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りっぷ:しぃさーん? 当たるよー?
そんなチャットが見えた時には、時すでに遅し。見事にクリティカルヒットをくらった私は、またも即死してしまうけれど、それは私だけでなかったようだ。
あすやん:回復忘れてた……。
シン:おまえらなぁー!
クリティカルを免れたけれど、HPがギリギリだったあすやんも離脱してしまい、シン一人で全員の回復を試みるが、その間にシンも離脱となり、結局ボスを倒せずに終わった。そこから、各々がスキルやキャラ獲得、もしくはクエストへと散っていく。
タンクキャラに近い人は居るものの、タンクではないし、私はまだそのキャラを獲得していない。新しいゲームに慣れるまでは時間がかかるなと思案していれば、スマホの通知が光った。
『ボーッとしてたね~! まだあの人?』
りっぷから女子グループトークへ入ったのは、シンへの気配りだろうか。そこへあすやんも乗っかってきた。
『クズ男の事なんて忘れてしまえ!』
あれから、誰もロイさんの名前を出さない。
『もう配信とか見に行ってはないよ!』
『しぃさん、無理してない?』
心配するかのようなりっぷの言葉に心が痛む。けれど、それくらいしなければ私はずっと張り付いて見てしまうだろう。だからこそ、自分の中で戒めにしないといけないのだ。
『忘れるには新しい恋愛するのが手っ取り早いだろ。ちょうど良い人物も居る事だし』
『確かに! 優良物件ではある!』
シンから告白を受けたなんて言いにくかったけれど、二人には素直に言えば驚く事もなく「やはり」と言われ、そこから凄くシンとの事を応援されている。
二人の目から見れば、シンは明らかに私へ好意を持っていたとしか思えなかったと言われた時は驚いたけれど。
『シン坊の事、嫌か?』
『嫌ではないけれど……』
『しぃさんが、あの人を好きでも覚悟の上だし、忘れられるよう努力してくれそうだけどなー』
『シン坊も、ずっと恋愛相談に乗ってたわけだしな』
申し訳なさが込み上げてくる。片思いの相手に別の異性絡みを話されるのは、どれだけ辛いのかは私自身よく知っている。
『シンに頼るのは、都合よく扱っているように思えて気が引ける』
『それ位、シン坊は覚悟の上だろ!』
『むしろシンさん的には頼られたい場面だと思うよ? あわよくばを狙えるし』
『弱った心に付けこむ王道パターン!』
『二人とも、台無し』
思わず溜息を付きながら返す。
『でも、私はそれで今の彼氏と付き合って、今も一緒だよ?』
確かに、りっぷもゲーム内での恋愛含めて色々あったけれど、ずっと支えてくれたのが今の彼氏だ。同棲もしているし、喧嘩したなんて滅多に聞かない。というか、今の彼氏になってからは、愚痴すら聞いていない。
そんなチャットが見えた時には、時すでに遅し。見事にクリティカルヒットをくらった私は、またも即死してしまうけれど、それは私だけでなかったようだ。
あすやん:回復忘れてた……。
シン:おまえらなぁー!
クリティカルを免れたけれど、HPがギリギリだったあすやんも離脱してしまい、シン一人で全員の回復を試みるが、その間にシンも離脱となり、結局ボスを倒せずに終わった。そこから、各々がスキルやキャラ獲得、もしくはクエストへと散っていく。
タンクキャラに近い人は居るものの、タンクではないし、私はまだそのキャラを獲得していない。新しいゲームに慣れるまでは時間がかかるなと思案していれば、スマホの通知が光った。
『ボーッとしてたね~! まだあの人?』
りっぷから女子グループトークへ入ったのは、シンへの気配りだろうか。そこへあすやんも乗っかってきた。
『クズ男の事なんて忘れてしまえ!』
あれから、誰もロイさんの名前を出さない。
『もう配信とか見に行ってはないよ!』
『しぃさん、無理してない?』
心配するかのようなりっぷの言葉に心が痛む。けれど、それくらいしなければ私はずっと張り付いて見てしまうだろう。だからこそ、自分の中で戒めにしないといけないのだ。
『忘れるには新しい恋愛するのが手っ取り早いだろ。ちょうど良い人物も居る事だし』
『確かに! 優良物件ではある!』
シンから告白を受けたなんて言いにくかったけれど、二人には素直に言えば驚く事もなく「やはり」と言われ、そこから凄くシンとの事を応援されている。
二人の目から見れば、シンは明らかに私へ好意を持っていたとしか思えなかったと言われた時は驚いたけれど。
『シン坊の事、嫌か?』
『嫌ではないけれど……』
『しぃさんが、あの人を好きでも覚悟の上だし、忘れられるよう努力してくれそうだけどなー』
『シン坊も、ずっと恋愛相談に乗ってたわけだしな』
申し訳なさが込み上げてくる。片思いの相手に別の異性絡みを話されるのは、どれだけ辛いのかは私自身よく知っている。
『シンに頼るのは、都合よく扱っているように思えて気が引ける』
『それ位、シン坊は覚悟の上だろ!』
『むしろシンさん的には頼られたい場面だと思うよ? あわよくばを狙えるし』
『弱った心に付けこむ王道パターン!』
『二人とも、台無し』
思わず溜息を付きながら返す。
『でも、私はそれで今の彼氏と付き合って、今も一緒だよ?』
確かに、りっぷもゲーム内での恋愛含めて色々あったけれど、ずっと支えてくれたのが今の彼氏だ。同棲もしているし、喧嘩したなんて滅多に聞かない。というか、今の彼氏になってからは、愚痴すら聞いていない。
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