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02.最悪な現実がよぎる
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明日は学期末テスト。
中間テストと違い、その範囲は広い為、何もせずテストに挑むのは赤点覚悟となるだろう。という事で俺は、苦肉の最終手段として一夜漬けを決行した。そうすれば、いつも赤点くらいは免れてこれたのだ……ギリギリ。
ただ、今回は睡眠不足が見事に続いていた。……主にゲームで。
テストの事を少しは考えていれば良かったのだろうが、教えてもらったゲームに思いのほかハマってしまったのだ。そして見事に連日寝不足。気が付けば朝日を見てから眠る日々だった。
「あー!しまった!」
朝日を見れば眠るという習慣でもついてしまったのか、テスト勉強中に寝てしまったのだろう俺が起きたのは遅刻ギリギリな時間だった。
こんな俺の生活に呆れたというか見守るというか、何も言わない親は、朝食におにぎりを用意してくれてあった。
とっとと着替えて用意をしたら、おにぎりを1つ持って、急ぎ学校まで走る。
不良になりたいわけでもなく、ただ趣味を満喫しているだけで、不真面目なわけでもない。……真面目とも言い難いが。
そんな俺だからこそ、最初からテストに遅刻しても良いや、なんて諦めの気持ちがあるわけでもなく、とりあえず急いでみようと思い全速力で走る。……直ぐに息は切れたけれど。インドアに体力を期待してはいけない。
それでも速足で歩きながら、一心不乱に学校へ向かう。
「あ…………と、すこし…………」
学校近くの歩道橋を登り切り、少し息を整える。チラリとスマホを見れば、何とか間に合いそうだ。
少しだけ気持ちに余裕が出来た為に気が緩んだのか……原因は確実に寝不足なせいだとは理解できるが……。俺は、落ちた。
歩道橋を下りる階段の一番上で、眩暈を起こし、身体が宙を浮いたかと思ったら、そこからはただ落ちていくだけだった。
落ちる事はおろか、自分の身体を庇う事も出来ず、ただただ身体の痛みを感じ、そして意識が途切れた。
「……で?」
そこまで思い出し、再度自分の身体を眺める。
一番上から落ちたというのに、痛みはない。それどころか、服が破れているとか、血がついているとかもない。
意識を失ったのならば、病院に運ばれて着替えさせられていてもおかしくない案件なのではないだろうか?むしろ骨折していてもおかしくないだろうし、痛みが一切ないなんて……。
「どうなってんだ?」
妙な状況に、最悪の状況が頭によぎり、心が少しだけ焦る。認めたくない現実に、手が届こうとしている。
周囲を見渡すも、さすがに怪我人にこんなドッキリを仕掛けたりしないだろう。
そもそも今も少し浮いているのだ。身体にロープなどの仕掛けもないのは自分が一番よくわかっている。
「なぁ、どうなってんだよ!」
心拍数が上がっていく中、目の前に居る男へ怒鳴りつけるよう声をあげるが、一切動かない。
本当に、聞こえていないように……。
中間テストと違い、その範囲は広い為、何もせずテストに挑むのは赤点覚悟となるだろう。という事で俺は、苦肉の最終手段として一夜漬けを決行した。そうすれば、いつも赤点くらいは免れてこれたのだ……ギリギリ。
ただ、今回は睡眠不足が見事に続いていた。……主にゲームで。
テストの事を少しは考えていれば良かったのだろうが、教えてもらったゲームに思いのほかハマってしまったのだ。そして見事に連日寝不足。気が付けば朝日を見てから眠る日々だった。
「あー!しまった!」
朝日を見れば眠るという習慣でもついてしまったのか、テスト勉強中に寝てしまったのだろう俺が起きたのは遅刻ギリギリな時間だった。
こんな俺の生活に呆れたというか見守るというか、何も言わない親は、朝食におにぎりを用意してくれてあった。
とっとと着替えて用意をしたら、おにぎりを1つ持って、急ぎ学校まで走る。
不良になりたいわけでもなく、ただ趣味を満喫しているだけで、不真面目なわけでもない。……真面目とも言い難いが。
そんな俺だからこそ、最初からテストに遅刻しても良いや、なんて諦めの気持ちがあるわけでもなく、とりあえず急いでみようと思い全速力で走る。……直ぐに息は切れたけれど。インドアに体力を期待してはいけない。
それでも速足で歩きながら、一心不乱に学校へ向かう。
「あ…………と、すこし…………」
学校近くの歩道橋を登り切り、少し息を整える。チラリとスマホを見れば、何とか間に合いそうだ。
少しだけ気持ちに余裕が出来た為に気が緩んだのか……原因は確実に寝不足なせいだとは理解できるが……。俺は、落ちた。
歩道橋を下りる階段の一番上で、眩暈を起こし、身体が宙を浮いたかと思ったら、そこからはただ落ちていくだけだった。
落ちる事はおろか、自分の身体を庇う事も出来ず、ただただ身体の痛みを感じ、そして意識が途切れた。
「……で?」
そこまで思い出し、再度自分の身体を眺める。
一番上から落ちたというのに、痛みはない。それどころか、服が破れているとか、血がついているとかもない。
意識を失ったのならば、病院に運ばれて着替えさせられていてもおかしくない案件なのではないだろうか?むしろ骨折していてもおかしくないだろうし、痛みが一切ないなんて……。
「どうなってんだ?」
妙な状況に、最悪の状況が頭によぎり、心が少しだけ焦る。認めたくない現実に、手が届こうとしている。
周囲を見渡すも、さすがに怪我人にこんなドッキリを仕掛けたりしないだろう。
そもそも今も少し浮いているのだ。身体にロープなどの仕掛けもないのは自分が一番よくわかっている。
「なぁ、どうなってんだよ!」
心拍数が上がっていく中、目の前に居る男へ怒鳴りつけるよう声をあげるが、一切動かない。
本当に、聞こえていないように……。
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