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13.離れたい
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幽霊相手でも羞恥心があるお嬢様は、しっかりと天蓋を閉めてから眠った。こっちに入ってくるなという事だけは俺に釘を刺して。
ちなみにお風呂は、何とか壁の向こう側に居る事が出来た……。
思春期男子としては、気になる……けど、流石に堂々と見る事は出来ない。認識されてなければ見るのかと言われれば……まぁそこは見る事に対して羞恥心もあるので分からないと答えるのが正しいかな。
いや、見る事が出来るなら……まぁ……。
悶々とした気持ちがありつつ、幽霊って寝るのか?と思いながら、何となくソファの上で横になってみる。
もうこれは身体があった時の名残とでも言うべきだろう。
まぁ、気が付けば意識が遠のき……。
「1!2!3!4!」
煩い声で目が覚めた。
「……何事?」
「あ、斗真君!どこ行ってたの?」
「……寝てた?」
「……何で疑問形なの?姿は見えなかったけど……」
お嬢様の問いにちゃんと答えられる答えはなく……むしろ答えた事で更に疑問は増えた。
……姿が見えないとは?何?俺、消えてたの?
思わず身体が震える。何それ、怖い。本来の睡眠は記憶の整理等や身体を休ませるという意味があるとか聞いた事あるけど……俺に身体はないから、意識が消える事は……幽体が消える?
そんな恐怖が脳裏に駆け巡ったが、すぐ上下へ引っ張られる感覚に意識が取られた。
ってか…………。
「何やってんすか、お嬢様」
目を開けるてお嬢様を見ると、動きやすい服装……この世界だと男が着る乗馬服のようなものに身を包み、どう見てもスクワット的なものをしているように見える。
「筋トレよ!」
堂々と声をあげて宣言するお嬢様に、少し呆れる。
ていうか、この上下に引っ張られる俺の感覚も鬱陶しい。そしてお嬢様の掛け声がうるさい。何だろう、俺も一緒になってスクワットをしているようなしんどさがあるんだが……。
「次は走り込み!」
そう言ってお嬢様は走り出し、俺は当然の事ながら引っ張られるように付いていく。
「ちょ!?お嬢様!?何でこんな事!」
「国外追放になっても生きていく為よ」
あー……なるほど?
ゲームのエンディング的には追放か処刑、良くても修道院くらいだったか?それならば処刑さえ免れれば大丈夫なように……と。しかし常に身体を鍛えてる公爵令嬢って、どうなんだ?
納得はしたが、基本的に引きこもりだった俺は、ただ引っ張られているだけなのに同じよう走っている感覚がしんどい!つらい!
身体がない筈なのに、息切れしそうというか……意識がフラフラになりそうだ。
「ちょ……止まって……」
何故か俺の方が疲労困憊になっていく。こんなにの付き合わされたくないぞ!
そう思って離れようとしても離れられず、無情にも止まってくれないお嬢様のおかげで、余計に疲労だけが溜まっていく。
ちなみにお風呂は、何とか壁の向こう側に居る事が出来た……。
思春期男子としては、気になる……けど、流石に堂々と見る事は出来ない。認識されてなければ見るのかと言われれば……まぁそこは見る事に対して羞恥心もあるので分からないと答えるのが正しいかな。
いや、見る事が出来るなら……まぁ……。
悶々とした気持ちがありつつ、幽霊って寝るのか?と思いながら、何となくソファの上で横になってみる。
もうこれは身体があった時の名残とでも言うべきだろう。
まぁ、気が付けば意識が遠のき……。
「1!2!3!4!」
煩い声で目が覚めた。
「……何事?」
「あ、斗真君!どこ行ってたの?」
「……寝てた?」
「……何で疑問形なの?姿は見えなかったけど……」
お嬢様の問いにちゃんと答えられる答えはなく……むしろ答えた事で更に疑問は増えた。
……姿が見えないとは?何?俺、消えてたの?
思わず身体が震える。何それ、怖い。本来の睡眠は記憶の整理等や身体を休ませるという意味があるとか聞いた事あるけど……俺に身体はないから、意識が消える事は……幽体が消える?
そんな恐怖が脳裏に駆け巡ったが、すぐ上下へ引っ張られる感覚に意識が取られた。
ってか…………。
「何やってんすか、お嬢様」
目を開けるてお嬢様を見ると、動きやすい服装……この世界だと男が着る乗馬服のようなものに身を包み、どう見てもスクワット的なものをしているように見える。
「筋トレよ!」
堂々と声をあげて宣言するお嬢様に、少し呆れる。
ていうか、この上下に引っ張られる俺の感覚も鬱陶しい。そしてお嬢様の掛け声がうるさい。何だろう、俺も一緒になってスクワットをしているようなしんどさがあるんだが……。
「次は走り込み!」
そう言ってお嬢様は走り出し、俺は当然の事ながら引っ張られるように付いていく。
「ちょ!?お嬢様!?何でこんな事!」
「国外追放になっても生きていく為よ」
あー……なるほど?
ゲームのエンディング的には追放か処刑、良くても修道院くらいだったか?それならば処刑さえ免れれば大丈夫なように……と。しかし常に身体を鍛えてる公爵令嬢って、どうなんだ?
納得はしたが、基本的に引きこもりだった俺は、ただ引っ張られているだけなのに同じよう走っている感覚がしんどい!つらい!
身体がない筈なのに、息切れしそうというか……意識がフラフラになりそうだ。
「ちょ……止まって……」
何故か俺の方が疲労困憊になっていく。こんなにの付き合わされたくないぞ!
そう思って離れようとしても離れられず、無情にも止まってくれないお嬢様のおかげで、余計に疲労だけが溜まっていく。
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