少し……否、だいぶ混乱した。
「トマ・ディアーズと名乗っても分からないよね。……アデライト達がいる国の第一王子なんだけど」
「あ!攻略対象の王太子サマ!」
「……立太子してはいないんだけど……君にもそういう未来が見えるのか」
まさかの王子と対面するなんて!と驚いていたが、俺の言葉に王子は悔しそうな顔をして俯き、手を握り締めていた。そんな姿を見ていれば、こちらが逆に冷静さを取り戻すというものだ。
……そういう未来が見える?
なんの事だ?
疑問符を頭の中に張り巡らせていると、目の前に居る王子は俺の状態に気が付いたのか、にこやかに微笑んだ。
「実は僕が君の事を呼んだんだよね」
「…………は?」
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