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41.幽霊の終わりとは

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 だって……まさか……同じ日に同じような時間帯で死んでいるなんて思ってなかった。
 それならば俺が愛の死を知らず、愛も俺の死を知るわけがないのも理解した。……お互い、学校へ辿り着けて居ないのだから。
 あの日、あの時間帯、俺達の時は止まって……そして何の因果か、愛は転生し、俺は幽霊として此処に居るのか……。

「……斗真も死んでいたなんて……しかも、そんな姿で……」
「アイこそ、悪役令嬢っていう辛い立場に転生してるじゃないか……」
「でも……っ」

 お互いがお互いに対して同情する。己の境遇を嘆くよりも、つい相手を心配してしまう所なんて、本当に愛らしいと言えば愛らしい。……鍛錬は愛らしくないが。
 転生してからのアイと前世での愛を比べながら、何となく笑みが漏れた。

「会えて……良かった……っ!もう消えないで!いきなり居なくなるのは、怖い!」

 さっきまで俺が消えていた事に対する恐怖が、また沸き上がってきたのだろう。アイは、目に涙を浮かべ、身体を震わせた。

「それを言うなら愛も……」
「人間いつ死ぬか分からない……いきなり明日会えなくなるかもしれない!」

 前世でいきなり死んでたよな、と冗談ぽく言えない内容だけれど、言おうとした瞬間、アイが遮って声を上げた。
 ……確かに、お互い死んでいたからこそ、再会になったけれど……もし残されていたのならば、その悲しみはどれだけのものだろう。あまりに想像出来なさ過ぎて、何とも言えない。
 ……きっと、その時にならないと分からないけれど、その時になったら悲しみで打ちひしがれていそうだ。
 そしてアイは……記憶こそ曖昧だったものの、死んで目覚めたら全く知らない世界だったわけだ。
 俺はすぐアイに出会えて意思疎通が出来たけれど、アイはどうだったのだろう。それこそ果てしない孤独感だったのではないだろうか。

「……と言っても、俺……幽霊だからなぁ」
「…………」

 ――いつ、どうなるかなんて分からない。

 はっきり言葉にはしなかったけれど、含みを持たせて言った。……言ってから、自分自身が恐怖に襲われた。
 言葉にすれば明確になったのだ。

「……いつ消えるか、わからないってこと?」

 確認するかのように、アイが言葉として呟き、更に俺を恐怖が襲った。
 成仏だとか何だとか言うけれど、実際の所、生身の人間が迎える死とは違い、幽霊の終わりは分からない。

「やだ……また消えたら嫌だ……」
「寝るなって事?そりゃ寝なくても脳がないから平気っぽいけど……」

 泣きそうなアイに対して、少し冗談めかせて言った。
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