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――ここで連絡をしてはいけない。
何の為にブロックしたのか。どうして断ち切ろうとしているのか。私は前に進むのだ。
そう強く思っていても、感情面はどうしても縋り付きたくて。「一緒に居る時間が楽しかった」なんて言葉に、私もだと、もう一度会いたいと切に願ってしまっている。
スマホのメッセージアプリを立ち上げて、ブロックリストの一覧を見れば、そこにはロイさんの名前もある。
ブロックした後に削除してしまえば良かったのだけど、どうしてもそれだけは出来なくて、ただブロックの一覧にだけでも名前を残しておきたかったのだ。
「ロイさん……」
もう口に出す事すらしなくなっていた名前を呟けば、自分の中から溢れる感情を押し殺す事なんて出来なかった。
ここまで言ってもらえて、あんな事をした私に連絡をしてきてくれたロイさんを、どうして無視する事が出来るのか。
私はブロックを解除すると、メッセージを打ち始めた。
シンに対して申し訳ない気持ちがありつつも、あの時にハッキリわかった自分の気持ち。これ以上、偽り続けるのは無理なのだと、自身に対して諦めにも似た、吹っ切れた気持ちでメッセージを送信した。
◇
ロイさんの家から近い主要駅。
あれから、ゲームしていなくて返事遅くなってごめん、私は元気だとスマホのメッセージアプリから返せば、ロイさんから直ぐに会いたいと返事があった。
それを突き放す事もせず、ただ私は自分の感情に従って、素直に会う約束をしたのだ。
緊張と焦燥感から少し早く着いた私は、鏡で何度も自分の姿を見返した。本当に初めての恋をしているようで、シンの時はこんな事なかったな、なんて思う。
「しぃ」
ロイさんと会うのは二度目。だけれど、激しく鼓動が高鳴るのは同じだ。
「久しぶり」
「久しぶり……です」
「何、その他人行儀なの」
緊張から思わず敬語交じりになってしまえば、ロイさんが苦笑する。
やらかしたかな、なんて思って内心焦る。
「お昼食べた?」
「あ、食べてない」
緊張で何も食べられなかった、遅めの待ち合わせ。
「俺も~。じゃあ軽く食べようか。ディナーは予約してあるし」
「え!?」
ロイさんの言葉に驚きの声が短くあがった。今日は特にどこか行くとも聞いてなくて、ただ待ち合わせただけなのだ。
「嫌?」
「嫌……じゃない」
私の言葉で、ロイさんは満面の笑みを見せた。それだけでもう私の心はいっぱいで、何とか軽めの食事なら出来るかなと思えるほどだ。それに、わざわざロイさんが予約をしてくれていた事に嬉しさを隠せない。
何の為にブロックしたのか。どうして断ち切ろうとしているのか。私は前に進むのだ。
そう強く思っていても、感情面はどうしても縋り付きたくて。「一緒に居る時間が楽しかった」なんて言葉に、私もだと、もう一度会いたいと切に願ってしまっている。
スマホのメッセージアプリを立ち上げて、ブロックリストの一覧を見れば、そこにはロイさんの名前もある。
ブロックした後に削除してしまえば良かったのだけど、どうしてもそれだけは出来なくて、ただブロックの一覧にだけでも名前を残しておきたかったのだ。
「ロイさん……」
もう口に出す事すらしなくなっていた名前を呟けば、自分の中から溢れる感情を押し殺す事なんて出来なかった。
ここまで言ってもらえて、あんな事をした私に連絡をしてきてくれたロイさんを、どうして無視する事が出来るのか。
私はブロックを解除すると、メッセージを打ち始めた。
シンに対して申し訳ない気持ちがありつつも、あの時にハッキリわかった自分の気持ち。これ以上、偽り続けるのは無理なのだと、自身に対して諦めにも似た、吹っ切れた気持ちでメッセージを送信した。
◇
ロイさんの家から近い主要駅。
あれから、ゲームしていなくて返事遅くなってごめん、私は元気だとスマホのメッセージアプリから返せば、ロイさんから直ぐに会いたいと返事があった。
それを突き放す事もせず、ただ私は自分の感情に従って、素直に会う約束をしたのだ。
緊張と焦燥感から少し早く着いた私は、鏡で何度も自分の姿を見返した。本当に初めての恋をしているようで、シンの時はこんな事なかったな、なんて思う。
「しぃ」
ロイさんと会うのは二度目。だけれど、激しく鼓動が高鳴るのは同じだ。
「久しぶり」
「久しぶり……です」
「何、その他人行儀なの」
緊張から思わず敬語交じりになってしまえば、ロイさんが苦笑する。
やらかしたかな、なんて思って内心焦る。
「お昼食べた?」
「あ、食べてない」
緊張で何も食べられなかった、遅めの待ち合わせ。
「俺も~。じゃあ軽く食べようか。ディナーは予約してあるし」
「え!?」
ロイさんの言葉に驚きの声が短くあがった。今日は特にどこか行くとも聞いてなくて、ただ待ち合わせただけなのだ。
「嫌?」
「嫌……じゃない」
私の言葉で、ロイさんは満面の笑みを見せた。それだけでもう私の心はいっぱいで、何とか軽めの食事なら出来るかなと思えるほどだ。それに、わざわざロイさんが予約をしてくれていた事に嬉しさを隠せない。
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