38 / 57
38
しおりを挟む
荒らしかと思える程、コメントは全てべびぃどぉるのものだった。
悲しみとか嫉妬より、何故か怒りの感情が立ち込めてしまう。
『何、この荒らしみたいなの』
『あ~。まぁ一応、感想的なものもあるしね』
嫌われたくない、なんて考えは、頭の片隅から吹っ飛んだように、私はいつもならば言わないだろう言葉を並べて行く。
思考回路が怒りだけでなく、全ての感情でいっぱいになって制御しきれない。
『もうべびぃどぉるを大事にしていれば良いんじゃない?』
『なんでそうなるの?』
『ロイさんは簡単に女抱けるの? ワンナイト? それとも継続できればセフレが出来てラッキーとか思ってた?』
『は?』
止まらない言葉。
受け入れた自分にも非はある筈だけれど、私には少なからずとも気持ちがあった。
『私は都合良い女ですかね? そういう人、何人並べてるんだろう』
『俺の事、そんな風に思ってんの?』
『そうとしか思えないでしょ。Hした後、べびぃどぉるの話をされて、これなんだけど?』
『あのさ、付き合ってもいないのに、いちいちそんな事に口を出される意味も分かんないんだけど』
私は諦めに似た気持ちを抱き、もう何を伝えても無駄だろうと思った。そしてロイさんに返事を返す事もなく、スマホをマナーモードにして、ゲームにログインする。
シン:ほれみろ。
吐き出せば、予想通りというか、まぁ言われるだろうなという言葉が画面に映し出された。
あすやん:しぃの心が心配だ。
りっぷ:怒りに燃えろ! そして、そのまま好きな気持ちも燃やしきってしまえ!
しぃ:本当、いつもありがとう。皆には助けられてるよ。
あすやん:当たり前だ!
りっぷ:今更!
シン:気分転換なり何なり、いくらでも付き合うぞ。
しぃ:本当に?
りっぷ:デートだ! デートの誘いだ!
シン:そんなつもりはない!
あすやん:マジで出かけてくるのもアリじゃね? 休日ずっとゲームするよりは、外に出た方が良いかもよ?
確かに、ずっと家に居ても気分が憂鬱なだけだろうし、一人では外に出る気力もない。
しぃ:水族館とか行きたいなぁ。
シン:……行くか?
りっぷ:デートだ!
あすやん:魚見て、お腹すいたとか言うなよ。シン坊。
シン:言わねぇよ!
しぃ:言ったら、水族館の後は魚料理食べに行くとか?
シン:しぃまで!
りっぷ:魚づくしデート(笑)
どこか虚無感を抱えながらも、いつもと同じ悪ふざけをチャットで打つ。
普段の私ならば、いくらシンとはいえ会う事なんてしなかったと思うけれど、長い付き合いだし今更感もある。それに、ロイさんとは時間をかけたとはいえ、会ってしまっているわけだし。
何もかもに自暴自棄な所があるのは否めない。
ぽっかりと心に穴が開く、なんて表現があるけれど、まさしくそれが相応しいかのような自分が居るのだ。
悲しみとか嫉妬より、何故か怒りの感情が立ち込めてしまう。
『何、この荒らしみたいなの』
『あ~。まぁ一応、感想的なものもあるしね』
嫌われたくない、なんて考えは、頭の片隅から吹っ飛んだように、私はいつもならば言わないだろう言葉を並べて行く。
思考回路が怒りだけでなく、全ての感情でいっぱいになって制御しきれない。
『もうべびぃどぉるを大事にしていれば良いんじゃない?』
『なんでそうなるの?』
『ロイさんは簡単に女抱けるの? ワンナイト? それとも継続できればセフレが出来てラッキーとか思ってた?』
『は?』
止まらない言葉。
受け入れた自分にも非はある筈だけれど、私には少なからずとも気持ちがあった。
『私は都合良い女ですかね? そういう人、何人並べてるんだろう』
『俺の事、そんな風に思ってんの?』
『そうとしか思えないでしょ。Hした後、べびぃどぉるの話をされて、これなんだけど?』
『あのさ、付き合ってもいないのに、いちいちそんな事に口を出される意味も分かんないんだけど』
私は諦めに似た気持ちを抱き、もう何を伝えても無駄だろうと思った。そしてロイさんに返事を返す事もなく、スマホをマナーモードにして、ゲームにログインする。
シン:ほれみろ。
吐き出せば、予想通りというか、まぁ言われるだろうなという言葉が画面に映し出された。
あすやん:しぃの心が心配だ。
りっぷ:怒りに燃えろ! そして、そのまま好きな気持ちも燃やしきってしまえ!
しぃ:本当、いつもありがとう。皆には助けられてるよ。
あすやん:当たり前だ!
りっぷ:今更!
シン:気分転換なり何なり、いくらでも付き合うぞ。
しぃ:本当に?
りっぷ:デートだ! デートの誘いだ!
シン:そんなつもりはない!
あすやん:マジで出かけてくるのもアリじゃね? 休日ずっとゲームするよりは、外に出た方が良いかもよ?
確かに、ずっと家に居ても気分が憂鬱なだけだろうし、一人では外に出る気力もない。
しぃ:水族館とか行きたいなぁ。
シン:……行くか?
りっぷ:デートだ!
あすやん:魚見て、お腹すいたとか言うなよ。シン坊。
シン:言わねぇよ!
しぃ:言ったら、水族館の後は魚料理食べに行くとか?
シン:しぃまで!
りっぷ:魚づくしデート(笑)
どこか虚無感を抱えながらも、いつもと同じ悪ふざけをチャットで打つ。
普段の私ならば、いくらシンとはいえ会う事なんてしなかったと思うけれど、長い付き合いだし今更感もある。それに、ロイさんとは時間をかけたとはいえ、会ってしまっているわけだし。
何もかもに自暴自棄な所があるのは否めない。
ぽっかりと心に穴が開く、なんて表現があるけれど、まさしくそれが相応しいかのような自分が居るのだ。
12
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

2月31日 ~少しずれている世界~
希花 紀歩
恋愛
プロポーズ予定日に彼氏と親友に裏切られた・・・はずだった
4年に一度やってくる2月29日の誕生日。
日付が変わる瞬間大好きな王子様系彼氏にプロポーズされるはずだった私。
でも彼に告げられたのは結婚の申し込みではなく、別れの言葉だった。
私の親友と結婚するという彼を泊まっていた高級ホテルに置いて自宅に帰り、お酒を浴びるように飲んだ最悪の誕生日。
翌朝。仕事に行こうと目を覚ました私の隣に寝ていたのは別れたはずの彼氏だった。



あなたが居なくなった後
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。
まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。
朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。
乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。
会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる