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31.問題だらけです
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「…………」
「あの……お嬢様?」
速攻でお嬢様の元に強制送還という手段を使って戻った俺は、日付と場所、ついでにアイテム名を報告したのだが……お嬢様は難しい顔をして、手を顎に当てて黙り込んでしまった。
声をかけても返事がないけれど、お嬢様は帰ってきた俺に対してお供えをしてくれたので、手持無沙汰になる事もなく紅茶とお菓子をつまめる事が出来ている。
ん~。娯楽や嗜好って本当に大事だな~。
「そうね……そうだわ……何故忘れていたのかしら……」
お嬢様がポツリと呟いたので、クッキーを頬張ったまま俺は顔をあげてお嬢様の方を向いた。
「私もアイテムの販売場所を特定してみたいと色々調べていて……そうよ……そんな名前だったわ」
お嬢様も前世で調べていた内容を思い出したのか。俺的には絶対無課金でしかしないから、調べてアイテム名までは見たかもしれないが、記憶する程ではなかった気がする。
もっぱら調べていたのはミニゲームやクエストの事だ。
「場所も問題だけれど……そのアイテムの方が大問題よ……まさかゲーム内ではこうなってるなんて……」
「ん?」
一人納得したように険しい顔をするお嬢様に、俺は首を傾げながら声をかけた。
全くもって意味が分からない。
いくら稀有だとしても、ゲームの中でヒロインが立ち入って手に入れる事が出来るアイテムなのだから、大問題とは?まさか、また何かシナリオが変わっている?
「あ、ごめんなさい」
俺の頭に疑問符が湧き出て、既に脳がオーバーヒートしているのに気が付いたのか。
一週間、ある意味で拷問を受けて生き地獄を味わって……いや、死んでるけど。やっと帰ってきたら脳みそ疑問符だらけって、そりゃないですわ。
そんな気持ちが顔に出ていたのか、お嬢様は更に追加のお菓子と紅茶をお供えしてくれた。
「あざまーっす!」
「とりあえず食べながらで良いから聞いて……説明するから」
俺はそれに頷いて答えるにとどめた。
会話する事や食べたり飲んだり、更に言えば眠る事だってなくなった状態だと、今この瞬間が幸せ以外なにものでもない。もう幸せを嚙みしめるのが最優先!
「まず、場所なんだけど、そこは出入り禁止になっている所なの」
思わず飲んでた紅茶を噴き出しそうになった。
ヒロイン、行ってはいけない場所に行くゲームって何だそれ。いきなりのレッドカード展開じゃないか。
「その昔、人身売買があったり大量虐殺があったりした場所で、人が近寄らないし、周辺にまともな人は住まないから治安も良くないの」
思った以上の言葉に、俺は食べるのも忘れて口をあけて呆然とした。
「あの……お嬢様?」
速攻でお嬢様の元に強制送還という手段を使って戻った俺は、日付と場所、ついでにアイテム名を報告したのだが……お嬢様は難しい顔をして、手を顎に当てて黙り込んでしまった。
声をかけても返事がないけれど、お嬢様は帰ってきた俺に対してお供えをしてくれたので、手持無沙汰になる事もなく紅茶とお菓子をつまめる事が出来ている。
ん~。娯楽や嗜好って本当に大事だな~。
「そうね……そうだわ……何故忘れていたのかしら……」
お嬢様がポツリと呟いたので、クッキーを頬張ったまま俺は顔をあげてお嬢様の方を向いた。
「私もアイテムの販売場所を特定してみたいと色々調べていて……そうよ……そんな名前だったわ」
お嬢様も前世で調べていた内容を思い出したのか。俺的には絶対無課金でしかしないから、調べてアイテム名までは見たかもしれないが、記憶する程ではなかった気がする。
もっぱら調べていたのはミニゲームやクエストの事だ。
「場所も問題だけれど……そのアイテムの方が大問題よ……まさかゲーム内ではこうなってるなんて……」
「ん?」
一人納得したように険しい顔をするお嬢様に、俺は首を傾げながら声をかけた。
全くもって意味が分からない。
いくら稀有だとしても、ゲームの中でヒロインが立ち入って手に入れる事が出来るアイテムなのだから、大問題とは?まさか、また何かシナリオが変わっている?
「あ、ごめんなさい」
俺の頭に疑問符が湧き出て、既に脳がオーバーヒートしているのに気が付いたのか。
一週間、ある意味で拷問を受けて生き地獄を味わって……いや、死んでるけど。やっと帰ってきたら脳みそ疑問符だらけって、そりゃないですわ。
そんな気持ちが顔に出ていたのか、お嬢様は更に追加のお菓子と紅茶をお供えしてくれた。
「あざまーっす!」
「とりあえず食べながらで良いから聞いて……説明するから」
俺はそれに頷いて答えるにとどめた。
会話する事や食べたり飲んだり、更に言えば眠る事だってなくなった状態だと、今この瞬間が幸せ以外なにものでもない。もう幸せを嚙みしめるのが最優先!
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思わず飲んでた紅茶を噴き出しそうになった。
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「その昔、人身売買があったり大量虐殺があったりした場所で、人が近寄らないし、周辺にまともな人は住まないから治安も良くないの」
思った以上の言葉に、俺は食べるのも忘れて口をあけて呆然とした。
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