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32.完全に違法

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「そんなとこにアイテムが……危機感的にどうよ」
「むしろ、そんな所にアイテム配置する運営よ……でも、ゲーム内での描写はどうだったのかしら……よくヒロインは見つけられたわね」

 この世界にネット環境なんてないのに、とお嬢様は後半ポツリと呟いた。
 いや、前世ネット環境あった俺的には学生身分で課金出来ないから、調べて辿り着けた所で買えないんだけどな……と思ったり。

「まぁ、そんな場所だからこそ、違法取引や犯罪者の巣窟みたいになっているから立ち入り禁止になっているの。足を踏み入れる者は、もう犯罪者決定、と言われる程に」
「知っていて足を踏み入れるなら、とんでもない強者だぞ」

 入るだけで犯罪者扱いされるなんて、それどうよ。子どもの遊びで罰ゲームに使おうものなら、一生消えない傷を負うぞ。むしろ命がけじゃないか。

「そして、そのアイテム……違法なの」
「どんなゲームやってたんだ俺達」

 運営の思惑とは違うかもしれない。ゲームの中に入ってしまえば、都合を合わせる為になのか、裏設定なのか、よく分からないけれど知らない設定がどんどん出てくるってやつか。

「流通すらも禁止されていて……茉莉花には従順や好色という花言葉があって、それの艶というと……その……」
「名前の意味だけでも卑猥だと」

 思わず俺も頭を抱えてしまった。フタを開ければ成人向けゲームなのかとさえ思いたくなる。
 魅了とか催眠とか……とりあえず、よろしくないものが頭を巡る。

「なんて世界に転生したの……あのゲームは全年齢向けだった筈なのに……」

 生きた年数を合わせれば、すでに30年を超えていそうなお嬢様でさえ、少し顔を赤らめている。それを言うならば俺なんてまだまだ思春期真っただ中だぞ!こんちくしょう!
 立ち入り禁止の場所で、流通してはいけないアイテムの販売。それを手にするという事は……。

「ヒロイン、犯罪者コースまっしぐら」
「そうね……捕まえるしかないわね」

 お嬢様の退場を回避するなら、ヒロインを捕まえるしかない……というか、犯罪行為を行うのであれば普通に捕まってしまえ。悪い事したら逮捕されるもんだ。

「ただ、そこへ衛兵を送るにしても確固たる証拠もないから難しいのよね……」
「証拠か……ヒロインの持ってる手帳くらい?」
「いえ、それだけじゃ言い逃れされるでしょう。現場を抑えないと」

 うーんと考え込んだお嬢様。
 日本の鑑定技術といったものは、この世界にないだろうしなぁと考えていると、お嬢様は名案だ!とばかりに驚愕の一言を放った。

「私が現場に行っておさえれば良いんだわ!」
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