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それで許せるのか。
そう聞かれたら、答えは否だ。
だけど……でも……感情はどうして、こう諦める事を知らないのか。
「……側近の件で忙しく、まともに話が出来る状態ではなかった事が申し訳ない」
謝られても心の傷が癒えるわけでもなく、それで全部なかった事になるわけでもない。
もし……話が出来ている状態だったのならば……前回も結末は変わっていたのだろうか。否、そうは思えない。
一瞬にして崩れ落ちた信頼と信用は、本当に積み上げるのは大変で。例え感情が好きだと叫んでいても、それを手放しで喜べるわけでもない。
素直に好きだと叫んで胸に飛び込めていた時が、どれほどの幸せだったのだろうかとさえ思える。
ただ疑心暗鬼になって、嫌なところを見つけようと必死になって……でも、諦められなくて、この感情が消えるわけでもない。
「……これから……築いていけるかしら……」
「信頼を勝ち取れるようにする」
このまま婚約を継続するなら……否、白紙にしようと言葉にはしていても、本心からそう思っていない事は自分自身わかっている。
嫌いなることが簡単に出来るのならば、ここまで悩む事も、苦しむ事もないだろう。そして、それを継続する未来を選ぶ事もないのに……どこか期待する自分も居る。
好きだからこそ……一緒に居たいと、大丈夫だと望む自分が居てしまうのだ。
貴族として、婚姻は契約で。婚約だってそう簡単になかったものへとする事は出来ないが……それでも望む気持ちはある。少しでも幸せで穏やかな……カラルスとの未来を、生活を。
前回夢見てやまなかった将来を……そして今回諦めてしまっていた未来を……。
◇
「それで、よろしいんですの?」
「アマリア様が決めた事ならば良いのですけど」
今回の人生で得る事が出来た友人に報告すると、少し複雑そうな顔をした。カラルスの行動を考えれば、そうなるだろう。
たとえ言っていた事が本当だとしても、行動が頼りないし、次期公爵としてもあり得ないのは友人達も重々理解している。
「けれど……信頼を築いていくというのは、良い事ですね」
「所詮、政略結婚だと諦めてしまう部分もありますから」
「これから変わってもらえば良いのです!未来を見据えるならば!」
反対されるとばかり思っていた私は、前向きな答えをくれる友人達に対し、驚きで目を見開いた。
「辛かったら呼んでくださいね」
「出戻りしても、アマリア様ならば引く手あまたですわ」
「私達の時も、よろしくお願いしますわね」
変えられる事が出来た未来。得られた友人。
幸せだという実感が胸に広がり、私は知らない未来に向けて前向きに、皆で笑い合った。
そう聞かれたら、答えは否だ。
だけど……でも……感情はどうして、こう諦める事を知らないのか。
「……側近の件で忙しく、まともに話が出来る状態ではなかった事が申し訳ない」
謝られても心の傷が癒えるわけでもなく、それで全部なかった事になるわけでもない。
もし……話が出来ている状態だったのならば……前回も結末は変わっていたのだろうか。否、そうは思えない。
一瞬にして崩れ落ちた信頼と信用は、本当に積み上げるのは大変で。例え感情が好きだと叫んでいても、それを手放しで喜べるわけでもない。
素直に好きだと叫んで胸に飛び込めていた時が、どれほどの幸せだったのだろうかとさえ思える。
ただ疑心暗鬼になって、嫌なところを見つけようと必死になって……でも、諦められなくて、この感情が消えるわけでもない。
「……これから……築いていけるかしら……」
「信頼を勝ち取れるようにする」
このまま婚約を継続するなら……否、白紙にしようと言葉にはしていても、本心からそう思っていない事は自分自身わかっている。
嫌いなることが簡単に出来るのならば、ここまで悩む事も、苦しむ事もないだろう。そして、それを継続する未来を選ぶ事もないのに……どこか期待する自分も居る。
好きだからこそ……一緒に居たいと、大丈夫だと望む自分が居てしまうのだ。
貴族として、婚姻は契約で。婚約だってそう簡単になかったものへとする事は出来ないが……それでも望む気持ちはある。少しでも幸せで穏やかな……カラルスとの未来を、生活を。
前回夢見てやまなかった将来を……そして今回諦めてしまっていた未来を……。
◇
「それで、よろしいんですの?」
「アマリア様が決めた事ならば良いのですけど」
今回の人生で得る事が出来た友人に報告すると、少し複雑そうな顔をした。カラルスの行動を考えれば、そうなるだろう。
たとえ言っていた事が本当だとしても、行動が頼りないし、次期公爵としてもあり得ないのは友人達も重々理解している。
「けれど……信頼を築いていくというのは、良い事ですね」
「所詮、政略結婚だと諦めてしまう部分もありますから」
「これから変わってもらえば良いのです!未来を見据えるならば!」
反対されるとばかり思っていた私は、前向きな答えをくれる友人達に対し、驚きで目を見開いた。
「辛かったら呼んでくださいね」
「出戻りしても、アマリア様ならば引く手あまたですわ」
「私達の時も、よろしくお願いしますわね」
変えられる事が出来た未来。得られた友人。
幸せだという実感が胸に広がり、私は知らない未来に向けて前向きに、皆で笑い合った。
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