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08.皇帝陛下に告白されました
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あのまま高熱が出てしまった私は、骨折の事もあり、三日ほどベッドの上で安静な生活を送っています。
皇帝陛下も滞在しているらしく、何故か使用人達が皆嬉しそうにしているし、侍女のエリーと執事のセバスに至っては皇帝陛下と一緒の時間を作ろうとしてくる。
ご迷惑だろうからと断っても、当の皇帝陛下自身が日に何度も部屋に足を運んでくる。私はベッドの上から動けないのだけど…。
「リア、セバスから今のリアが好きだという菓子を買ってきたよ。一緒に食べよう」
「皇帝陛下自らですか!?そんな…恐れ多いです」
「もう三日たつよ?リア。ティンと呼んで」
「…恐れ多いです」
「呼んでくれないの?リアと距離があるようで悲しいな。その距離を埋めるように膝の上に乗せて、菓子を食べさせて良い?」
「そんなっ…!………………ティ…ン様…」
「それが妥協点かな」
何故かティン様はうちの使用人達と距離が近く、私が忘れている記憶の中に何か答えがあるのかもしれない。
それが答えだと言わんばかりに侍女達は遠くに控えているものの、会話が聞こえているのか、とても良い笑顔を浮かべている。
恐れ多い気持ちがあるものの、ずっと一緒に居て、優しく大事にされているのが伝わってきているし、周囲はティン様とも仲が良い為、私も不敬で恐れるという感情はなくなり、少し信頼してきているのもあるのだろう。
愛称で呼ぶのに最初程の抵抗はなくなっていた。呼び捨てはまだ無理だし、さすがに膝の上だとかは羞恥心で死ねそうになるからご遠慮させて頂く為にも。
「ねぇ、リア。俺と結婚して欲しい」
いきなりそんな事を言われて、思わずカップを落としそうになった。
侍女達は手を合わせあって喜んでいる。
「あの…私はティン様との思い出を忘れてしまっている薄情な者です…」
自分で言っていて胸が痛む。何で忘れてしまったのだろう、忘れているのだろう。
こんな優しく愛してくれる人を。
「関係ないよ、それはきっかけに過ぎない。リアと数日一緒に過ごして、今のリアもちゃんと愛していると思えたから言っているんだ。過去の思い出に恋しているわけではないよ」
涙が溢れそうになる。
今の私をきちんと見た上で言ってくれているのだ。しかし、私はその思いを返せるのだろうか。
貴族だからとか、そういうのはなく、ティン様は私という個人をしっかり見てくれているのだ。こんな嬉しい事はないと思う反面、家族以外では初めての事でもあるのではないだろうか、その感覚に狼狽える。
「まずは皇帝陛下と一緒に帝国へ行ってみてはどうだ?療養でしばらく滞在すれば良い。足も治ってないしな」
「お父様!?」
「それは良いな!こんな国へ置いておくのも心配だからな。しかしブラッドリー公よ、盗み聞きか?」
「皇帝陛下のお気持ちは昔から知ってますから今更でしょう」
「そうだな。リア、返事はあとでも良いよ。絶対振り向かせてみせるから」
そして私はティンと共に帝国へ向かう事となった——
皇帝陛下も滞在しているらしく、何故か使用人達が皆嬉しそうにしているし、侍女のエリーと執事のセバスに至っては皇帝陛下と一緒の時間を作ろうとしてくる。
ご迷惑だろうからと断っても、当の皇帝陛下自身が日に何度も部屋に足を運んでくる。私はベッドの上から動けないのだけど…。
「リア、セバスから今のリアが好きだという菓子を買ってきたよ。一緒に食べよう」
「皇帝陛下自らですか!?そんな…恐れ多いです」
「もう三日たつよ?リア。ティンと呼んで」
「…恐れ多いです」
「呼んでくれないの?リアと距離があるようで悲しいな。その距離を埋めるように膝の上に乗せて、菓子を食べさせて良い?」
「そんなっ…!………………ティ…ン様…」
「それが妥協点かな」
何故かティン様はうちの使用人達と距離が近く、私が忘れている記憶の中に何か答えがあるのかもしれない。
それが答えだと言わんばかりに侍女達は遠くに控えているものの、会話が聞こえているのか、とても良い笑顔を浮かべている。
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愛称で呼ぶのに最初程の抵抗はなくなっていた。呼び捨てはまだ無理だし、さすがに膝の上だとかは羞恥心で死ねそうになるからご遠慮させて頂く為にも。
「ねぇ、リア。俺と結婚して欲しい」
いきなりそんな事を言われて、思わずカップを落としそうになった。
侍女達は手を合わせあって喜んでいる。
「あの…私はティン様との思い出を忘れてしまっている薄情な者です…」
自分で言っていて胸が痛む。何で忘れてしまったのだろう、忘れているのだろう。
こんな優しく愛してくれる人を。
「関係ないよ、それはきっかけに過ぎない。リアと数日一緒に過ごして、今のリアもちゃんと愛していると思えたから言っているんだ。過去の思い出に恋しているわけではないよ」
涙が溢れそうになる。
今の私をきちんと見た上で言ってくれているのだ。しかし、私はその思いを返せるのだろうか。
貴族だからとか、そういうのはなく、ティン様は私という個人をしっかり見てくれているのだ。こんな嬉しい事はないと思う反面、家族以外では初めての事でもあるのではないだろうか、その感覚に狼狽える。
「まずは皇帝陛下と一緒に帝国へ行ってみてはどうだ?療養でしばらく滞在すれば良い。足も治ってないしな」
「お父様!?」
「それは良いな!こんな国へ置いておくのも心配だからな。しかしブラッドリー公よ、盗み聞きか?」
「皇帝陛下のお気持ちは昔から知ってますから今更でしょう」
「そうだな。リア、返事はあとでも良いよ。絶対振り向かせてみせるから」
そして私はティンと共に帝国へ向かう事となった——
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